立替払いしたおカネは返してもらえるの?
個人事業主・フリーランスのあなたが、仕事に使うおカネを立て替えた場合の経理処理についてお話しします。
《前回までのあらすじ》現金出納帳はもういらない
クラウド会計「MFクラウド確定申告」で経理をはじめたあなた。
現金出納帳の必要性に疑問を抱き、現金出納帳をつけることを止めにしました。
代わりにはじめた「事業主借(じぎょうぬしかり)」の仕訳でしたが、あらたな疑問が・・・
法人の経理でも参考にはなりますが、一部取り扱いが異なりますのでご注意ください。
あなたが立替え払いしたときの経理
まずは軽く、前回の復習からはじめてみましょう。
完全なる復習
「仕事用の現金」を持たない。つまり、「現金出納帳はつけない」という前提で。次の取引について「仕訳」を考えます。
この場合、使った現金は「あなた(事業主)」が「プライベート用の現金」で立て替えた、と考えるのでしたよね。仕訳はつぎのとおり。
- 接待交際費 30,000 / 事業主借 30,000
そうだったっけ?というあなたは前回記事をもういちど読んで出直しです。
完全なる復習 パート2
ついでに、仕訳の入力も復習しておきましょう。
「MFクラウド確定申告」を起動して。画面左端のメニューから、「手動で仕訳」→「仕訳帳入力」とたどります 。
仕訳帳を開いたら、次のように入力していきます ↓
- 日付・・・「0104」で、1月4日を登録。TABキーで、「勘定科目」欄へ移動
- 勘定科目・・・「接待交際費」を選択。TABキーで、「金額」欄へ移動
- 金額・・・「30,000」を入力。TABキーで、「勘定科目」欄へ移動
- 勘定科目・・・「事業主借」を選択。TABキーで、「金額」欄へ移動
- 金額・・・「30,000」を入力。TABキーで、「摘要」欄へ移動
- 摘要・・・「割烹△△ 飲食代(□□商事 社長)」と入力
こんな具合に、あなたが立て替えた経費は入力していきます。以上、復習おしまいっ!
立替払いしたおカネを返してもらうときの経理
立て替えたおカネを返してもらいたい、というときのお話です。
いくら立て替えたのか?
いろいろ立替払いをしたあとで。そもそも、いまどれどけの金額を立て替えているのか?
その疑問は「総勘定元帳」によって解決します。総勘定元帳とは初耳かもしれませんが、ひとまず見てみましょう。
画面左端のメニューから、「会計帳簿」→「総勘定元帳」とたどります ↓
続いて、「勘定科目」から「事業主借」を選択。そのあと、「検索」ボタンを押します ↓
これが、「事業主借の総勘定元帳」です ↓
「事業主借」に関する取引をまとめた帳簿が、「事業主借の総勘定元帳」です。
1月2日と1月4日の仕訳が記録されていますが、いずれも「事業主借」がかかわる取引。
さきほどの1月4日の仕訳を思い出してみましょう。
- 接待交際費 30,000 / 事業主借 30,000
仕訳で見ると、右側つまり「貸方」が事業主借でした。ゆえに、総勘定元帳の1月4日を見ると、金額は「貸方」に記録されています。
そして、注目すべきは右端の「残高」欄。1月2日と1月4日の立替払いを経て、立て替えの合計額は「31,500円」であることがわかります。
自分で自分におカネを返すのもどうなのよ?
31,500円を立て替えていることがわかりましたが。
いまさらよくよく考えてみれば、自分で自分におカネを返すのもアレだよね。と気が付きます。
個人事業主には、「仕事をしているあなた」と「仕事以外(プライベート)のあなた」の2つの立場があるとはいえ同一人物。同じひとりの人間です。
そこでおカネをやりとりしてもねぇ・・・ということです。さて、どうしましょ。
事業主借は消え、元入金に生まれ変わる
結論から言うと、「放っておいて」だいじょうぶです。なにもしなくてOK。
それじゃあ、「事業主借」の残高は延々と積みあがっていってしまうのか?と悩む必要はありません。
翌年になると、「事業主借」は消滅します。正確に言うと、「元入金(もといれきん)」という別の勘定科目に振り替わります。
「元入金だなんて、またヘンなのが出てきたなぁ」というカンジかもしれませんが。
元入金とは平たく言うと、会社で言う「資本(金)」にあたるモノです。個人事業主にとっての資本(金)。つまり、
- おカネを立て替えた→おカネを返してもらわない→おカネを出資したのと同じ
というわけで、1年間で積み上げられた事業主借は決算を経て、元入金に振り替えられることになります。
ちなみに。会計ソフトを使っていれば、この部分の処理は自動的に行われますのでご心配なく。
それでも「おカネ返して欲しいねん」というあなたのために
そうはいっても、立て替えたのは事実。おカネを返して欲しい、ということもあるでしょう。
たとえば。仕事用の銀行預金口座から、おカネを引き出す。あるいは、プライベート用の口座に送金する。
その場合の仕訳は、次のとおりです ↓
- 事業主借 ××× / 普通預金 ×××
借方は「事業主借」ではなく、「事業主貸」ではないのか?というご意見はもちろんアリです。
ハナシをわかりやすくするために、ここはあえて「事業主借」としていますのでご了承ください
立て替えた際に、「事業主借」は右側(貸方)に溜まるのでしたよね?
ですから、立て替えたおカネを返すときは逆。左側(借方)に「事業主借」です。で、右側(貸方)が「普通預金」。
このときの金額は、極論、いくらでもかまいません。厳密に立て替えた金額でもいいし、「とりあえず10万円」というのでもOKです。
いずれにしても、決算で残った事業主借の残高が、元入金に振り替わるだけです。当然、利益や税金に影響するものでもありません。
ところで。この仕訳を「仕訳帳入力」から手入力で行ってもいいのですが、それではクラウド会計が泣いています。
銀行取引については従来の手入力を「自動化」しよう、というのがクラウド会計の謳い文句なのですから。
近いうちに、この「自動化」についてもお話をしていきますので乞うご期待。
そのまえにもういっちょ、立替払い経費について触れておきたいところがあります。
それは、従業員さんが立替払いをした場合の経理処理。今回は、事業主自身の立替払いでしたが、その従業員さんバージョンです。
《 次回につづく 》
まとめ
個人事業主・フリーランスが、経費を現金払いした際の経理処理についてお話ししました。
現金払いでありながら、現金出納帳は使わないという経理の方法です。
事業主借と元入金の関係についても、あわせて押さえておきましょう。
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きょうの執筆後記
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