日本公庫の創業融資。申し込むのにどんな書類が必要なんだ?
はじめての借入。なんの書類が必要で、どうやってそろえるものか悩みますよね。
日本政策金融公庫の創業融資で必要な書類についてお話しします。言われなくても出すべき、「ほんとうの」必要書類もあります。
日本公庫の創業融資に必要な書類3区分
いきなりですが。日本政策金融公庫(以下、日本公庫)の創業融資に必要な書類を3つに区分してみます。
- 「一般に」必要な書類
- 「必要に応じて」必要な書類
- 「ほんとうに」必要な書類
この順番でお話しします。
が、一番大事なのはさいごの、「ほんとうに」必要な書類だったりします。お急ぎの方でもそこだけはぜひお読みください。
「一般に」必要な書類
まずはオーソドックスな話から。日本公庫の創業融資を受けるにあたり、「一般に」必要とされている書類から。
必須書類の一覧列挙
申し込みの際に必須とされる書類をリストアップしてみます ↓
書類名称 | 取得先 | |
借入申込書 | 日本公庫のWEBサイトからダウンロード | |
創業計画書 | 日本公庫のWEBサイトからダウンロード | |
企業概要書 | 日本公庫のWEBサイトからダウンロード | |
登記事項全部証明書(法人の場合) | 法務局 | |
どちらか | 源泉徴収票 | 前職の勤務先 |
所得税の確定申告書 | 自分で保管しているもの | |
購入設備の見積書・契約書など | 設備購入(予定)先の業者 | |
開業時に使う費用の見積書・契約書など | 費用支払(予定)先の業者 | |
身分証明書(免許証など) | 自分で保管しているもの | |
事業用の通帳 | 自分で保管しているもの |
上記リストは「申し込み時」の必要書類です。審査の結果、融資決定となったあとの必要書類もあります。たとえば、印鑑証明書など。
では、それぞれについて。以下、少し補足をします。
借入申込書
日本公庫のWEBサイトからダウンロードできます。
内容自体にムズカシイところはありません。記載例もダウンロードできますので、それを参考にして書きましょう。
創業計画書
日本公庫のWEBサイトからダウンロードできます。
創業動機や履歴書など、いわゆる「作文」的なものから。資金計画や利益計画など「数字」的なことまで。
「借入初心者」にとって、もっともハードルが高い書類と言えます。
なにより、「ただ書けばいい」ということではないところに難しさがあります。計画書のそれぞれの項目に「隠された意図」をくみ取る必要がある。
業種ごとの記載例もありますので、それを見ながらがんばれ!もしくは専門家に相談しましょう。
企業概要書
日本公庫のWEBサイトからダウンロードできます。
「はじめてお取引いただく方に、取扱商品・サービス等の企業内容について、簡単にご記入いただくもの」とされています。
創業計画書とカブる内容も多くメンドーですが、こちらも記入例を見ながら仕上げましょう。
登記事項全部証明書
いわゆる「会社の謄本」です。会社設立登記の完了後に取得できます。
登記申請前・登記申請中のタイミングであればその旨を説明し、登記完了次第の提出ということになります。
源泉徴収票・所得税の確定申告書
前年の収入を確認されます。それと同時に、「ほんとうにそこに勤めていた」ということを証明するものでもあります。
創業計画書に記載する「履歴」との整合性、ですね。
購入設備の見積書・契約書など
店舗や事務所の内装(造作)費用、値が張る物品類など。開業時の「設備」にかかわる部分です。
設備のためにおカネを借りるのであれば、「ほんとうに設備のためにおカネを使う」ことを証明しなければいけない。そういうことです。
購入先の見積書、注文書、請求書、契約書など。また、購入品のパンフレットなどがあれば、それらも用意するとよいでしょう。
開業時に使う費用の見積書・契約書など
設備同様、その他開業時に必要な費用についてはやはり証明が必要です。
たとえば、本社事務所の賃貸契約にかかる費用。契約にあたり、敷金(保証金)・礼金・仲介手数料・前家賃などの支払いが必要です。
司法書士などに支払う設立登記費用などもあるでしょう。費用支払い先との見積書、請求書、契約書などを準備してください。
身分証明書(免許証など)
特にお伝えすべきはありません、はい。
事業用の通帳
法人であれば法人名義の通帳。個人事業であれば、事業用に使う通帳が必要です。
資本金(自己資本)の確認、開業資金(上述した設備購入や費用)の支払状況の確認として見られます。
また、融資額の振込先としての確認でもあります。日本公庫は融資のみであり、預金機能はありませんので。
「必要に応じて」必要な書類
なんか日本語がヘンです。必要に応じて必要って・・・要は、場合によっては必要だ。ということです。要、要、うるさい。
一覧列挙だけ
場合に応じて、ということなので。備考を添えて、下記にリストアップします ↓
書類名称 | 取得先 | 備考 |
定款 | 法人で保管しているもの | |
自宅の固定資産税納税通知書 | 自分で保管しているもの | 自宅が所有である場合に必要なことも |
代表者の個人通帳 | 自分で保管しているもの | 自己資金の確認、生活費の確認として必要なことも |
代表者個人の借入に関する返済予定表、残高証明書など | 自分で保管しているもの | 住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンなど |
各種許可証、免許証 | 自分で保管しているもの | 仕事で営業許可証や免許証が必要な場合 |
開業にあたり、親からおカネをもらった、あるいは借りたと言うような場合には。親の個人通帳も見せて、というようなこともあるわけで。いろいろです。
このほかにも状況によって、担当者の方から状況によって要求される書類もあります。
「ほんとうに」必要な書類
さいごにメインイベント。「ほんとうに」必要な書類。日本公庫さんが言わなくても、「こっちから出しておけ」というモノたちです。
希望する融資の実現可能性を高めるために
これからお話する書類は必須ではありません。それでも、出した方がいい。言われなくても出した方がいい。というものについてお話しします。
これらを書類に加えることで、必ず、融資実現のチカラになるはずです。
- 開業(創業)計画書
- 商品案内・会社案内パンフレット
- 売上見込みの見積書・注文書・契約書・取引先一覧
- 所有している権利関係の証明書類
以下、補足します。
開業(創業)計画書
日本公庫所定の創業計画書はありますが。はっきり言って、不足です。
創業動機も履歴のスペースも小さすぎ。ちょっとしか書けません。資金計画、利益計画という数字の部分も薄っぺらい。
これではこちらの「アピール」が十分にできません。別途、必要なだけのアピールができる開業計画書を添えることが大切です。
開業にかける熱意と、事業成功の説得力とを伝えましょう。絶対に、審査結果に良い影響を与えます。
ところで「必要なだけの」というところがポイントです。極端なハナシ、分厚い計画書になればそれはそれで読まれません。適度が大切。
商品案内・会社案内パンフレット
余計なコトなんて思わないで、商品や会社もどんどんアピールしましょう。
そのとき、商品案内や会社案内のパンフレットはカタチに残る「書類」として役立ちます。
話を聞いてくれる担当者に対してだけでなく、その後内部での審査の際にも説得材料として機能するはずです。
また、パンフレットなどに経営理念やポリシーが明文化されていれば、事業への本気度がよりいっそう確かなものとして伝わります。
売上見込みの見積書・注文書・契約書・取引先一覧
計画書に記載された「売上」は基本的に見込みです。予想です。当たるも八卦当たらぬも八卦。
もちろん、審査する側もそういう眼で見ています。「ほんとにこんな売上になるのかなぁ?」みたいな。
その疑念を少しでも払しょくできる材料があるのなら、これらもどんどん出しちゃいましょう。
まだ確定ではなくても、商談が進んでいる案件の見積書や契約書案など。確定している注文書なんてサイコーです。
割と有名な会社さんと取引がある、できそうな場合には、「取引先一覧」をつくってみるなんていうのもいいでしょう。
所有している権利関係の証明書類
取り扱う商品やサービスの「商品力」は、売上見込の説得材料になり得ます。
たとえば商品であれば「商標権」などの権利についての登録証。商品の独自性や将来性をアピールできるでしょう。
サービスであれば、そのサービスに有効だと思われる「資格」の登録証などが考えられます。
「ウチはほかとはちょっと違うんだゼ」ということがあれば、ぜひ売上計画の「裏付け」として書類を準備していきましょう。
まとめ
日本政策金融公庫の創業融資で必要な書類についてお話をしてきました。
必須とされている書類はもちろんですが、それ以外の書類も、希望の融資を実現するための助けになります。
書類なんてメンドーだ、と融資のために決まりきったことだけをやるのではなく。
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きょうの執筆後記
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