借り続けるメリット、借りて終わりのデメリット【折り返し融資】

折り返し融資

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返済が進んで借入金の残高も減ってきたし良かった良かった。

と、手放しで喜べるものでもありません。実は、減った借入金残高をふたたびの借入で元に戻す、という考え方があります。「折り返し融資」です。

また借りちゃうの? ということなのですが。借り続けるメリット、借りて終わりのデメリット、というお話をしていきます。

借り続けるメリット、借りて終わりのデメリット

世の中には、多くの人が正しいと思い込んでいる「誤った常識」があります。たとえば、

  • 借金はしないほうがいい
  • 借金は早く完済したほうがいい

一見、「そのとおり!」という雰囲気なのですが、実は違う。そうじゃない。必ずしもそうじゃない。

「事業に関して言えば」という前提付きではありますすが、むしろ「正しい常識」はこうです ↓

  • 借金(銀行借入)はしたほうがいい
  • 借金(銀行借入)は早く完済しないほうがいい

これを言い換えると、「銀行借入はし続けたほうがいい」ということになります。

なんだかフキンシンでアヤシゲに聞こえるかもしれませんが。実は事業を守るためには、借金をし続けることにもメリットはあるのです。

そんな「借り続けるメリット」は次の2つ ↓

  • 手元のおカネを維持できる
  • 銀行交渉で優位に立てる

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

 

《メリット1》手元のおカネを維持できる

借り続けることのメリットひとつめ。手元のおカネを維持できる、について。

借入金を返済すると、手元のおカネが減っていく

たとえばバナシからはじめることにします。

ある会社が銀行借入をした結果、現金預金残高は 1,200万円、借入金残高が 1,000万円になりました。

その後、会社は借入金の返済を進め、現金預金残高は 700万円に減り、借入金残高も 500万円に減りました。

もちろん、事業で大きく利益をあげるなどの要因があれば、借入金返済を進めても現金預金残高を維持できることもあるでしょう。

しかしそれはそれでカンタンなことではありません。そこでひとまず、現金増加の要因はないと仮定すると、借入金返済を進めた分だけ手元のおカネも減る。というたとえばバナシでした。

通常、借入金返済を進めた分だけ手元のおカネも減る。これがまさに「借りて終わりのデメリット」です。

返済をしたらまた借りる

ではなぜ、手元のおカネを減らしてはマズいのか? 難しいことではありませんよね。おカネが無くなったら会社は潰れてしまうからです。

事業において「手元のおカネ(現金預金残高)」は生命線。これが少ないほど、倒産リスクが高まります。

特に、資金調達手段が限られる小規模零細企業にとっては、「手元のおカネをどれだけ増やせるか」に常日頃からチカラを注がなければいけません。

そこで、手元のおカネを増やす手段として、「銀行融資」を考えることになります。

ポイントは「常日頃から」というところ。このタイミングが遅れるがために銀行融資を難しくし、資金繰りに窮する会社が後を絶たないのです。それを避けるには、

ということが大事になります。

「折り返し融資」を活用する

「返済が進んでおカネが減ったらまた借りる」ということについて、具体的には「折り返し融資」があります。

返済した金額と同じだけの金額をあらたに借り入れる(同じ銀行から)、これを「折り返し融資」と呼びます。

いちど貸したことがある・貸している、という「実績」が安心材料になり、銀行からしても難しい話ではありません。

著しく会社の業績が下がっている場合には難しいかもしれませんが、現状維持以上であれば、折り返し融資に応じてくれることは多いはずです。

毎年決算が終わり、決算書ができたころを目安に。折り返し融資の検討タイミングとするとよいでしょう。

つまり、この1年間で返済が進んだ分だけ、もう一度借り直すということです。

もちろん、「当社はもう十分なおカネがある!」というのであれば折り返し融資は不要です。

しかしながら、「十分なおカネ」というのはそうそう無いということを理解しておきましょう(参考記事・現金預金の残高はいくら必要?月商〇ヶ月分の議論に終止符を打つ)。

 

《メリット2》銀行交渉で優位に立てる

借り続けることのメリットふたつめ。銀行交渉で優位に立てる、について。

このメリットは、複数の銀行から借入をしていることが前提になります。

「借入金残高減少=業況悪化」のイメージ

銀行は融資先について、他の銀行がどういう貸出姿勢であるかをとても気にしています。

積極的に貸し出しているのか、それとも消極的に引き揚げにかかっているのか。そういうところを気にしています。

他の銀行が積極姿勢であれば、「ウチも負けずに貸し出そう」となりますし。逆に消極姿勢であれば、「ウチもとりっぱぐれないように回収しよう」となるものです。

さて、このような「銀行の特性」から見たときに。借入金の返済が進み、借入金残高が減り続けていると、銀行から思わぬ誤解を招くことがあります。

たとえばバナシをします。A銀行が融資先について、銀行ごとの借入金残高の内訳と金額を調べたところ。メインバンクと思われるB銀行の借入金残高が減り続け増えていないことがわかりました。

A銀行は勘ぐります。「もしかして、この融資先の業況は想像以上に悪いのか?」と。であれば、A銀行は消極的な姿勢をとりかねません。

この融資先の業況が下降傾向にあるのであれば、その勘ぐりはなおさらです。

ほかにC銀行、D銀行も同じようなことを考えていたら? 銀行融資による資金調達は難しくなる。これが「借りて終わりのデメリット」になりえます。

銀行は「他の銀行の借入金残高」を知ることができるのか?
融資先から情報を得ることで知ることになります。ヒアリングをする、決算書の提示を求める、銀行借入一覧表の提出を求めるなどの方法により、融資先から他の銀行の情報を得ようとします。

勝手に競争してもらう

こうして、新規の融資が難しくなっていくと。当然、「競争原理」が働きません。

ここで言う競争原理とは、「複数の銀行が融資獲得を目指し、勝手に競争してくれること」を指します。

つまり、複数の銀行から借入をしていれば。それぞれの銀行は、銀行の特性により他の銀行を意識し、融資先にとってはより有利な条件の提示が行われることでしょう。

会社は、融資に関する銀行交渉にあたり、このような環境を作り出したいものです。

しかしながら、借入金残高の減少による誤解を招くと競争原理が崩れます。「融資残高が減る→消極姿勢になる→競争しようとも思わない」という図式になります。

だから借入金残高を増やせ、とまでは言いませんが。借入金残高を安易に減らすとそういう図式ができうる、ということは覚えておきましょう。

 

まとめ

借り続けるメリット、借りて終わりのデメリット、というお話をしてきました。

「借金=悪」というイメージが強すぎると、借入金を減らすことばかりに目が向きます。

結果、資金繰りの窮状など、事業においては思わぬ不利益を被ることがあります。

手元のおカネの重要性、銀行融資の特性を理解して、「借り続ける」という選択肢も忘れずに検討しましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!