銀行融資は受けたほうがいいの?
そうですね、事業継続を考えると、原則、融資は受けるべきでしょう。
ただし、融資を受けなくてもよい会社・融資を受けてはいけない会社もあるものです。それって、どんな会社なの…? というお話です。
原則、銀行融資は受けるべき
会社・個人事業者が事業をしていくうえで、「銀行融資を受けるか否か」という選択肢があります。
この選択肢について。「原則、融資は受けるべき」というのがわたしの考えです。
その理由を簡潔に述べるなら次のとおりです ↓
- 事業にはおカネが必要(尽きたらおしまい)
- 小規模零細企業がおカネを集める手段は限られている
- 融資はいつでも受けられるわけではない
つまるところ。事業をしていれば、明日何が起きるかはわからず。おカネが尽きることがないように備えておかなければいけません。
おカネを備えると言っても。大企業のように豊富な資金調達手段を持たない多くの小規模零細企業にとって、銀行融資は貴重な資金調達手段です。
その銀行融資は、銀行側の考え方(=危ない会社には貸せない)にもとづくものであり、借りたいときに借りられるわけではありません。
であるならば。借りられるチャンスがあるときにきちんと借りておくのが、事業継続における最良の選択だと考えるわけです。
このように、「原則、銀行融資を受けるべき」との考えではありますが。原則があれば、もちろん例外もあります。次のような会社・個人事業です ↓
- 融資を受けなくてもよい会社・個人事業
- 融資を受けてはいけない会社・個人事業
このあと、それぞれを具体的にみていきます。
融資を受けなくてもよい会社・個人事業
銀行融資は受けるべきとの原則に反し、「融資を受けなくてもよい」のは次のような会社・個人事業です ↓
- おカネ(現金預金や現金預金に換えられる資産)がたっぷりある
- 「おカネを借りてまで事業を続けるつもりはない」という覚悟がある
それぞれについて、説明を加えます。
おカネ(現金預金や現金預金に換えられる資産)がたっぷりある
下世話な表現で言うと、「おカネがうなるほどある」。そういう会社・個人事業であれば融資は必要ありません。
会社自体におカネは無くても、社長個人が資産家であるなど、事業に回すことができるおカネがあるというのも含みます。
ただし、文字どおり「うなるほど」のおカネがあるかどうかがポイントになります。
不測の事態にいくらのおカネが必要になるのかは想像がつかず、1,000万円で足りることもあれば、5,000万円でも足りないかもしれないのです。
そう考えると、なにがあっても問題なくおカネを出せる人や会社というのは少ないのであり。融資を受けなくてもじゅうぶんなだけのおカネがある、と言い切れるケースは稀有だと言えます。
「おカネを借りてまで事業を続けるつもりはない」という覚悟がある
「おカネは借りない」という確固たる信念があるのであれば、それもひとつの考え方です。
ただし、事業では何が起こるかわかりません。ですから、前述したような「おカネ持ち」でなければ、おカネが不足して、事業継続ができなくなることも想定しなければいけません。
それでも、おカネを借りるよりはよい。借りてまで事業を続けるつもりはない。そういう覚悟であれば、融資を受ける必要はありません。
融資を受けてはいけない会社・個人事業
続いて、「融資を受けてはいけない」のは次のような会社・個人事業です ↓
- 粉飾をしてでも借りようと考えている
- 返済できないかもしれない、できるかわからないと考えている
それぞれについて、説明を加えます。
粉飾をしてでも借りようと考えている
銀行融資を受けるには、銀行の審査が必要です。審査で大きなウェイトを占める「決算書」の内容が悪いと借入は難しくなります。
具体的には、売上が下がっている、赤字が続いている、借入が多い、債務超過だ、などなど。
そこで、なんとしてでも借りたいという思いが高まると、決算書の「粉飾(利益の水増しなど)」をして審査を受けるという人・会社があります。
言うまでもないことですが、いけません。そこまでしておカネを借りてはいけません。
倫理的にダメだということはもちろんですが、いちばんは自分(自社)のためにならないということです。
粉飾をするような会社・個人事業は状況が厳しいものです。たとえば、赤字を黒字にするような粉飾をしたのであれば、翌年はその赤字額を上回るほどの黒字を出さなければ粉飾は解消できません。
しかし現実には、厳しい状況はそう簡単には変わらずに。さらなる粉飾を繰り返し、解消は不可能になる。ということは少なくありません。
そこまでして融資を受ける(銀行をダマせたとして)ような会社・個人事業は、いずれ破たんの道を進みます。融資を受けることで傷口をさらに広げたことになります。
自分(自社)自身が苦しむことがないように、粉飾をしてまで融資を受けてはいけません。
返済できないかもしれない、できるかわからないと考えている
いくら融資を受けるべきとは言っても。融資を受けても返済できないかもしれない、あるいは、返済できるかわからない。そう考えているのであれば、融資を受けてはいけません。
事業の見通しが明らかに悪い、回復の見込みがないのにおカネを借りてしまうと、さきほどの「粉飾」同様、最終的な傷口を広げるばかりです。
もっとも、事業をしている社長・個人事業者は、いまは厳しくてもなんとか乗り切れる、乗り切ってみせるとの思いが強いことでしょう。
結果、いかなる苦境であろうとも、起死回生を求めて融資を受けるという行動は少なくありません。経営者として、「会社を潰したくはない」との強い思いの表れです。
であるならば、思いだけではなく、返済ができる未来をきちんと描かねばなりません。具体的には、経営(改善)計画書、予測資金繰り表といった、目に見えるカタチで描くことです。
そもそも、事業の見通しが明らかに悪いケースでは、銀行もそう簡単に融資をすることはないでしょう。目に見えるカタチの根拠が必要です。
融資を受けるのであれば、「返済できる」ことを根拠をもって示せなければいけません。
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まとめ
融資を受けなくてもよい会社・融資を受けてはいけない会社、についてお話をしてきました。
事業の継続を考えれば、原則、銀行融資は受けるべきです。
いっぽうで、例外的に融資を受けなくてもよい会社・融資を受けてはいけない会社がある。
銀行融資についてはそのように考えておきましょう。