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『クレジットカード払い』の仕訳・書類の保存まとめ【フリーランスの経理】

クレジットカード払いの仕訳

” クレジットカードを使って支払った経費、どうやって仕訳するの? ”

フリーランスがクレジットカード払いをしたときの「仕訳」と、それに伴う「書類の保存」についてお話をします。

目次

「1度で済まない」が難しい? クレジットカードの仕訳

経理をするにあたり、フリーランスがアタマを悩ませることのひとつに「仕訳」が挙げられます。

” コレって、仕訳はどうすんの? ”

ということで、本記事では「クレジットカード払い」をしたときの仕訳についてお話をしていきます。

「クレジットカード払い」の仕訳が悩ましいのは、1度ならず2度までも、「仕訳をしなきゃいけないのかなぁ…?」というタイミングが生じることです。

2度のタイミングとは、

  • クレジットカード払いで買い物をしたとき(モノ・サービスを買ったとき)
  • そのクレジットカード利用額が、銀行口座から引落しされるとき

上記2度のタイミングそれぞれで、「どのように仕訳をすればよいのか」をこのあと見ていきます。

加えて後段では、クレジットカード払いをしたときの「領収書・レシート」や、カード会社発行の「利用明細書」など、書類の保存についてもお話をします。

 

クレジットカード払いの仕訳

クレジットカード払いをしたときの仕訳については、「クレジットカード」と「利用額引落し口座」の状況に応じて、仕訳が異なります。具体的には、

  • クレジットカードは、「仕事専用」「仕事・プライベート兼用」「プライベート専用」のいずれか?
  • そのカードの利用額引落し口座は、「仕事専用」「仕事・プライベート兼用」「プライベート専用」のいずれか?
[aside type="boader"]
  • 仕事専用 ・・・ 仕事でしか使わないカード、仕事でしか使わない口座
  • 仕事・プライベート兼用・・・仕事でもプライベートでも使うカード、仕事でもプライベートでも使う口座
  • プライベート専用・・・プライベートでしか使わないカード、プライベートでしか使わない口座[/aside]

上記の「状況」に応じて、仕訳はケースバイケースです。「クレジットカード」と「利用額引落し口座」の状況に応じて仕訳が変わります。

以下、じぶんがどのケースに当てはまるかを確認したうえで、仕訳をしましょう。6つのケースに分かれます ↓

  クレジットカード利用額引落し口座 
ケース① 仕事専用 仕事専用または仕事・プライベート兼用
ケース② 仕事専用 プライベート専用
ケース③ 仕事・プライベート兼用 仕事専用または仕事・プライベート兼用
ケース④ 仕事・プライベート兼用 プライベート専用
ケース⑤ プライベート専用 仕事専用または仕事・プライベート兼用
ケース⑥ プライベート専用 プライベート専用

複数枚のクレジットカードを併用している場合には、そのカードごとに6つのケースのいずれに該当するのかを当てはめましょう。

それではこのあと、それぞれのケースごとに仕訳を提示していきます。

「利用額引落し口座」の区分について

本記事では、「利用額引落し口座」の区分を、次のように定義します ↓

  • 仕事専用 ・・・ 貸借対照表の「預金」として計上する口座
  • 仕事・プライベート兼用・・・貸借対照表の「預金」として計上する口座
  • プライベート専用・・・貸借対照表の「預金」として計上しない口座

 

《ケース①》カード/仕事専用、口座/仕事専用または仕事・プライベート兼用

クレジットカードは「仕事専用」、利用額引落し口座は「仕事専用」または「仕事・プライベート兼用」、というケースの仕訳です。

【クレジットカード払いで買い物をしたとき】

[例]クレジットカードで、接待飲食代 20,000円を支払いました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
接待交際費20,000未払金20,000

左側(借方)の勘定科目は、支払いの内容に応じた勘定科目を選択しましょう(上記の例では「接待交際費」)。

ポイントは右側(貸方)の勘定科目です。クレジットカード会社に対する未払額として、「未払金」で仕訳をします。

クレジットカードを利用するつど、利用日の日付で、上記の仕訳をするようにします。

【クレジットカード利用額が銀行口座から引落しされたとき】

[例]クレジットカード利用額 100,000円が、銀行口座(普通預金)から引き落としされました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
未払金100,000普通預金100,000

ポイントは左側(借方)の勘定科目である「未払金」です。

この仕訳によって、クレジットカードを利用するつど計上されてきた「未払金」を精算することになります。

 

《ケース②》カード/仕事専用、口座/プライベート専用

クレジットカードは「仕事専用」、利用額引落し口座は「プライベート専用」、というケースの仕訳です。

【クレジットカード払いで買い物をしたとき】

[例]クレジットカードで、接待飲食代 20,000円を支払いました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
接待交際費20,000事業主借20,000

左側(借方)の勘定科目は、支払いの内容に応じた勘定科目を選択しましょう(上記の例では「接待交際費」)。

ポイントは右側(貸方)の勘定科目です。じぶん自身(事業主)に立て替えてもらった(借)という見方で、「事業主借」とします。

クレジットカードを利用するつど、利用日の日付で、上記の仕訳をするようにします。

【クレジットカード利用額が銀行口座から引落しされたとき】

[例]クレジットカード利用額 100,000円が、銀行口座(普通預金)から引き落としされました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
仕訳なし   

このケースでは、引落し時に「仕訳が無い」のがポイントです。

プライベート専用口座からの引落しであるため、その口座を貸借対照表に載せる必要がありません。よって、仕訳も必要ありません。

前述の【クレジットカード払いで買い物をしたとき】の仕訳のみでOKです。

ただし、引落とし口座を仕事専用(または仕事・プライベート兼用)口座に移し、《ケース①》として経理することをおすすめします。

 

《ケース③》カード/仕事・プライベート兼用、口座/仕事専用または仕事・プライベート兼用

クレジットカードは「仕事・プライベート兼用」、利用額引落し口座は「仕事専用」または「仕事・プライベート兼用」、というケースの仕訳です。

【クレジットカード払いで買い物をしたとき】

クレジットカードを「仕事(経費)」で使ったか、「プライベート(経費じゃない)」で使ったかで、仕訳が分かれます。

[例1・仕事]クレジットカードで、接待飲食代 20,000円を支払いました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
接待交際費20,000未払金20,000

左側(借方)の勘定科目は、支払いの内容に応じた勘定科目を選択しましょう(上記の例では「接待交際費」)。

ポイントは右側(貸方)の勘定科目です。クレジットカード会社に対する未払額として、「未払金」で仕訳をします。

[例2・プライベート]クレジットカードで、プライベートで使う電化製品代 30,000円を支払いました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
事業主貸30,000未払金30,000

左側(借方)の勘定科目は「事業主貸」です。じぶん自身(事業主)の私費を立て替えてあげた(貸)という見方で、「事業主貸」とします。

また、右側(貸方)の勘定科目は、クレジットカード会社に対する未払額として、「未払金」で仕訳をします。

クレジットカードを利用するつど、利用日の日付で、上記「例1・仕事」または「例2・プライベート」の仕訳をするようにします。

【クレジットカード利用額が銀行口座から引落しされたとき】

[例]クレジットカード利用額 100,000円が、銀行口座(普通預金)から引き落としされました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
未払金100,000普通預金100,000

ポイントは左側(借方)の勘定科目である「未払金」です。

この仕訳によって、クレジットカードを利用するつど計上されてきた「未払金」を精算することになります。

 

《ケース④》カード/仕事・プライベート兼用、口座/プライベート専用

クレジットカードは「仕事・プライベート兼用」、利用額引落し口座は「プライベート専用」、というケースの仕訳です。

【クレジットカード払いで買い物をしたとき】

クレジットカードを「仕事(経費)」で使ったか、「プライベート(経費じゃない)」で使ったかで、仕訳が分かれます。

[例1・仕事]クレジットカードで、接待飲食代 20,000円を支払いました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
接待交際費20,000事業主借20,000

左側(借方)の勘定科目は、支払いの内容に応じた勘定科目を選択しましょう(上記の例では「接待交際費」)。

ポイントは右側(貸方)の勘定科目です。じぶん自身(事業主)に立て替えてもらった(借)という見方で、「事業主借」とします。

クレジットカードを利用するつど、利用日の日付で、上記の仕訳をするようにします。

[例2・プライベート]クレジットカードで、プライベートで使う電化製品代 30,000円を支払いました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
仕訳なし   

このケースでは、カード利用時に「仕訳が無い」のがポイントです。

カード利用がプライベート、引落し時の口座もプライベートである場合には、事業にはまったく関係がありません。ゆえに仕訳の必要もありません。

【クレジットカード利用額が銀行口座から引落しされたとき】

[例]クレジットカード利用額 100,000円が、銀行口座(普通預金)から引き落としされました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
仕訳なし   

このケースでは、引落し時に「仕訳が無い」のがポイントです。

プライベート専用口座からの引落しであるため、その口座を貸借対照表に載せる必要がありません。よって、仕訳も必要ありません。

前述の【クレジットカード払いで買い物をしたとき】の仕訳のみでOKです。

ただし、引落とし口座を仕事専用(または仕事・プライベート兼用)口座に移し、《ケース③》として経理することをおすすめします。

 

《ケース⑤》カード/プライベート専用、口座/仕事専用または仕事・プライベート兼用

クレジットカードは「プライベート専用」、利用額引落し口座は「仕事専用」または「仕事・プライベート兼用」、というケースの仕訳です。

【クレジットカード払いで買い物をしたとき】

[例]クレジットカードで、プライベートで使う電化製品代 30,000円を支払いました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
事業主貸30,000未払金30,000

左側(借方)の勘定科目は「事業主貸」です。じぶん自身(事業主)の私費を立て替えてあげた(貸)という見方で、「事業主貸」とします。

また、右側(貸方)の勘定科目は、クレジットカード会社に対する未払額として、「未払金」で仕訳をします。

クレジットカードを利用するつど、利用日の日付で、上記の仕訳をするようにします。

【クレジットカード利用額が銀行口座から引落しされたとき】

[例]クレジットカード利用額 100,000円が、銀行口座(普通預金)から引き落としされました。

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
未払金100,000普通預金100,000

ポイントは左側(借方)の勘定科目である「未払金」です。

この仕訳によって、クレジットカードを利用するつど計上されてきた「未払金」を精算することになります。

ただし、引落とし口座をプライベート専用口座に移し、《ケース⑥》として経理することをおすすめします。

 

《ケース⑥》カード/プライベート専用、口座/プライベート専用

クレジットカードは「プライベート専用」、利用額引落し口座は「プライベート専用」、というケースの仕訳です。

【クレジットカード払いで買い物をしたとき】

[例]クレジットカードで、プライベートで使う電化製品代 30,000円を支払いました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
仕訳なし   

このケースでは、引落し時に「仕訳が無い」のがポイントです。

【クレジットカード利用額が銀行口座から引落しされたとき】

[例]クレジットカード利用額 100,000円が、銀行口座(普通預金)から引き落としされました

勘定科目(借方)金額勘定科目(貸方)金額
仕訳なし   

このケースでは、引落し時にも「仕訳が無い」のがポイントです。

クレジットカードがプライベート専用、利用額を引き落とされる口座もプライベート専用であれば、事業にはまったく関係がありません。

ゆえに、始めから終わりまで、なにも仕訳をする必要がありません。

 

クレジットカード払いをしたときの書類の保存

クレジットカード払いをしたときの書類の保存についてお話をします。

クレジットカード払いに関する書類は2つある

クレジットカード払いに関する書類として、次の2つが挙げられます ↓

  • クレジットカード利用店が発行する「領収書またはレシート」
  • クレジットカード会社が発行する「利用明細書」

「領収書またはレシート」は、クレジットカードで買い物をするつど、クレジットカード利用店で発行をしてもらうものです。

リアルのお店(実店舗)であれば、「紙」で受け取ります。Webでの買い物であれば、「電子データ(メール、PDFなど)」で受け取ります。

また、「利用明細書」は、1ヶ月間のクレジットカード利用履歴をまとめて、クレジットカード会社が発行するものです。

紙を「郵送」で受け取っている人もいれば、WEB明細として「ネット」上で確認をしている人もいるでしょう。

2つとも保存する

前述した、「領収書またはレシート」と「利用明細書」は、2つとも保存をするようにしましょう。

この2つの書類がそろってはじめて、「カードを使ったとき」と「利用額を引き落とされたとき」の両方の情報を網羅することができます。

逆に、どちらか一方が欠けると網羅できません。

「領収書またはレシート」だけでは、その利用額がいつ引きとされた(支払った)のかがわかりません。

「利用明細書」だけでは、カードを使ったときの日付・利用店舗名までしかわからず、「内容(なにを買ったか)」が不足します。

したがって、「領収書またはレシート」と「利用明細書」は、2つとも保存をするようにしましょう。

なお、ネット上の領収書や利用明細書などで、閲覧期限があるものには注意をしましょう。期限を過ぎる前に印刷をする(あるいはPDFなどにして保存する)のをお忘れなく。

 

まとめ

「クレジットカード払い」の仕訳・書類の保存について、お話をしてきました。

仕訳については、クレジットカードと引落し口座の状況に応じてケースバイケースですから気をつけましょう。

また、書類の保存については、2つの書類が保存の対象であることに注意が必要です。

 

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  きょうの執筆後記
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