銀行融資を上手に受けるための『金融仲介機能のベンチマーク』の使い方

金融仲介機能のベンチマークの使い方




金融仲介機能のベンチマーク、を知っていますか? 知らないのであれば、知るようにしましょう。銀行から融資を受けるのに役立ちます。

というわけで、銀行融資を上手に受けるための「金融仲介機能のベンチマーク」の使い方についてお話をしていきます。

銀行融資に役立つ「金融仲介機能のベンチマーク」

「金融仲介機能のベンチマーク」をご存知でしょうか?

ひとことで説明するならば。「金融仲介機能のベンチマーク(以下、ベンチマーク)」とは、金融庁が各銀行の取り組みを評価するための指標です。

と、言うと。「なーんだ、金融庁と銀行が使うモノなのか」と思われそうですが、そんなことはありません。

実は、銀行からおカネを借りる「会社・個人事業者」にとっても、ベンチマークは使えるモノなのです。

会社・事業で銀行から融資を受けるにあたり、ベンチマークが役に立つ。

ところが。ベンチマークの存在すら知らない、というヒトは少なくありません。

そこで。銀行融資を上手に受けるための「金融仲介機能のベンチマーク」の使い方についてお話をしていきます ↓

銀行融資を上手に受けるためのベンチマークの使い方
  • 取引銀行の方向性を知るために使う
  • 銀行選びの検討資料として使う
  • 銀行との交渉材料として使う

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

銀行融資を上手に受けるためのベンチマークの使い方

そもそも「金融仲介機能のベンチマーク」とは

ベンチマークの「使い方」を見ていく前に。予備知識として、「そもそも、金融仲介機能のベンチマークとは」をカンタンに確認をしておきましょう。

ベンチマークとは、金融庁が各銀行の取り組みを評価するための指標だ。ということは、冒頭でも触れました。

ここで言う「各銀行」とは、地域の民間金融機関を指します。具体的には、地方銀行、信用金庫、信用組合です。

金融庁は、それらの地域金融機関に対して、「じぶんたちの取り組みを、ベンチマークに沿って公表しなさい」と言っています。

さらに、ベンチマークは「客観的に評価できる」指標とされ、金融機関ごとの比較ができるよう「数字」を用いた公表が要求されているところです。

共通ベンチマーク + 選択ベンチマーク

ここまでは、ベンチマークの「概要」について説明をしてきました。続いて、ベンチマークの「具体的項目」について説明をします。

ベンチマークは、「共通ベンチマーク」と呼ばれる項目と、「選択ベンチマーク」と呼ばれる項目とに分かれています。

「共通ベンチマーク」は、すべての地域金融機関が取り組むべき共通の項目とされ、5つのベンチマークが挙げられています。

いっぽうの「選択ベンチマーク」は、各地域金融機関がそれぞれ取り組む項目を選択するものとされ、選択候補として50ものベンチマークが挙げられています。

各ベンチマークの項目については、金融庁の公表資料で確認・ダウンロードすることができます ↓

「金融仲介機能のベンチマーク」金融庁WEBページより

参考までに、共通ベンチマークの項目を掲載しておきます(選択ベンチマークまで掲載すると、たくさん過ぎるので…) ↓

共通ベンチマーク(金融仲介機能のベンチマークのうち)
  1. 金融機関がメインバンク(融資残高1位)として取引を行っている企業のうち、経営指標(売上・営業利益率・労働生産性等)の改善や就業者数の増加が見られた先数(先数はグループベース。以下断りがなければ同じ)、及び、同先に対する融資額 の推移
  2. 金融機関が貸付条件の変更を行っている中小企業の経営改善計画の進捗状況
  3. 金融機関が関与した創業、第二創業の件数
  4. ライフステージ別の与信先数、及び、融資額(先数単体ベース)
  5. 金融機関が事業性評価に基づく融資を行っている与信先数及び融資額、及び、 全与信先数及び融資額に占める割合(先数単体ベース)

ベンチマークの存在を知らぬ者からすると、「へぇー、融資額とか件数なんかまで公表されているんだぁ」という驚きがあります。

以上、「そもそも、金融仲介機能のベンチマークとは」を理解したところで、ベンチマークの「使い方」を見ていきましょう。

《使い方1》取引銀行の方向性を知るために使う

さきほど、こんなお話をしました。金融庁は地域金融機関に対して、「じぶんたちの取り組みを、ベンチマークに沿って公表しなさい」と言っている。

というわけですから、各地域金融機関は各々のベンチマークについて公表しています。まずは、取引銀行のベンチマークを確認してみましょう。

ネットで「〇〇信用金庫 金融仲介機能のベンチマーク」と検索すれば、ベンチマークの公表ページを見つけることができるはずです。

うまく見つけられないようであれば、銀行に直接聞いてみましょう。ベンチマークは公表事項なのですから、教えてもらうことができます。

公表ページが見つかったら、ざっと目を通してみましょう。各ベンチマークの内容を確認することで、その銀行の「方向性」をつかむことができます。

基本的には、金融庁が公表しているベンチマークの項目に沿うかたちで、まずは「共通ベンチマーク」について。それから「選択ベンチマーク」について、という流れで情報が掲載されています。

( ※ 実際の公表資料をここに掲載しながら説明できればよいのですが、いろいろ問題がありそうなのでやめておきます… ぜひ、ご自身の目で実物をご覧ください!)

ここで「選択ベンチマーク」は、どの項目を選択しているのかをよく見ておきましょう。選択ベンチマークは、各銀行が任意に選択をする項目ですから、方向性があらわれるところです。

その銀行が融資をするにあたり、どこにチカラを入れているかを知ることができます。

たとえば「創業融資」については、共通ベンチマークに「金融機関が関与した創業、第二創業の件数」の項目があります。

これとは別に、選択ベンチマークでも「創業支援先数(支援内容別)」を挙げているのであれば、その銀行は「創業融資」にチカラを入れているのだろうな、と読めます。

であるならば。創業融資をお願いするなら、そういう銀行を選ぶほうがいい、ということでもあります。

《使い方2》銀行選びの検討資料として使う

さきほど、創業融資をお願いするなら、選択ベンチマークで「創業支援先数(支援内容別)」を挙げている銀行を選ぶのがいい。というお話をしました。

そこから、ベンチマークは各銀行の「方向性」を知るのみならず、「銀行選び」にも使えるということがわかります。

この点では、いま現在の取引銀行だけではなく、自社・じぶんの地域にある他の銀行についても、公表ベンチマークを確認してみるのがよいでしょう。

銀行ごとの違いがわかり、それぞれの銀行の方向性をより明確に理解することができるはずです。

そのうえで、「自社・じぶんにより合う銀行はないかな?」という目で見てみましょう。

たとえば。選択ベンチマークのなかには、「経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合(先数単体ベース)」の項目があります。

( ※「経営者保証に関するガイドライン」とは、平たく言うと「経営者の個人保証に依存しない融資をしましょう」という自主的運用ルールです)

したがって、「経営者の個人保証を外したい、個人保証なしで融資を受けたい」と考えるのであれば、選択ベンチマークで「経営者保証に関するガイドライン」の項目を挙げている銀行を選んでみる。

もっとも、個人保証についてはそれほどカンタンな話ではありませんが。それでも、銀行みずからが選択をしているのですから、選択していない銀行よりは見込みがあるでしょう。

CHECK! 社長の連帯保証は『融資の常識』じゃない!【経営者保証ガイドラインとは?】

そのように考えれば、自社・じぶんに合った銀行選びの検討資料として、ベンチマークを使うことができます。

《使い方3》銀行との交渉材料として使う

ベンチマークの使い方として、「銀行選び」についてお話をしました。

そのベンチマークは、銀行選びのあと、「銀行との交渉材料」としても使うことができます。

さきほどの「経営者保証」の例で言えば。保証を外すには交渉が必要です。銀行のほうから「保証を外しましょう」というハナシはないでしょうから。

その交渉時、銀行に対して「(経営者保証に関するガイドラインについて)選択ベンチマークにも挙げていますよね」を入口にすることができます。

経営者保証を外せるかどうかは、事業の状況などにもよりますが。それでも、選択ベンチマークをつつかれた銀行としてはムゲにはできないでしょう。

選択ベンチマークとして掲げ、みずからチカラを入れる・入れていると言っている以上、「そんなところまで見られているのか…」という部分はあるはずです。

また、最近話題(?)の「事業性評価融資」についても同じようなことが言えます。

事業性評価融資とは、カンタンに言うと「決算書(業績)や担保・保証に依存しすぎない融資」です。決算書や担保・保証だけではなく、事業そのもの内容や成長性にも目を向けた融資です。

CHECK! 事業性評価融資に役立つ3つのツール『ロカベン、RESAS、まち・ひと・しごと創生総合戦略』

そこで、事業性評価融資を求めるのであれば。選択ベンチマークに「事業性評価の結果やローカルベンチマークを提示して対話を行っている取引先数、及び、左記のうち、労働生産性向上のための対話を行っている取引先数」を挙げている銀行を選んでみるのもよいでしょう。

もしも、「決算書ばかりで評価をされる」というのであれば、「選択ベンチマークにも挙げていますよね。でもウチは…」みたいな話をすることで、事業性評価を促す「きっかけ」ができます。

なお、ベンチマークは「銀行との交渉材料」としても使える、とは言いましたが。強硬な交渉(ベンチマークをたてにして圧力をかける、など)にまで使うものではありません。

あくまで、コミュニケーションの入口として、交渉の入口として使いましょう。銀行融資を上手に受けるには、銀行との良い関係が欠かせません。

良い関係を崩してしまう・壊してしまうような銀行交渉は、ぜったいに控えるべきです。ベンチマークの使い方には注意をしましょう。

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まとめ

銀行融資を上手に受けるための「金融仲介機能のベンチマーク」の使い方についてお話をしてきました。

ベンチマークは多様な使い方ができる、銀行融資のツールと言えます。ベンチマーク自体、意外と知られていないところですが、ぜひ押さえておきましょう。

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