飲食店や小売店など、「出店」をするのにはおカネがかかる。じゃあ、融資を受けよう。
と、言うのなら。出店資金の融資を受けるときに銀行へ伝えるとよい3つのポイントを押さえておきましょう、というお話です。
伝えるとよいのに、意外と伝えていないこと
飲食店や小売店など、「出店」をするのにはおカネがかかります。
そこで、「出店資金の銀行融資を受けたい」というケースは少なくありません。
そのときに。銀行へ伝えるとよいのに、意外と伝えられていないなぁ、というポイントについてお話をしていきます。次の3点です ↓
- 出店にいたった経緯
- 店舗経営の実績
- 協調融資
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
出店資金の融資を受けるときに銀行へ伝えるとよい3つのポイント
《ポイント1》出店にいたった経緯
出店資金の融資を受けるときに銀行へ伝えるとよい、1つめのポイントは「出店にいたった経緯」です。
ここでだいじなのは、「なぜいまなのか」と「なぜそこなのか」の2点になります。
なぜいまなのか
たとえば、はじめての出店(新規開業)であれば。「〇〇エリアで〇〇坪くらいの物件をずっと探していて、今回条件に合うものが見つかったから」などと伝えるのがよいでしょう。
これに対して「前からお店をやってみたいと考えていたから」のような伝え方だと。「なぜいまでなければいけないのか」という点で計画性を感じることができません。
なんとなく成り行きで開業しました、ともとれてしまいます。これでは、銀行も不安でしょう。
また、2店舗め以降の出店時にも「計画性」は大切です。銀行は場当たり的な融資、とくに、既存店の不振を補うための融資を警戒しているからです。
既存店が赤字で、資金繰りが厳しい。そこで、新規出店資金の融資を受けて、既存店の赤字を補てんする… そのような見方をされないように、計画性を伝えるようにしましょう。
銀行に伝えたいことはきちんと伝わるよう、書面にするのがいちばんです。
「なぜいまなのか」は、開業時の出店であれば開業計画書に「開業動機」として。2店舗め以降の出店であれば出店計画書に「出店経緯」として記載をするのがよいでしょう。
なぜそこなのか
計画性という点では、「なぜいま」のタイミングだけでなく、「なぜそこ」の場所もだいじな要素です。
そこで売れるの? そこにお客さんは来るの? というのは銀行の関心事でもありますから、できるだけの説得材料は提示したいところです。
業者に依頼して商圏調査、マーケティング調査という方法はありますが。けっこうなおカネがかかるという点では、あまり現実的ではありません。
そこで、たとえば。店舗の前の道で、営業時間帯の通行人調査をしてみる。インターネットを使って、店舗の最寄り駅の乗降客数を調べる。というのであれば、じぶんでもできます。
また、誰でも無料で使える「RESAS(リーサス、地域経済分析システム)」がおすすめです。
地域に関するさまざまなデータをとることができるので、対銀行だけではなく、じぶん自身が店舗経営について考えるのにたいへん役立ちます。
《ポイント2》店舗経営の実績
出店資金の融資を受けるときに銀行へ伝えるとよい、2つめのポイントは「店舗経営の実績」です。
これから出店する店舗をきちんと経営できるのか? 経営するだけの能力はあるのか? 銀行はそれを「実績」から見ています。
ここで言う「実績」とは、これまでの既存店舗経営の実績です。
実績について、「良いか悪いか(業績)」という見方はもちろんですが。もうひとつ、「どのくらいの店舗を経営してきたのか?(規模)」という見方もあります。
たとえば。これまでは、30席くらいの飲食店を経営しかしたことがないのに、今回出店するのは 100席というのでは「だいじょうぶなの?できるの?」と思いますよね。
この場合、いくら既存店の業績が良くても、銀行としては不安に感じるところでしょう。融資が難しくなります。
いっぽうで、50席くらいの飲食店を経営している実績があって、それと同じくらいのサイズの飲食店を出店するというのであれば。不安は小さいので融資もしやすいでしょう。
このように、「どのくらいの店舗を経営してきたのか?(規模)」は融資の可否を左右します。業績だけではなく、規模についても、銀行に伝えることが大切です。
店舗経営の実績も、銀行にはやはり書面にして伝えるのがいちばんです。
開業時の出店であれば開業計画書に「経歴」として。2店舗め以降の出店であれば出店計画書に「沿革」として記載をするのがよいでしょう。
たとえば、「開業以前、50席くらいの飲食店勤務経験がある」というのも、ひとつの実績です。そのことがわかるように経歴に記載するなどして、積極的に伝えるようにしましょう。
《ポイント3》協調融資
出店資金の融資を受けるときに銀行へ伝えるとよい、3つめのポイントは「協調融資」です。
協調融資(きょうちょうゆうし)とは、ひとつの案件に対して、複数の銀行から融資を受けることを言います。
たとえば、このたびの出店に 2,000万円の融資が必要だとして。A銀行から 1,000万円、B銀行から 1,000万円の融資を受けるようなケースです。
お店を出すというのはおカネがかかることであり(保証金、仲介手数料、設備、内装、什器など)、その金額がわりと大きくなることは珍しくありません。
融資をする銀行側としては「金額が大きいなぁ。もし返済不能になったときの損害が大きくなるなぁ」とリスクを感じるところです。結果、融資は難しくなります。
これを複数の銀行で融資をしたらどうでしょう? つまり、協調融資です。すると、ひとつの銀行で融資をするよりもリスクを分散・軽減できますよね。融資の可能性は高まります。
したがって、出店時などのように多額の融資が必要になるときには「協調融資」も検討をしてみましょう。
具体的には、公的金融機関である「日本政策金融公庫」と、民間金融機関の「地方銀行や信用金庫・信用組合」との協調融資がおすすめです。
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まとめ
出店資金の融資を受けるときに銀行へ伝えるとよい3つのポイントについてお話をしてきました。
銀行へ伝えるとよいのに、意外と伝えられていない会社・個人事業者が多いなぁ、というポイントになります。押さえておきましょう。
- 出店にいたった経緯
- 店舗経営の実績
- 協調融資