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新規で銀行に借入を申し込むときに聞かれること・答えるべきこと

新規で銀行に借入を申し込むときに聞かれること・答えるべきこと

いままで取引がない銀行から、新規で融資を受ける。

このとき、銀行から聞かれること。それに対して答えるべきことについて、お話をしていきます。

目次

銀行の真意がわからないから、答えはトンチンカンになる

会社・事業における銀行融資について。

いままで取引がない銀行から、新規で融資を受けようとする、ということがあるでしょう。

そのような場面で、銀行からよく聞かれることがこちらです ↓

新規で銀行に借入を申し込むときに聞かれること
  • どうして当行に借入申し込みをされたのですか?
  • 当行以外に借入はありますか?なぜそちらで申込をしないのですか?
  • 他行にも借入申し込みをされていますか?
  • 他行での借入条件はどのようですか?
  • 当行で借入できなかった場合にはどうされますか?

では、このようなことを聞かれたときに、いったいなんと答えればよいのか? 

それには、銀行の「真意」を理解する必要があります。どうして、このようなことを聞こうとしているのか。

その「どうして」という真意がわからなければ、トンチンカンな答えをしてしまいかねません。

そこで、上記それぞれの「聞かれること」に対して、「答えるべきこと」についてお話をしていきます。

 

新規で銀行に借入を申し込むときに聞かれること・答えるべきこと

どうして当行に借入申し込みをされたのですか?

もともと取引がない銀行の窓口に飛び込んで借入を申し込む。これは、基本的にアウトです。

どこの誰かもわからないうえに、突然、おカネを貸して欲しいとやってくる相手を銀行は警戒するからです。

したがって、新規で取引をはじめようとする銀行については、顧問税理士や取引先などの「紹介」があるのがベストだと言えます。

あるいは、銀行からの「営業(借入しませんか?)」を待つか。とはいえ、営業はいつ来るかわかりません。また、営業を受けられるのは、原則、業績のよい会社に限られます。

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この場合、いちど目当ての銀行の支店に電話を入れて、「借入のご相談をしたいのですが…」とアポイントをとることからはじめましょう。これが次善策です。

ここで、「どうして当行に借入申し込みをされたのですか?」と聞かれたら。「(会社に)近いから」と答えるのがいちばんです。

実際、銀行は「近い」ところを選ぶのが自然でしょう(近いのが便利だから)。逆に遠いと、銀行は「近くの銀行では断られて、しかたなくウチに来たのかな?」と警戒をします。

結果、お断りをされることになる。このあたりの銀行の考え方を押さえておきましょう。

当行以外に借入はありますか?なぜそちらで申込をしないのですか?

そもそもすでに借金はあるのか。「借金など無いほうがいい」と考えがちですが、銀行から借入をする場合には、必ずしもそうとは言えません。

すでに借金がある、つまり、他の銀行から融資を受けているということは。融資を受けるための審査をクリアした会社だ、ということです。

逆に無借金だという場合。借金をしないのではなく、したくてもできない、なにか事情があるのではないか? と考えるのが銀行。無借金のほうが、借入をするのは難しい一面があるのです。

ということで、「当行以外に借入はありますか?」と銀行からは聞かれることになります。これについては、有るか無いか、事実を述べるほかありません。

では、他行からの借入がある場合。こんどは、「なぜそちらで申込をしないのですか?」と聞かれます。もともとお付き合いがある銀行で借りるのが自然でしょ? という意図です。

これに対しては「取引銀行を増やしておいたほうがいい、と顧問税理士に言われたから」とか、「今後、会社・事業の成長に合わせて資金調達の幅を広げたいと考えているから」などが答えになります。

銀行側は、もともとお付き合いがある銀行からワケあって借入ができないのではないか? を疑っていますから。そうではなく、取引銀行を増やしたいだけ、とのアピールが重要です。

ちなみに、「他行の借入条件が悪いので」や、「他行の対応が良くないので」というような答えはイマイチだと言えます。

どちらも自社の業績が悪いようすや、銀行(員)とのトラブルなど、マイナスの印象を与えてしまいがちだからです。よって、それが事実だとしても、積極的にアピールするところではありません。

【参考】だから創業融資は大切なんだ

本文中で、「無借金のほうが、借入をするのは難しい一面がある」と言いました。これを解決するいちばんの方法は、創業時に「創業融資」を受けることです。

創業時点では、誰もが無借金なのですから、無借金が問題になることはありません。そのうえ、創業融資は「創業後よりも借りやすい」という特徴があります。

黒字や赤字といった「実績」を見られることがなく(創業時には実績そのものが無い)、あるていどの自己資金があって、事業計画がきちんとしていればOKだからです。

ゆえに、創業時には創業融資を受けておく。これを強くおすすめしています。

他行にも借入申し込みをされていますか?

業績悪化などにより資金繰りがひっ迫している会社は、借入できる銀行を求めて、同時にいくつもの銀行に借入申込をする傾向があります。数打てば当たるかも、との発想ですね。

当然、銀行からしてみれば、そのような会社は危険ですから、おカネを貸したくはありません。それを見極めるための質問が「他行にも借入申し込みをされていますか?」です。

これに対しては、借入をするのに問題が無い「決算書」、あるいは「試算表」が答えになります。

にもかかわらず。大きな赤字や債務超過の決算書では、警戒をされるのもむべなるかな、といったところでしょう。会社はきちんと利益を出すこと、利益を留保することが大切なのです。

また、決算からだいぶ時間がたっているのに、試算表をつくってさえいない。つくってはいるけれどだいぶ遅れている。この場合、会社の管理能力を疑われることとなります。

銀行から借入をしたいのであれば、決算書と試算表は「必須帳票」との認識を持つようにしましょう。認識不足だと、借りれるものも借りれなくなってしまいます。

なお、「他行にも借入申し込みをしている」こと自体は問題にはなりません。他行にも申し込みをしているのであれば、正直に言いましょう。

言わずに隠しておいて、両方の銀行から借入OKになった場合に、片方の銀行の借入は断る。これでは断られるほうの銀行はたまりません。せっかく審査をしたのに… と気を悪くされてもしまいます。

ですから、「両方の銀行から借入OKなら、両方から借ります」と答えるようにしましょう。これなら、銀行も安心して審査ができるはずです。

ただし、設備資金(設備投資をするためのおカネ)を借りる場合には、ひとつの設備に対して二重に借りるわけにはいきません。両方から借りれるのは、設備資金以外の運転資金に限られます。

それはそれとして、できれば「ひとつの案件」は「ひとつの銀行」に申し込むのがベストです。少なくとも、急いで同時に複数の銀行に申込みをしなければならない状況は避けましょう。

【参考】協調融資は別モノ

「ひとつの案件」は「ひとつの銀行」に申し込むのがベストですが、例外的に「協調融資」というものがあります。

「ひとつの案件」について、「複数の銀行」から同時に受ける融資を「協調融資」と呼びます。設備資金など、高額の借入を求めるケースでは有効な手法になりますので押さえておきましょう。

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他行での借入条件はどのようですか?

銀行はとかく「横並び」です。他行が貸すならウチも貸す、他行が貸さないならウチも貸さない。そういう考え方があります。

ですから、他行からの借入がある場合には、「他行での借入条件はどのようですか?」と聞かれるのです。他行のようすうかがい、ですね。

これについて、「多くを語らない」というのもひとつの方法でしょう。けれども、わたし自身は「他行の借入条件はありのままに答える」ことをおすすめします。

なぜなら、隠せば隠すほど怪しくなるものですし、横並びの「競争意識」を引き出すには他行の借入条件が欠かせないからです。

たとえば、他行の金利が低ければ、それを見た銀行は「ウチも低くして融資をしたい」と考えます。

他行がプロパー融資(信用保証協会の保証付きではない融資)を出していれば、「ウチも負けずにプロパー融資を提案しようかな」と考えます。

繰り返しになりますが、他行が貸すならウチも貸す。それが銀行の考え方です。

であるならば、他行の借入条件は積極的に開示をすべきものであり、隠すものではありません。

もしも、「借入条件が悪くって(金利が高い、など)… 教えたくない」と言うのであれば、それは別の問題です。利益が出ていない、債務超過がある、といった問題があるはずです。

しっかり利益を出して、内部留保できる会社を目指しましょう。

当行で借入できなかった場合にはどうされますか?

ほんとうに資金繰りがひっ迫をしているという場合。借入ができなければ、その会社はつぶれてしまうことがあります。

ゆえに、借入ができなければ大変に困るのであり、焦っているはずです。その困り具合や焦り具合をはかるべく、「当行で借入できなかった場合にはどうされますか?」と銀行はたずねます。

借入をしたいのはヤマヤマですが、ここであまり前のめりに過ぎると、銀行からは警戒をされることでしょう。

そこで、「今回はどうしても〇〇銀行さんから借入をしたいので、まずお願いをしているしだいです。もし、ダメだった場合には△△銀行さんに申し込みをします」などの答えが一例です。

また、「当行で借入できなかった場合にはどうされますか?」の問いには、「満額は借りられなかったらどうしますか?」との意味合いが含まれていたりもします。

つまり、「減額での融資でもだいじょうぶか?」ということです。銀行としては、少ない金額で融資をするほうがリスクが低い、という一面があるからです。

これについては、「余分な金額を申し込んでいるわけではないので、ぜひとも全額で」との意向を示しておくのがよいでしょう。

結果として減額はしかたありませんが、はじめから減額ありきで対応されてしまうのでは困ります。

なお、銀行は審査の結果、融資をできないこともありますから、お断りをするための布石を打ってくることもあります。

「他行からの借入も検討しておいてください」のような言葉があったときには、借入が難しいことを示していると理解をすべきところです。

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まとめ

新規で銀行に借入を申し込むときに聞かれること・答えるべきことについてお話をしてきました。

銀行はいろいろなことを聞いてきます。その「真意」を理解して、答えるようにしましょう。

真意をわからずにいると、トンチンカンな答えをすることになり、借りられるはずのおカネも借りられるなくなってしまいます。

新規で銀行に借入を申し込むときに聞かれること
  • どうして当行に借入申し込みをされたのですか?
  • 当行以外に借入はありますか?なぜそちらで申込をしないのですか?
  • 他行にも借入申し込みをされていますか?
  • 他行での借入条件はどのようですか?
  • 当行で借入できなかった場合にはどうされますか?
新規で銀行に借入を申し込むときに聞かれること・答えるべきこと

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