ちまたで言われる「銀行融資のデメリット」。それって、ほんとうなの? ということで。
会社が銀行融資を受けるデメリットが実はそれほどでもない理由についてお話をしていきます。
ちまたで言われる銀行融資のデメリット
会社が銀行から融資を受けることについて、その「デメリット」が問題にされることがあります。おもに次の4つです ↓
- 利息を払わなければいけない
- 借りたら返済しなければいけない
- おカネがあると使ってしまう
- 担保・保証人が必要になる
これらを耳にすると、「なるほどたしかに、そのとおりかもしれないなぁ」とは思うわけですが。
いっぽうで、「実はそれほどでもない」と言うこともできます。
つまり。ちまたで言われる銀行融資のデメリットは、そこまで大きなものではない。あるいは、デメリットと言えないものさえある。
ということで。銀行融資を受ける4つのデメリットが、実はそれほどでもない理由について、このあとお話をしていきます。
デメリットを気にしすぎてしまったばかりに、必要な銀行融資も受けずに資金繰りに汲々としている… などということがないように気をつけましょう。
銀行融資を受ける4つのデメリットが実はそれほどでもない理由
冒頭に挙げた「銀行融資を受ける4つのデメリット」が、実はそれほどのデメリットではない理由について、それぞれ見ていきましょう。
《デメリット1》利息を払わなければいけない
銀行から融資を受けたら、利息を払わなければいけない。これ自体は間違いありません。
それはそれとして、次のA社の事例で「いくらの利息」を払わなければいけないのかを確認してみましょう ↓
- A社の年間売上高は 3,000万円(平均月商 250万円)
- いま現在の手元の現金預金は 100万円
- 銀行から金利3%で 300万円の融資を受けることができる
では、A社が上記の条件で銀行融資を受けるなら、「いくらの利息」をはらわなければならないのでしょうか?
その答えがこちらです ↓
- 1年あたりの利息 ・・・ 300万円 × 3% = 90,000円
- 1ヶ月あたりの利息 ・・・ 9,000円 ÷ 12ヶ月 = 7,500円
- 1日あたりの利息 ・・・ 7,500円 ÷ 30日 = 250円
ちなみに、銀行融資を受ける前のA社の手元現金預金は 100万円でした。
平均月商 250万円の会社にしては、あきらかに現金預金不足です。いつも社長は資金繰りにアタマを抱えているはずです。
そのようなA社が、融資を受けることで 300万円の現金預金を持つことができたら。社長もだいぶラクになることでしょう。
と、考えたときに。はたして上記の利息は、「デメリットになるほど高い」と言えるのでしょうか?
1ヶ月あたり 7,500円、1日あたり 250円です。これくらいの利息で資金繰りが安定するのなら、利息を払ってでも融資を受けたほうがいい、との考えもあります。
これが、「利息を払わなければいけない」というデメリットがそれほどでもない理由です。
会社は資金繰りに困らないよう、「少なくとも平均月商以上」の現金預金を持つべきです。さらに言えば、平均月商の1.5倍から2倍くらいは。
ところが、実際にはA社のように現金預金が少なすぎる、結果、資金繰りが汲々としている会社は少なくありません。
銀行融資を受けて資金繰りを安定させる、という検討もしてみましょう。
《デメリット2》借りたら返済しなければいけない
借りたおカネは返さなければいけない。あたりまえです。
あたりまえではありますが。「きちんと返済ができるか心配だ…」との不安がデメリットだ、というのは理解できるところです。
ところが、この点で多くの人が誤解をしていることがあります。
それは、銀行から融資を受けたときには「借金だけが増える」ということ。誤解です。
たとえば、300万円の融資を受けたときには、たしかに 300万円の借金が増えます。300万円を返済しなければいけない。
これに対して、300万円の融資を受けることで、手元の現金預金も 300万円増えることになります(すぐに使わなければ)。
このように。融資を受けたときには、借金だけが増えるわけではありません。借金と同じだけのおカネも増えるのです。
したがって、300万円の借金をしても、それによって増えた 300万円の現金預金で返済をすればよいだけ。
(※ ただし、支払う利息分は別途、おカネが必要です)
そう考えれば、「借りたら返済しなければいけない」はデメリットではありません。
もちろん、借りたおカネを「ムダ使い」してしまえば、返済できなくなることもあるでしょう。次にそのお話をします。
《デメリット3》おカネがあると使ってしまう
さきほど、こんなことを言いました ↓
『融資を受けたときには、借金だけが増えるわけではありません。借金と同じだけのおカネも増えるのです。』
ゆえに、増えたおカネをついつい使ってしまうんだよね… ということが銀行融資のデメリットに挙げられます。
しかし、それはデメリットと言うより、資質や心がけの問題ではなかろうか? と思わなくもないわけで。だとすれば、デメリットですらありません。
とはいえ、「ついつい使ってしまう」のもわからないではありません。あれば使いたくなるのもまたヒトです。そこで「対策」を示してみます ↓
- 正味のおカネを見える化する
- 定期預金でおカネを固定する
- 予算を決める・計画を立てる
上記の対策をかんたんに説明をすると、
①は、現金預金の残高を「表面」の金額で見ない、ということです。代わりに「現金預金残高 ー 借入金残高」で見ます。
融資を受けた分(借入金残高)のおカネは無いものとして差し引き、正味のおカネを把握するという対策です。
②は、借りたおカネを普通預金にしておくとすぐに使えてしまうので、定期預金のようにすぐには使えないもので固定してしまおう、という対策になります。
③は、投資や経費についてあらかじめ予算を決める・計画を立てる。それらを守ることで、ムダ使いを防止するという対策です。
以上、3つの対策について、さらにくわしく具体的なことは、こちらの記事で書いています↓
こらら対策をもって、「おカネがあると使ってしまう」というデメリットを回避することができるはずです。
《デメリット4》担保・保証人が必要になる
銀行融資を受けると、担保や保証人を銀行から要求される。担保や保証人をとられるのはストレスだ。たしかに、そのとおりです。
ただし。絶対に担保や保証人が必要かというと、そうではありません。
誤解を恐れずに言えば、銀行から担保や保証人を要求されるのは、会社の「決算書の内容に不安があるから」です。
利益が少ないとか、自己資本が少ないとか、決算書の内容に不安があるから、返済不能になったときに備えて。銀行は担保・保証人を要求する。
逆に、決算書の内容が良くなれば、担保・保証人を無しに融資を受けることも可能です。
具体的には、毎年の決算で利益を出し、利益を積み上げて自己資本を増やしている。それが「良い決算書」ということになります。
したがって、銀行融資を受けるときには必ずしも担保・保証人は必要ない。担保・保証人が必要になることは、銀行融資のデメリットだとは言い切れません。
また、担保や保証人が必要になったとしても。前述したA社のように、あまりに資金繰りに汲々としている会社であればどうでしょう?
担保・保証人をとられるストレスよりも、資金繰りに縛られるストレスのほうが上だ、ということもあるはずです。
これもまた、担保・保証人が必要になることが銀行融資のデメリットだとは言い切れない1つのケースだと言えるでしょう。
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まとめ
会社が銀行融資を受ける4つのデメリットが、実はそれほどでもない理由についてお話をしてきました。
それぞれのデメリットは、聞けば「なるほどたしかに」ではありますが、そこまで大きなものではない。あるいは、デメリットと言えないものさえある、とも言えます。
デメリットを気にしすぎてしまったばかりに、必要な銀行融資も受けずに資金繰りに汲々としている… などということがないように気をつけましょう。