会社が資金ショートを避けるには、手元のおカネに余裕を持つ。そのおカネを銀行から借りるのもひとつの方法です。
というわけで。銀行から「余裕資金」の融資を受けるための注意点についてお話をしていきます。
余裕資金だって銀行から借りられる
会社が銀行から融資を受けるにあたっては「資金使途」が必要になります。
資金使途とは、文字どおり「おカネの使いみち」。借りたおカネを何に使うのか? ということです。
おカネを貸す側の銀行は、「何に使うかわからないおカネを貸すわけにはいかない」と考えているわけですね。
そんな「資金使途」は、大きく2つに分かれます。ひとつは「設備資金」で、もうひとつは「運転資金」です。
このうち「設備資金」とは。事務所や工場の建物・土地、機械設備、クルマ、什器備品などを買うためのおカネを指します。
これに対して「運転資金」とは。設備資金以外に事業に必要なおカネを指します。仕入をしたり、経費を支払ったりするためのおカネです。
では、「余裕資金」はどうでしょう?
いますぐに使うわけではないけれど。手元に置いておく、余裕をもって置いておくためのおカネ。そのような「余裕資金」を銀行から借りることはできるのか?
ずばり、できます。使わないおカネを借りることなどできるのか? と思われるかもしれませんが借りられるのです。
ただ、借りるにあたっては、いくつか気をつけるべきことはあります。
というわけで、 銀行から「余裕資金」の融資を受けるための注意点についてお話をしていきます。こちらです ↓
- 余裕資金の必要性を伝える
- 業績が悪ければ難しい
- 借りたおカネはムダ使いしない
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
銀行から余裕資金の融資を受けるための注意点
【注意点1】余裕資金の必要性を伝える
そもそも、「余裕資金を銀行から借りてまで持つ必要があるのか?」ということですが。
あります。
もちろん、じゅうぶんな自己資金を持っているのであれば借りる必要はありませんが、無いのであれば借りるべきです。
言うまでもありませんが、おカネが尽きてしまえば会社はつぶれるからです。それでも、「借金」を過度に嫌って、カツカツの自己資金でやりくりしている会社があります。
結果、手元のおカネはいつも少なく、資金繰りに四苦八苦している。ちょっとなにか(売上減少とか)があれば耐えられそうもない… そんな会社です。
これでは安心して事業を続けることもできませんし、社長も経営に集中することができないでしょう。
だったら、借りてでも余裕資金を持つという方法もあるだろう。そういう話をしています。
この点で。「いざというときに備えて、もう少しおカネを持っておきたい」との考えは、銀行にも理解を得られるところです。
銀行もまた、カツカツのおカネでやりくりする会社の危険性はわかっています。自社に余裕資金が必要であることを伝えて、融資の依頼をしましょう。
具体的には、資金繰り表を提示して説明をするのがおすすめです。資金繰り表には、最近3ヶ月くらいの実績と、向こう1年くらいの予測を折り込みます。
そのうえで、「現在手持ちの現金預金が少ないこと」「それでも現金預金が減り続けるような状況ではないこと」の2点を伝えましょう。
いま現在の現金預金が少ないうえに、この先もさらに減り続けるようでは、さすがに銀行も融資をするのを躊躇します。
【注意点2】業績が悪ければ難しい
「余裕資金を持つ」との考えは、銀行にも理解を得られるところだ。と、さきほどお話をしました。
ところが。会社の「業績が悪い」場合には話が変わります。
なぜなら、銀行は「貸したら返してもらえないかもしれない」と考えるからです。余裕資金の前にまず、借りたおカネを返せるような業績にしてくれ、ということですね。
ちなみに、銀行はおもに次の3点で会社の業績を見ています ↓
- 「税引後利益+減価償却費」がプラスかどうか(大きいほど良い)
- 資産の総額が負債の総額よりも大きいかどうか(大きいほど良い)
- 「借入金残高 ÷(税引後利益+減価償却費)」が 10以下かどうか(小さいほど良い)
これらを見ると、赤字であったり、債務超過(資産より負債が多い)であったりすれば、「業績が悪い」と見られることがわかります。
業績が悪いと見られれば、余裕資金の融資が受けにくくなることは前述したとおりです。
したがって、余裕資金の融資を受けようとするのであれば、会社の業績が良いときに銀行に依頼をすること。
にもかかわらず、業績が良いときほど「いまは要らない」「またこんど借りればいい」などと考えがちです。
借りたいときには業績が良いかどうかはわからないのですから(むしろ、業績が悪いときが多いはずです)、業績が良いうちに、借りられるときに借りておくことを検討しましょう。
【注意点3】借りたおカネはムダ使いしない
さて、首尾よく銀行から余裕資金を借りることができたとして。そのあと注意すべきことがあります。
それは、借りたおカネをムダ使いしないことです。
そもそも借りたおカネは「余裕資金」、いざというときに備えて手元に置いておくべきおカネでした。
それを使ってしまうこと自体がおかしな話ですし、銀行からしてみれば「ハナシが違う!」ということになってしまいます。
それでも会社が、余裕資金として借りたおカネを使ってしまうのであれば、銀行はきっと「もう貸したくない」と考えるでしょう。結果として、今後の融資が受けにくくなってしまいます。
じぶんのおカネか借りたおカネかにかかわらず、おカネがあるとついつい使ってしまう… ありがちですが、気をつけなければいけません。
具体的には、飲み食い(交際費、会議費、福利厚生費)が増える、あたらしくモノを買う(固定資産や消耗品費)、のはよく見かけるところです。
また、会社から社長におカネを貸し付ける(役員貸付金)。そして、社長個人でおカネを使う、ということもありますが。これは最悪です。
銀行は「会社」におカネを貸したのであって、「社長」におカネを貸したのではありません。役員貸付金があると、融資は非常に受けにくくなることは覚えておきましょう。
とはいえ。おカネがあるとついつい使ってしまう、というのは人の性(さが)でもあります。
そこは「しくみ」として防御するのも有効です ↓
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まとめ
会社が資金ショートを避けるには、手元のおカネに余裕を持つ。そのおカネを銀行から借りるのもひとつの方法です。
銀行から余裕資金を受けるための注意点を押さえておきましょう ↓
- 余裕資金の必要性を伝える
- 業績が悪ければ難しい
- 借りたおカネはムダ使いしない