会社が銀行から融資を受ける場合には、「信用保証協会付き融資」と「プロパー融資」という区分がありますが。
会社は、プロパー融資のほうを目指すべきだ。と言える理由についてお話をしていきます。
「信用保証協会付き」と「プロパー」と。
会社が銀行から融資を受ける場合には、「信用保証協会付き融資」と「プロパー融資」という区分があります。
まず、「信用保証協会付き融資」とは。会社が銀行から融資を受ける際、信用保証協会の「保証(会社が返済できないときには信用保証協会が肩代わり返済する)」を付ける融資です。
ちなみに、信用保証協会とは。各都道府県に1つずつ、加えて横浜市・川崎市・名古屋市・岐阜市に1つずつ。全国にぜんぶで 51ある公的な機関です。
これに対して、「プロパー融資」とは。さきほどの信用保証協会の保証が無い融資。言い換えると、銀行がすべてのリスクを負う融資です。
これら、信用保証協会付き融資とプロパー融資について。会社は、プロパー融資のほうを目指すべきだと言えます。その理由は次の3つです ↓
- 保証枠に余裕があると融資を受けやすいから
- これからはプロパー融資、の流れにあるから
- 割高な信用保証料はデメリットだから
それではこのあと、上記3つの理由を順番に見ていきましょう。
信用保証協会付き融資よりもプロパー融資を目指すべき3つの理由
《理由1》保証枠に余裕があると融資を受けやすいから
冒頭で触れた「信用保証協会」について。その役割は「中小企業が銀行からスムーズにおカネを借りられるようにサポートする」ことです。
具体的には、無担保の融資で 8,000万円まで、有担保の融資で2億円まで、信用保証協会が保証をしてくれます。
この 8,000万円や2億円は「保証枠」などとも呼ばれますが。これらは保証の「上限」であって、会社の状況によって保証枠の金額が異なる点には注意が必要です。
それはともかく。保証枠の金額までは信用保証協会が保証をしてくれるわけですから、銀行としては安心です。少なくとも、すべてのリスクを負うプロパー融資よりもずっと安心。
というわけで、銀行はプロパー融資よりも信用保証協会付き融資のほうが融資をしやすいのです。
この点で。もしも会社が、保証枠のいっぱいいっぱいまで融資を受けているとしたらどうでしょう? 会社の状況が悪化するなどおカネが必要な場面でも、信用保証協会付き融資を受けることができません。
もちろん、そのような危ない会社にプロパー融資をする銀行もないでしょう。おカネは無いし、融資も受けられない… 会社としては困ります。
そう考えると。会社がやるべきは、保証枠はできるだけ空けておくことです。
保証枠が残っていれば、会社が困ったときにも信用保証協会付き融資を受けられる可能性があります。結果として、資金繰りをまわすことができる可能性が高まります。
これを銀行から見ると。「信用保証協会の保証枠が空いている会社は、資金調達余力がある安心な会社だ」ということです。安心であれば、融資もしやすくなります。
もういちどまとめると。信用保証協会の保証枠が空いていない会社は融資が受けにくくなる。逆に保証枠が空いている会社は融資が受けやすくなる。覚えておきましょう。
《理由2》これからはプロパー融資、の流れにあるから
2018年に「中小企業信用保険法」という法律の見直しがありました。
見直しの内容をカンタンに言うと。なんでもかんでも「信用保証協会付き」はダメですよ! 各銀行もみずからもっとリスクをとりなさい!
つまり。もっと銀行はプロパー融資をしなさい! というのが、法の見直しが求めているところです。
これにより、今後はこれまでよりも「信用保証協会付き融資は厳しくなる」ことが予測されます。
実際に、「銀行もリスクをとる信用保証協会付き融資」の商品が登場してきました。たとえば、5,000万円の融資について、うち5割のプロパー融資があれば、残りは信用保証協会が保証をする。
言い換えると、銀行が5割のプロパー融資をしないのなら、信用保証協会付き融資は利用できない。というような商品です。
前述したとおり、銀行が融資をしやすいのが信用保証協会付き融資でした。
したがって、これまでは貸す側の銀行も、借りる側の会社も「保証協会付きならダイジョーブ」という感覚がありましたが、これが変わりつつあるのがいまです。
プロパー融資となれば、銀行も甘い審査はできません。なにかあったら責任を取るのは信用保証協会ではなく、じぶんたち銀行だからですね。審査を受ける会社側としては、融資を受けづらくなることでしょう。
そこへの対策は、ひとつは決算書の内容を良くすること。端的に言えば、利益をきちんと出すことです。借りたおカネの返済原資は利益、というのが銀行が考える理屈になります。これはいまも昔も変わりません。
昔とは少々違うのが「事業性評価」です。事業性評価とは、決算書にはあらわれない、「事業の内容」や「成長可能性」も評価して融資をしようという考え方です。
金融庁の意向もあり、今後、銀行は事業性評価による融資を増やしていかざるを得ない状況にあります。ゆえに、会社が事業性評価の面でアピールできれば、融資はより受けやすくなります。
プロパー融資をより受けやすくするためには、「決算書 + 事業性評価」と理解しておきましょう。
《理由3》割高な信用保証料はデメリットだから
信用力に乏しい中小零細企業が銀行融資を受けるうえで、信用保証協会の保証は頼りになるものです。
とはいえ。信用保証協会はタダで保証をしてくれるわけではありません。会社は、信用保証協会に「信用保証料」を支払う必要があります。
銀行には「利息」を支払い、そのうえ、信用保証協会には「信用保証料」を支払うのですから、会社としては負担増です。
信用保証料の金額は、融資金額や融資条件、会社の状況によって異なりますが、おおむね「年利1%分くらい」といったところでしょう。
つまり。銀行に支払う利息が「年利 2%」だとしたら、信用保証料により「年利 1%」を上乗せした「年利 3%」で融資を受けたようなイメージです。
言うまでもなく、なかなかの負担感であり、低金利の時代であるからこそ、信用保証料の負担感はより大きく感じられるところでもあります。
これがプロパー融資であれば、当然、信用保証料はいらないわけですから。やはり、できるだけプロパー融資を目指すべきとの理由になるでしょう。
では、いったいどうしたら、自社がプロパー融資を受けられるようになるのか? プロパー融資を受けるにあたっては「タイミング」が重要になります。こちらの記事も参考にどうぞ ↓
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まとめ
会社が銀行から融資を受ける場合には、「信用保証協会付き融資」と「プロパー融資」という区分があります。
これら、信用保証協会付き融資とプロパー融資について。会社は、プロパー融資のほうを目指すべきです。その理由を押さえておきましょう。
- 保証枠に余裕があると融資を受けやすいから
- これからはプロパー融資、の流れにあるから
- 割高な信用保証料はデメリットだから