会社を続けていると、思いもよらないことは起きるものです。
地震、台風、雪不足、ウィルス… いろいろあるからこそ、考えるべき銀行融資の勘所についてお話します。
いざとなれば借りられる、なんて言っているのはだれだ?
会社を続けていると、思いもよらないことは起きるもので。ここしばらくでも、地震や台風、雪不足、新型ウィルスなどが挙げられます。
結果として問題になるのが「おカネ」です。
思いもよらないことが起きると、思いもよらない売上・利益の減少、あるいは損失の発生に見舞われます。その結果、思いもよらない「おカネの不足」が問題になるわけです。
もしも、おカネがほんとうに無くなってしまったら。言うまでもなく、会社はつぶれてしまいます。また、つぶれる会社があると、その影響は別の会社にまで及びます。いわゆる「連鎖倒産」です。
そのような事態を避けようと、国や地方自治体主導の緊急融資や、金融機関に相談窓口の設置などが進められる。というのは、いま世間を騒がせている新型ウィルス問題を見ていればよくわかることでしょう。
この点で、「いざとなればおカネは借りられる」と考えているのであれば危険です。最悪の場合、会社をつぶしてしまいます。
その理由をふまえて。思いもよらないことがいろいろ起きるからこそ、いま考えるべき「銀行融資の勘所」についてお話をしていきます。こちらです ↓
- すぐに借りられるとは限らない
- 6ヶ月分のおカネを借りてでも持つ
- 利益がある・おカネがあるときに借りておく
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
地震、台風、雪不足、ウィルス…いろいろあるから考えるべき銀行融資3つの勘所
《勘所1》すぐに借りられるとは限らない
さきほど、「国や地方自治体主導の緊急融資や、金融機関に相談窓口の設置などが進められる」という話をしました。
これらの対応によって、たしかに会社は融資を受けられるのかもしれません。けれども、それが「いつになるのか?」はまた別の話です。
融資をするとは言っても、ホイホイとその場でおカネを貸してくれるわけではなく、相応の審査・手続きが必要になります。相応の時間がかかります。
借りたい会社があればあるほど、順番待ちの時間も発生しますから、いつ借りられるのかはわからないのです。現場(銀行)の対応力にも限界があることは覚えておきましょう。
だから、「いざとなればおカネは借りられる」とは考えないこと、ましてや「すぐに借りられる」などとは考えないことです。
ちなみに。東日本大震災のときには、災害関連融資を含む大規模な補正予算の閣議決定まで、実に半年以上かかりました。
多くの会社の融資財源になったことは間違いありませんが、そのときまで自社が持ちこたえられなければ、なんとも報われない話になってしまいます。
結局のところ、当面は自社自身でしのがなければいけない期間がある。この理解がたいせつです。
当面をしのぐために、自社自身でおカネを備えておく。では、いったいどれくらいのおカネを備えておけばよいものか? というのが次のお話です。
《勘所2》6ヶ月分のおカネを借りてでも持つ
なにが起きるかわからない、なにかが起きたあと融資が受けられるまでにどれだけかかるかわからない。
そう考えたときに、備えておきたいおカネは「6ヶ月分」がひとつの目安になります。前述した東日本大震災の例もあるからです。
では、なにをもって「6ヶ月分」なのか? 売上や利益の減少が起きたときに6ヶ月のあいだ耐えられるだけのおカネ、ということになります。
想定される減少が 30%なのか 50%なのか。いずれにせよ、減少しても6ヶ月のあいだ耐えられるだけのおカネはいくらになるのか? を計算してみましょう。
たとえば、売上 50%減が6ヶ月続くと、6ヶ月後には 2,000万円足りなくなる… というのであれば、2,000万円以上のおカネを準備することになります。
けれども。実際のところ、どれだけの売上・利益が減少するかはわかりません。であるならば、「平均月商(年間売上高 ÷ 12ヶ月)の6ヶ月分」を目安にするのもひとつの考え方です。
つまり、6ヶ月のあいだ売上がゼロを想定しておカネを準備する。言い換えると、現金預金の残高が平均月商の6ヶ月分以上あるかどうか、です。
とはいえ、中小企業が準備をするには大きな金額だと言えるでしょう。
中小企業は一般に、大企業ほど利益が安定せず、なかなかおカネもたまらない。第三者からの出資や社債の発行なども難しい。社長個人が持っているおカネも限られている。などの理由があるからです。
そこで、考えておきたいのが「銀行融資」になります。不測の事態にも会社を守るためには、銀行から借りてでもおカネを持つ、との発想です。資金調達手段が限られる中小企業にとっては欠かせない発想だと言ってよいでしょう。
この点で。借りるにあたっては「タイミング」がだいじなんだ、というのが次のお話です。
《勘所3》利益がある・おカネがあるときに借りておく
はじめに結論として。銀行から借りるにあたってのベストタイミングは、会社に「利益があるとき・おカネがあるとき」です。
ところが、多くの社長が「利益があるから・おカネがあるから借りなくていい」と考えています。銀行から融資を勧められても、「いまは要らない」と断ってしまいます。
これで良いのかどうなのか? 前述した「平均月商6ヶ月分の現金預金」を思い出せばわかりますよね。
多くの中小企業は「平均月商6ヶ月分の現金預金」を持つのが難しい状況なのですから、借りられるときに借りておくことです。
と、言うと。次のような反論をされる社長もいることでしょう ↓
- 借りたら利息を支払わなければいけない
- おカネがあるとついつい使ってしまう
なるほど、なるほど。
たしかに、銀行からおカネを借りたら利息を支払わなければいけないのはデメリットです。しかし、利息は「不測の事態」への備えであり、保険料みたいなものだ、と考えるのならどうでしょう。
個人で生命保険に加入している社長は少なくありません。自宅に火災保険や地震保険をかけている社長も少なくないでしょう。なのに、だいじな会社に保険はかけないのですか?
1,000万円を年利2%で借りたときの月々の利息は、約 17,000円です(返済とともに減っていきます)。いざというときに会社を守るための保険料だと考えれば… 高すぎるとは言えないはずです。
おカネを借りるとついつい使ってしまう、との話もときおり耳にします。おカネがあると思うと気が大きくなるのはありがちなことです。
ガマンなさい、と言ってしまえばそれまでですが。ガマンができないようなら、「しくみ」で対応しましょう。くわしくはこちらの記事を参考にどうぞ ↓
とにもかくにも。利益があるとき・おカネがあるときが、借りるのにベストのタイミングです。銀行は利益がない・おカネがない会社には、原則、おカネを貸しません。
逆の動き(利益がない・おカネがないときに借りようとする)をしてしまいがちなところなので、よくよく気をつけておきましょう。
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まとめ
会社を続けていると、思いもよらないことは起きるものです。
地震、台風、雪不足、ウィルス… ここしばらくだけでも、いろいろなことが起きています。いろいろなことが起きているからいまだからこそ、会社のおカネのこと、銀行融資のことを考えておきましょう。
- すぐに借りられるとは限らない
- 6ヶ月分のおカネを借りてでも持つ
- 利益がある・おカネがあるときに借りておく