もしも緊急時に、必要な融資を受けることができなければ。言うまでもなく、会社はつぶれてしまいます。
というわけで。ふだん銀行付き合いができていないと緊急時に融資が難しい理由を押さえておきましょう、というお話です。
ふだんできないことは、いざというときにもできない。
会社・事業における銀行融資について。
ふだんから銀行とのお付き合いができていない会社があります。そもそも融資を受けていない、あるいは、必要に迫られて融資を受けたことがあるていど。そんな会社です。
このように、ふだんから銀行とのお付き合いができていない会社のデメリットとして、「緊急時に融資を受けることが難しい」が挙げられます。
緊急時とは。たとえば、売上減少、得意先の倒産、設備の急な修繕・更新費用など。また、地震、台風、豪雨、雪不足などの自然災害。これらの緊急時には、思いのほか資金が不足する… ことが少なくありません。
最近(2020年3月4日現在)では、新型コロナウィルスの影響による資金不足・倒産もあります。まさに「緊急事態」です。
そこで、国や地方自治体、銀行が政策的・救援的な融資を急ぎ進めているわけですが。冒頭で言ったとおり、ふだんから銀行とのお付き合いができていない会社は、その融資を受けることが難しい。
その理由がこちらです ↓
- 融資に必要な書類がつくれないから
- 銀行からの融資をあきらめてしまうから
- 銀行の対応には優先順位があるから
もしも緊急時に、必要な融資を受けることができなければ。言うまでもなく、会社はつぶれてしまいます。資金が切れたときが会社の終わりです。
そんなことがないように、上記の理由を押さえておきましょう。このあと順番にお話していきます。
ふだん銀行付き合いができていないと緊急時に融資が難しい3つの理由
《理由1》融資に必要な書類がつくれないから
銀行融資に「書類」はツキモノです。
記載をしなければならない書類もあれば、用意しなければならない書類もあります。いくら緊急時と言えども、なにかしらの書類が必要なことに変わりはありません。
「貸して」と言ったら、貸してくれるわけではないのです。
ところが、銀行融資に不慣れな会社は、書類のつくりかたや用意のしかたがわからなかったり。つくること、用意すること自体がおっくうだ… とさえ考えてしまう社長もいます。
これでは、融資を受けることはできません。いくら緊急時の融資があったとしても利用することができません。
もしもふだんから銀行融資を受けていれば、そんなこともないでしょう。融資に書類が必要なのはあたりまえ、と動けるはずです。
融資は「困ったら受けるもの」という考えでいると、ふだんから融資を受けるきっかけをなくします。融資は本来、「困る前に受けるもの」です。
そう考えると、緊急時にあわてて融資を受けるというのも、実は間違えていると言えるでしょう。ふだんから、あらかじめ計画的に銀行融資を利用していれば、それほどあわてることはないはずだからです。
ちなみに。銀行融資を受けるにあたって、欠かすことができない書類は次の3つになります ↓
- 試算表
- 資金繰り表
- 借入金一覧表
これらがあるのとないのとでは、銀行融資の受けやすさがまるで違います。
試算表があるから、自社の「いま」を明らかにすることができる。資金繰り表があるから、自社の「これから」を明らかにすることができる。借入金一覧表があれば、銀行間に緊張を生み出し、競争を促すことができます。
結果として、安定的に融資を受けることで資金繰りも安定するはずです。ふだんから銀行融資を受けながら、書類をつくる・用意することに慣れておきましょう。
《理由2》銀行からの融資をあきらめてしまうから
さきほどの「《理由1》必要な書類がつくれないから」とも関わることですが。ふだんから銀行融資を受けていない、あるいは受けられていないと、緊急時にもあきらめてしまう、ということがあります。
いつもダメなのだから、どうせまたダメだろう。そんな感じです。
その結果どうなるか? いわゆるノンバンクやカードローン、果てはサラ金・闇金といったところからおカネを借りてしまう。銀行などに比べると、比較的かんたんに借りられてしまうからです。
たしかに、それでもおカネを借りることはできます。けれども、問題はそのあとです。ノンバンク・カードローンは銀行よりも金利が高く、サラ金・闇金にいたっては「法外」です。
会社が金利以上の利益率でかせげるのであればよいのですが、それもまた難しい話でしょう。金利が高すぎます。利益率よりも金利が高ければ、返済・利息の支払いに窮することは明らかです。
高すぎる金利(銀行の金利が高すぎることはありません)では、遅かれ早かれ会社がつぶれてしまいます。残念ながら、高金利の借入に手を出して、つぶれてしまった会社も目にしてきました。
そんなことは言われなくてもわかっている、と思われるかもしれません。
しかし、ふだんから銀行付き合いが不十分でイマイチ勝手がわからない、そこへきて緊急時となると、わかっているはずのことでさえ間違えます。
ふだんできないことは、いざというときにもできないものです。ふだんから銀行付き合いをしておくようにしましょう。
反面教師、銀行付き合いがヘタな会社にはどんな特徴があるのか? あわせて押さえておくことをおすすめします ↓
《理由3》銀行の対応には優先順位があるから
冒頭でも触れた新型コロナウィルスについて。政府系金融機関である日本政策金融公庫や、民間の銀行、信用保証協会とで各種の融資が案内をされています。
これらを見て、「あぁ、困ったら助けてもらえるんだな。融資が受けられるんだな」と思われる方もいるようですが。
誤解です。融資が受けられる可能性はありますが、「絶対ではない」ことを覚えておきましょう。
緊急時であり、その影響が大きい。まさに、このたびの新型コロナウィルスのような状況では、融資を受けようとする会社が銀行に殺到します。
もちろん、銀行によってや支店によってなど、殺到の度合いにも「差」はあるでしょう。ただ、少なくとも、平常時より混み合うことは確かです。
では、融資を希望する会社が殺到した銀行、混み合う銀行はどうなるか? 当然ながら、事務機能に限界が生じます。
いくら緊急時とはいえ、「貸して」と言われたら手放しでホイホイ貸す、という状態ではありません。必要な審査はあるし、必要な事務手続きがあります。時間と手間がかかるのです。
すると銀行は、融資を希望するすべての会社に対応することはできなくなりますから、おのずと「優先順位」が生じます。
誤解を恐れずに言えば。貸しやすいところから、貸したいところから貸す、ということになるでしょう。
貸しやすいところとは、たとえば、審査・手続きに対する準備がスムーズな会社。貸したいところとは、たとえば、ふだんからお付き合いがある会社です。
逆に、審査・手続きに必要な準備ができない。前述のような書類の準備もままならないような会社は後回しです。また、ふだんからその銀行とお付き合いがない、つまり、一見さんのような会社も後回し。
実際、そのような話を銀行員の方からお聞きもしています。
緊急時には優先順位があること、順位が劣後すれば融資を受けるにも時間がかかることを忘れてはいけません。その時間をしのぐだけのおカネがなければ、やはり会社はつぶれてしまいます。
結局。緊急時への対応は、緊急になる前、ふだんから備えておくこと。緊急時に必要となるおカネは、借りられるときに借りておくことです。
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まとめ
もしも緊急時に、必要な融資を受けることができなければ。言うまでもなく、会社はつぶれてしまいます。資金が切れたときが会社の終わりです。
そんなことがないように、ふだん銀行付き合いができていないと緊急時に融資が難しい理由を押さえておきましょう。
- 融資に必要な書類がつくれないから
- 銀行からの融資をあきらめてしまうから
- 銀行の対応には優先順位があるから