初めてお付き合いをする銀行というのは敷居が高いもので。会社のほうから「貸してほしい」と言えば、銀行は警戒します。
そこで。銀行のほうから「借りませんか?」と言わせる5つの方法について、お話をしていきます。
「貸して」と言われると、貸したくなくなる。
会社における銀行融資について。
ひとつの銀行からしか融資を受けていない、という会社は危険です。その銀行になにかがあったら(合併・統合や方針転換など)、いままでどおりに融資が受けられなくなってしまうかもしれません。
そう考えると。会社はお付き合いする銀行を増やしておくべきだ、と言えます。
ところが、初めてお付き合いをする銀行というのは敷居が高いもので。会社が飛び込みで融資を依頼しようものなら警戒をされるばかりです。
飛び込まれた銀行にしてみれば、「ほかの銀行で断られたからウチに来たのでは…?(だったらウチもいやだ)」といったところでしょう。
会社のほうから「貸してほしい」と言えば、銀行は警戒します。だったら、銀行のほうから「借りませんか?」と言ってもらえばいい。
どうやって?
というわけで。会社が銀行に「借りませんか?」と言わせる5つの方法について、お話をしていきます。
- 預金口座をつくる
- 整理整頓しておく
- まず決算書を見せる
- 良い決算書にしておく
- 信用調査会社の調査を受ける
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
会社が銀行に「借りませんか?」と言わせる5つの方法
《方法1》預金口座をつくる
「この銀行から融資を受けたいなぁ」という銀行があれば。まずは、その銀行に預金口座をつくりましょう。
預金口座があることで、銀行はその会社の「存在」を知ることができるからです。
逆に、預金口座もなく、いきなり飛び込んでいくと。銀行は「どこのだれかもよくわからない」ので警戒をすることになります。
また、あらかじめつくっておいた預金口座のなかで、売上入金や仕入・経費支払の取引をしておくと、銀行の警戒をやわらげることができるでしょう。
実際に、預金口座をつくり、そのなかで取引を続けていると、銀行のほうから融資の案内・提案をしてくることがあります。まさに、「借りませんか?」の状況です。
逆に、口座はあっても取引がなければ。「実態」はあるのかなぁ? と銀行は不安になります。ペーパーカンパニー的で、怪しげだからですね。
銀行は預金口座によって、会社の「存在」を確認する。口座内の取引によって、会社の「実態」を確認していることを覚えておきましょう。
《方法2》整理整頓しておく
銀行は、新規取引先を探しています。銀行の商売のひとつはおカネを貸して、利息を稼ぐこと。おカネを貸せる先を探さなければいけません。
とはいえ。やみくもに貸せばいい、というわけでもなく。「貸したおカネを返してくれる会社」を探します。
このとき。「貸したおカネを返してくれるかどうか」の基準として挙げられるのが「整理整頓」です。整理整頓と融資のあいだにどんな関係が? と思われるかもですが。
日常的に整理整頓ができている会社というのは、万事、きちんとしているもの。貸したおカネもきちんと返してくれるもの。そのように銀行は見ているのですよ、という話を銀行員の方から聞いています。
たとえば、玄関先にゴミが落ちている。玄関の掲示物が古いまま、剥がれかかっている。玄関先から見える場所にはいつも、無造作にダンボールなどが積み上がっている… などなど。
このように整理整頓ができていない会社は、見るからに「いい加減そう」ですよね。すると、銀行員は「こういう会社の社長は、おカネに対してもルーズなのだろう」と、融資を躊躇することになります。
社長であれば、じぶんが「銀行員」になったつもりで玄関先に立ってみましょう。銀行から「借りませんか?」と言ってもらうためには、整理整頓を怠らないことです。
もちろん、玄関先だけなく。銀行員を案内する応接室。応接室までの道すがらにも気をつけましょう。玄関はキレイでも、事務所内や倉庫・工場内が汚い… という会社はあるものです。
《方法3》まず決算書を見せる
さきほど、「貸したおカネを返してくれるかどうか」の基準として挙げられるのが「整理整頓」だ、というお話をしました。
では、基準のなかでもっとも大きなウエイトを占めるものがなにか? と言うと。
それは「決算書」です。会社の業績について、「数字」で示された決算書。その決算書によって、融資の可否はほぼほぼ決まる、と言ってよいでしょう。
イメージとして。融資の可否を決めるにあたって、決算書が占める割合は9割〜7割くらい(規模が大きな銀行ほど決算書を重視します)。残りの3割〜1割が決算書以外。さきほどの「整理整頓」などは、決算書以外に含まれます。
逆に、決算書が無いと、融資の可否を判断することができません。ですから、銀行は「まず決算書を見せてほしい」と考えているのです。
したがって、もしも、いままでお付き合いがない銀行が訪ねてきたら。初対面だろうとなんだろうと、決算書を見せてしまうことです。どうせ話をするのであれば、決算書を見ながらのほうが何倍も何十倍も有意義です。
世間話や、数字を伴わない感覚的な話をしていたのでは、融資にいたることはありません。
銀行員は「いつ、決算書を見せてくださいと言おうか…?」「きょうはあいさつにして、決算書は次回にしようか…?」などと思い悩んでいると聞きます。
そこへ会社のほうから決算書を見せるのであればどうでしょう。銀行員としてはありがたいことですし、銀行からの「借りませんか?」に早く近づくこともできます。
銀行が来たら、まず決算書を見せる。覚えておきましょう。
[ad1]《方法4》良い決算書にしておく
いましがた、「まず決算書を見せる」というお話をしました。では、決算書を見せたら融資が受けられるのか? と言えば、そんなこともありません。
決算書の内容が悪ければ、「貸しても返してもらえない会社」と見られますから、融資を受けることはできないからです。融資を受けるためには、良い決算書が必要になります。
では、良い決算書とはどのような決算書なのか? くわしくは別記事に譲るとして、端的に言うと、
- 「税引後利益 + 減価償却費」が大きい(最低でも1円以上)
- 資産の総額が負債の総額よりも大きい
- 「借入金残高 ÷(税引後利益+減価償却費)」が小さい(最低でも10未満)
要は、「きちんと利益が出ている、利益が出続けている」という決算書が「良い決算書」の典型です。
とはいえ、そのような「良い決算書」は一朝一夕に出来上がるものではありません。きょう・あす、銀行が来るからと言って「よし、良い決算書をつくろう!」で間に合うものではありません。
いつ銀行が来てもいいように、日ごろから「良い決算書」をつくることに取り組んでおく必要があります。結果として、銀行融資のためばかりではなく、自社のためにもなります(利益を出すことで会社は持続・成長できるので)。
なお、税金の未払いや支払遅延、他の銀行借入の返済遅延などは、銀行から融資を断られる原因になります。そのようなことで断られないように、日ごろから気をつけておきましょう。
《方法5》信用調査会社の調査を受ける
銀行が、「貸したおカネを返してくれる会社」を探すとき。信用調査会社のデータをもとに探す、ということがあります。
信用調査会社とは。企業や個人の信用度を調査する会社で、いわゆる「与信調査」を行う会社です。具体的には、帝国データバンクや東京商工リサーチ。
銀行は、その信用調査会社が提供している「情報」をもとに、評価が高い会社を中心に、あたらしい融資先を探しているのです。
であるならば。信用調査会社からの評価を上げることができれば、銀行からの訪問が増える、ということになります。では、どのようにすれば評価は上がるのか?
信用調査会社からの調査を受けることです。
会社を続けていると、帝国データバンクや東京商工リサーチから、調査依頼(郵便、電話、訪問)を受けることがあります。
この調査を断る、という選択肢もあるわけですが。断ってしまうと評価は上がらず、調査を受けることによってはじめて、評価が上がるしくみになっています。
ただし、決算書の内容が悪ければ、当然評価も悪くなります。よって、決算書の内容が良いとき(黒字のとき)にこそ調査を受けるべきです。
信用調査会社からの評価が上がれば、銀行からの訪問チャンスを上げることができる。結果として、「借りませんか?」に近づくことができます。信用調査会社からの調査を、銀行融資に活かしましょう。
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まとめ
初めてお付き合いをする銀行というのは敷居が高いもので。会社のほうから「貸してほしい」と言えば、銀行は警戒をするばかりです。
銀行のほうから「借りませんか?」と言わせる方法について、押さえておくようにしましょう。
- 預金口座をつくる
- 整理整頓しておく
- まず決算書を見せる
- 良い決算書にしておく
- 信用調査会社の調査を受ける