銀行から聞かれる、自社の「基本情報」について。意外とトンチンカンな回答をしていたり、言葉足らずもあるものです。
そこで。自社の基本情報、銀行に何を話す?どう話す?のポイントをまとめます。
トンチンカンな回答、言葉足らずになってない?
はじめて融資を受けようとする銀行からは、自社の「基本情報」を聞かれることになります。
また、融資を受けたあとでも、折に触れて「基本情報」について聞かれることはあるでしょう。
なぜなら、銀行が融資の可否を判断するにあたって、融資先の基本情報、つまり、融資先の「概要」をつかむのはだいじなことだからです。
だいじなことを聞かれているのですから、会社としては「的を射た回答」をしましょう。トンチンカンな回答や、言葉足らずは避けましょう。
ということで。自社の基本情報について、銀行に何を話す? どう話す? のポイントをまとめることにしました。このあと、以下の項目ごとに見ていきます ↓
- 会社名(商号)
- 所在地
- 業種
- 創立日・設立日
- 事業所(店舗、工場、倉庫など)
- 役員・株主構成
- 従業員数
- 主要取引先
- 取引金融機関
自社の基本情報、銀行に何を話す?どう話す?のポイント
会社名(商号)
会社名(商号)について、「見りゃわかるだろう」との感覚ではいけません。
会社名にはなにかしらの「由来」や「思い」があるものです。その由来や思いは、会社の存在意義や経営理念などにも通ずるものがあります。
銀行に、自社のことをより理解してもらうためには、会社名の由来や思いまでを伝えるようにしましょう。実は、銀行員も「聞きたい」と考えている話でもあります。
それからもうひとつ。会社名を変更したことがある場合には、変更の「理由」も話をするようにしましょう。
銀行は、会社名を変更した事実を知ると、「なにか問題があったのだろうか?」との疑いを持つものです。たとえば、「不祥事を起こしてしまい、それを隠すために会社名を変更したのでは?」とか。
ですから、会社名を変更した理由は、きちんと伝えるようにしましょう。
所在地
実際の会社の所在地が、登記上の所在地と違う。というのは、わりとある話です。
けれども、銀行からしてみれば「なんで?」ということにもなります。どうして、会社の所在地と、登記上の所在地が違うのか? その理由を伝えるようにしましょう。
また、所在地がたびたび変わっているような場合。銀行は警戒をするものです。つまり、「なにか怪しいことをしていて、それがバレないように、場所を変えているのでは?」とか。
所在地の変更についても、その理由を伝えられると銀行は安心をします。
業種
銀行にとって、融資先が「なにをしている会社か?どういう仕事をしている会社か?」を知るのは、とても大切なことです。
同業他社に比べて、「抜きん出た技術を持っている」とか、「シェアの高い商品・サービスがある」とか。であるならば、その会社の将来性は高いことから、積極的な融資もできるというものです。
そう考えると。ただ単に「〇〇業です」などという話をしてもしかたがないことがわかります。
たとえば、同じ小売業であっても。なにを売っているか、どこで売っているか、だれに売っているか、いくらで売っているか、などは会社によって違うはずです。
したがって、銀行から「業種」について聞かれたら。そのあたりまでは答えれるようにしましょう。
また、業種・業態に変更があったとき、そこまで大がかりでなくとも、あたらしい商品・サービスができたときなどは、銀行に伝えることも忘れずに。伝えなければ、銀行は「以前のまま」だと考えています。
場合によっては、旧態依然、「古くて変化の無い会社」との評価になってしまうこともありえますから気をつけましょう。
[ad1]創立日・設立日
いっぱんに、事業をはじめた日を「創立日」、会社を設立した日を「設立日」と言います。
はじめは個人事業で、その後に会社を設立した場合(法人化)には、個人事業をはじめたときが創立日で、会社を設立したときが設立日。といった具合です。
なお、設立日は謄本を見ればわかりますが、創立日はわかりません。
ですから、設立日と創立日が異なる場合には、創立日について銀行に伝えるとよいでしょう。基本的には、歴史が長いほうが安心感を与えられますので。
いっぽうで。歴史が長い会社は「寿命が近いのではないか?」との見方もあります。「会社の寿命は〇年」などと言われることもありますから。
歴史が長くとも、「変革・変化」を繰り返すことで継続をはかっている。というような話ができるとよいでしょう。
事業所(店舗、工場、倉庫など)
本店のほかに、事業所(店舗、工場、倉庫など)があれば、銀行に伝えるようにしましょう。
たとえば、店舗や工場などでは「新規設備」や「設備更新」のために、おカネが必要です。すると、銀行は融資提案のチャンスと考えます。
また、いくつか事業所があれば、さらに事業所を増やすこともあるでしょう。そのときには、やはりおカネが必要ですから、銀行は融資提案のチャンスです。
会社としては、必要なおカネを銀行から借りられるためにも、事業所の情報(どこにあるのか? どんな設備があるのか? など)を伝えるようにしましょう。
役員・株主構成
役員・株主構成は、銀行の大きな関心事のひとつです。
役員は社長の親族だけか、それとも第三者がいるか? その第三者はどのような関係か? 場合によっては、将来、第三者が経営の障害になることも考えられます。
また、現社長が高齢の場合、役員のなかに後継者はいるか? といったことも銀行は気にしているところです。後継者がいなければ、会社の存続に不安があるため、融資はしづらくなります。
株主構成の面では、社長が議決権の3分の2以上を持っているかどうか? がポイントになります。それを下回ると、他の株主によって、社長の思いどおりに経営できなくなる可能性があるからです。
この点、社長と他の株主(親族か第三者かを問わず)との「関係性」も気になるところです。関係性が悪ければ、経営にジャマが入りやすくなります。
そのあたりの銀行の不安を払拭できるように。役員・株主構成について、話をできるとよいでしょう。
[ad1]従業員数
銀行から「従業員数」について聞かれることも少なくありません。
まず、従業員数の大小から、会社の規模感をはかることができます。
それだけではなく、従業員数を知ることで、その会社の生産性を知ることもできます(ひとりあたり売上高、とか)。
さらに、従業員数の「推移」を確認することで、会社の調子をはかることもできるでしょう。従業員数が伸びていれば調子が良さそう、とか。従業員数が減っていれば、内部に問題があって定着率が悪いのかな? とか。
いずれにせよ。単に「〇人です」という回答ではなく、どういう状況・経緯のもとで「〇人」なのかまで説明をするようにしましょう。
銀行としては、より会社の状況をつかみやすくなりますから、融資の検討もしやすくなるところです。
主要取引先
銀行は、会社の「取引先」を知ることで、会社・事業の良し悪しをはかろうとしています。
たとえば。売上先数が少ない場合、つまり、大口の売上先にかたよっているような場合には、その売上先になにかあったときのことを考えれば、不安があると言えます。
また、仕入先について。古くからの仕入先ばかりで数が少ない場合、仕入価格が硬直化している(価格が高いままの)可能性があるため、収益性に問題があることも疑われます。
そのあたり、「反論」があるようであれば、状況・経緯を銀行に説明をすることが大切です。説明しなければ、不安や疑いを残すばかりになりますので。
また、取引先の話をするなかで、「不足」があるのであれば、それも銀行に伝えてみるとよいでしょう。不足とは、「仕入先として、どこか良い会社を知らないか?」といったことです。
銀行は、いわゆる「マッチング」も業務のひとつですから、取引先を充実させることに協力をしてもらえるかもしれません。
取引金融機関
銀行は、会社が「どの銀行とお付き合いをしているか? どの銀行から融資を受けているか?」を気にしています。
他の銀行のようすを知ることで、じぶんの銀行が「融資をすべきか、融資をしないほうがいいのか」の判断材料にするためです。
たとえば、他の銀行が融資額を伸ばしていれば。会社の調子が良いと見て、融資をしているのであろうから、じぶんの銀行も融資を伸ばそう! と考える。
逆に、他の銀行が融資額を減らしているようであれば。会社の調子が悪いと見て、融資を控えているのであろうから、じぶんの銀行も融資はやめておこう… と考える。
自社の調子が良ければ、銀行のあいだには「融資をしたい」との競争が起きますので、より良い融資条件(低金利や担保・保証なし、など)を引き出せる可能性があります。
したがって、他の銀行が「積極的に融資をしてきている」という点があれば、その事実を銀行に伝えるのがよいでしょう。
伝えるにあたっては、情報をまとめた「借入金一覧表」として渡すことができればベストです ↓
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まとめ
銀行から聞かれる、自社の「基本情報」について。意外とトンチンカンな回答をしていたり、言葉足らずもあるものです。
自社の基本情報は、銀行に何を話せばよいのか?どう話せばよいのか?そのポイントを押さえておくとよいでしょう。
ポイントが押さえられていれば、銀行も融資の検討をしやすくなります。
- 会社名(商号)
- 所在地
- 業種
- 創立日・設立日
- 事業所(店舗、工場、倉庫など)
- 役員・株主構成
- 従業員数
- 主要取引先
- 取引金融機関