新型コロナウイルスや豪雨被害… あすはなにが起きるかわからない。
不確かな今だからこそ、「〇〇のため」に数値計画をつくりましょう。というお話です。
数値計画はすこぶる人気がない
数値計画をつくりましょう、などと言うと。メンドーだ、意味がない、などと毛嫌いされてしまうこともあるわけですが。
不確かな今だからこそ、数値計画をつくりましょう。と、あえてお伝えをしています。
本投稿日現在(2020年7月24日)、新型コロナウイルスや豪雨被害によって、多くの会社・個人事業者が厳しい状況を強いられています。
少し前にさかのぼれば、台風があったり、雪不足があったり、東日本大震災があったり、リーマンショックがあったり…。
いずれも「不測の事態」であって、 いま目の前にある「現状」はいつまで続くかわからない。現状とは不確かなものである、と言えるでしょう。
世の中が変化するスピードも、以前に比べて早くなったとも言われています。
このように「不確かな今」だからこそ、先を見据えた計画が役に立つ。そういう話をしています。
でもどうして? なんのために数値計画が役に立つというのか? という疑問に対する回答がこちらです ↓
- タイムリミットを把握するため
- 異変を察知するため
- 変化を織り込むため
- 銀行に理解してもらうため
- あすを考えるため
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
不確かな今だからからこそ「〇〇のため」に数値計画をつくる
タイムリミットを把握するため
新型コロナウイルスの例で言えば、その影響により、多くの会社・個人事業者の売上が減少しました。
売上の減少によって利益も減少し、おカネも減少していく。おカネがなくなったときが、会社・事業の終わりです。
そこで、いまの状況が続くと仮定した場合に、いつ終わりを迎えることになりそうか? つまり、「タイムリミット」はいつなのか?。
売上を回復させるにしても、コストを削減するにしても、そのタイムリミットを把握できていなければ、「間に合わない・手遅れ」ということはあるわけです。
そこで、「タイムリミットを把握するため」に数値計画をつくります。
具体的には、まず、向こう1年ていどについて、毎月の収入と経費の金額を検討しましょう。これによって毎月の利益が計算されます(収入 − 経費)。
利益の分だけおカネが増えると考えれば、次のような算式が成り立ちます ↓
月末の現金預金 = 月初の現金預金 + 当月の利益 − 当月の借入返済額 + 当月の新規借入
借入返済と新規借入は、「利益計算(収入 − 経費)」とは関係がないので、上記算式のとおり別途計算する必要があります。
この算式について、当月の利益が少なすぎたり(借入返済額に対して)、あるいは、当月の利益がマイナスであったりすると。月末の現金預金は、月初の現金預金よりも減ることになります。
減り続ければ、いずれどこかの月で、現金預金がマイナスになる。そこが「タイムリミット」です。
タイムリミットを把握したうえで、あらためて毎月の収入や経費の金額を検討してみる。 どのように売上の改善をはかるか、どのようにコスト削減をはかるかを検討してみる。
必要であれば、「新規の借入」や「借入返済額の見直し」も検討してみる。そしてもう一度、「タイムリミット」を計算し直してみる。これを繰り返して、どれだけ「タイムリミット」を先送りできるか? です。
現状ベースでの「タイムリミット」を把握することができたら、続いて、悲観シナリオベースでの「タイムリミット」も把握しておきましょう。
たとえば。さらに売上が 50%減少した場合や、売上の回復がさらに半年遅れた場合など。悲観的なシナリオを想定して、「タイムリミット」を計算し直します。
不確かな今だからこそ、悲観シナリオまでふまえて、「タイムリミット」を把握しておきましょう。把握したうえで、先手先手で手を打てるようにしましょう。
異変を察知するため
さきほど、数値計画について「まず、向こう1年ていどについて、毎月の収入と経費の金額を検討しましょう」という話をしました。
言うまでもありませんが、計画は立てておしまいではありません。立てた計画と、実際と比較するところに意味があります。
ですから、計画した毎月の収入と経費に対して、実際の毎月の収入と経費がどうだったのか? 必ず比較をしてみましょう。
言われてみれば当たり前のことなのですが、計画を立てっぱなしにしている会社は少なくありません。計画と実際と比較していない会社は少なくないのです。
計画と実際とを比較することで、「ズレ」がわかります。ズレているのでれば、立てた計画とは違う、当初の想定とは違う、なにか異変が起きている。と、察知できます。
異変を早く察知できれば、早く手を打つことができますよね。
逆に、異変を察知するのが遅れれば、打てる手も限られてしまいます。最悪の場合には手遅れということもありえます。
にもかかわらず。数値計画をつくっていない、実際と比較をしていない。異変を察知できない。そういう会社は少なくありません。
異変を察知するために、数値計画をつくるようにしましょう。
[ad1]変化を織り込むため
ふたたび新型コロナウイルスの例で言えば。その影響により、変化を余儀なくされた会社もあるでしょう。積極的に変化をしようとする会社もあるでしょう。
たとえば、テレワーク。いままでは毎日会社に通勤をして仕事をしていたけれど、毎日家で仕事をするようになった。ひとつの変化です。
また、飲食店であれば。店内での飲食が難しくなったことから、テイクアウトをはじめた。これもひとつの変化です。
このような「商売・仕事」の変化によって、 収入や経費の「金額」にも変化が出ます。
その金額の変化がよくわからないまま、以前と同じ感覚で商売をしていると、のちのち慌てることになるでしょう。
思ったよりも利益が減ってしまった、思ったよりもおカネが減ってしまった… と慌てることがないように、「商売・仕事」の変化を織り込んだ数値計画をつくることが大切です。
まず行動を起こすのは大切なことではありますが、その行動によってどのような結果、どのような数字になるのか? これもまた大切なことです。
商売や仕事に変化が求められるいまだからこそ、変化を織り込むための数値計画をつくるようにしましょう。
銀行に理解してもらうため
会社のおカネが足りない場合、銀行から融資を受けるという方法があります。ところが、借りたいからといって借りられないのが銀行融資です。
融資を受けるには、銀行の審査をクリアしなければなりません。その審査をクリアするにあたって、役に立つもののひとつが数値計画だと言えます。
おカネを貸す側である銀行としては、「この会社は将来にわたって返済ができるだろうか」が関心事です。将来が気になるのです。
この点で、会社の将来を示す数値計画は、銀行の理解を得るのに役立ちます。数値計画は、このさき返済できるかどうかを検討する材料になるからです。
また、数値計画を通じて、今後の改善策や取り組みなどを銀行に伝えることができれば。銀行により理解をしてもらえるはずです。結果として融資が受けやすくなる。
にもかかわらず、銀行融資を受ける際に、数値計画を提示できる会社は少ないものです。
不確かな今だからこそ、将来に備えて銀行融資を受けておくことも選択肢のひとつになります。そのときに、銀行に理解してもらうためにも、数値計画をつくっておきましょう。
あすを考えるため
社長にとって、もっとも大事な仕事は何か? と言えば。それは「経営」です。言い換えると、「あすを考えて、いま手を打つ」ことです。
この仕事は社員に任せるものでもありませんし、任せられるものでもありません。
社長以外には「あすを考えて、いま手を打つ」ことをできる人はなく、社長ができないのであれば、会社の持続・成長は難しくなります。
ところが。中小企業の社長は、「一社員としての仕事」をしていることも少なくありません。現場に立ち、現場で物をつくり、現場で物を売る。
それはそれで必要な仕事ではありますが。そればかりとなると、「経営をする人」がいなくなってしまいます。
また、会社が厳しい状況にあるほど、社長が目の前の仕事に縛られるということしばしば。資金繰りが厳しいとなれば、資金繰りにも縛られることになります。
やはり、「経営をする人」がいなくなるので、会社の状況はますます厳しくなる…。
そうならないように、社長には「あすを考えて、いま手を打つ」ための時間が必要です。その時間をつくるきっかけとして、数値計画が役立ちます。
数値計画は、まさに「あすを考える」ことです。計画を通じて、あすを考える。必要な手を打っていく。計画と実際とを比較するなかで、継続的に「あすを考える」こともできます。
不確かな今だからこそ、不確かな今を乗り切るために、社長は経営の仕事をすることが必要です。
目の前の仕事にしばられず、あすを考えるために数値計画をつくりましょう。
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まとめ
新型コロナウイルスや豪雨被害… あすはなにが起きるかわかりません。世のなかが変化するスピードも、以前に比べて早くなりました。
そんな不確かな今だからこそ、数値計画をつくる。それがなんのためであるのか? 理解をしたうえで数値計画に取り組んでみましょう。
- タイムリミットを把握するため
- 異変を察知するため
- 変化を織り込むため
- 銀行に理解してもらうため
- あすを考えるため