本投稿日現在(2020年8月7日)、長引くコロナの影響により、 追加融資を考える会社もあるでしょう。
そこで。コロナ禍で追加融資を受けるために、会社が準備すべきことについてお話をしていきます。
「仏の顔」はなんどまで?
この記事の投稿日は、2020年8月7日。コロナ関連の融資を受けることができたけれど、ふたたび、資金繰りが厳しくなってきた… という会社もあるでしょう。
コロナ関連の融資が本格的にはじまった 2020年3月以降、5ヶ月ほど経ちました。
コロナ関連の融資として代表的なところでは、民間銀行を利用するセーフティネット保証、日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付などが挙げられます。
これらの融資では、「平均月商(あるいは平均月間固定費)の3ヶ月から6か月分くらい」というのが融資金額の目安とされていました 。
したがって、当初融資を受けて以降、業績が回復していない会社は、ふたたび資金繰りが厳しくなってきているわけです。
コロナ関連の融資は、複数回受けることができます。また、実質無利子の制度は、金額の拡充もありました。
さらにコロナの影響が長引けば、あらたな融資制度が用意されるかもしれません。
であるならば。会社はコロナを乗り切るために、追加融資を受けるという選択肢があります。
ところが。「比較的受けやすい」と言われたコロナ関連の融資も、2回目以降となれば、1回めほどの受けやすさはないものと考えられます。
そんなにすぐまた借りて、ほんとうに返せるのか? との疑問が強まるからです。
そこで。コロナ禍で追加融資を受けるために、会社が準備すべきことをまとめてみました。こちらです ↓
- 借りたおカネはどこへ消えたか?の把握
- コロナ禍での業績とその推移の把握
- なにをしてきたか、なにをするかの整理
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
コロナ禍で追加融資を受けるために会社が準備すべきこと
《準備1》借りたおカネはどこへ消えたか?の把握
コロナ禍で追加融資を受けるために、会社が準備すべきことの1つめ。それは、「借りたおカネはどこへ消えたか?の把握」です。
追加融資の審査にあたり、銀行としては「当初借りたおカネはどうしてなくなってしまったのだろう?何に使われたのだろう?」と疑問に思うことでしょう。
多くの会社は、運転資金(仕入や経費の支払いに充てるおカネ)として融資を受けていたはずです。
だから、「運転資金に使ったに決まってるじゃないか」と回答するのでは不十分です。
ひとくちに「経費」と言ってもいろいろありますし、仕入代金や経費を支払うタイミングもいろいろでしょう。
そのあたりを、目に見えるカタチで説明できることがベストです。口頭で回答するだけでは、「あいまいさ」が残り、銀行が納得できる説明をするのは困難になります。
では、「目に見えるカタチ」とは具体的にどういうことか?
資金繰り表です。当初融資を受けてから、いま現在にいたるまで、「実績」の資金繰り表をつくることです。
資金繰り表を見れば、おカネ(現金預金)の残高の推移が明らかになります。仕入代金や各種経費の支払いも明らかになります。
というわけで。会社は追加融資を受けるにあたり、実績の資金繰り表を準備して、「当初借りたおカネは何に使われたのか?」を説明できるようにしておきましょう。
ちなみに。当初は「運転資金」として借りたのに、それ以外のことにおカネは使われているという場合。非常にまずい状況になります。
たとえば、クルマを買ったり、株など有価証券を買ったりしている。あるいは、会社が借りたおカネを社長個人に貸しているなど。
そのように、当初の使いみちとは違うことにおカネを使っていると「資金使途違反(しきんしといはん)」になります。最悪の場合、全額返済を迫られるところです。
このあたりも含めて、銀行は「借りたおカネは何に使われたのか?」を気にしていることを理解しておきましょう 。
《準備2》コロナ禍での業績とその推移の把握
コロナ禍で追加融資を受けるために、会社が準備すべきことの2つめ。それは、「コロナ禍での業績とその推移の把握」です。
会社が自社の業績を把握する、というのは言うまでもなく大切なことです。さらに言えば、できるだけ早く、できるだけタイムリーに業績を把握することが大切になります。
具体的に言うと、試算表の作成です。試算表を毎月、できるだけ早いタイミングで作成をして、会社の業績を把握しているかどうか。
試算表を通じて、業績は「数字」によって明瞭になります。把握した自社の業績をもとに、軌道修正をしたり、あらたな意思決定をすることができます。
いっぽうで、試算表を作成していない会社は業績が不明瞭です。業績の把握を「感覚」に頼らざるをえません。すると、軌道修正、意思決定の精度は低くなります。
だから。銀行は、会社がコロナ禍において、「どのような業績か?業績はどのように推移しているか?」を気にしているのです。
コロナというピンチを乗り切っていける会社かどうか? 銀行は試算表を通じて確認している、とも言えます。
ですから、当初融資を受けたとき以降の試算表を、銀行に提示できるようにしておきましょう。
会計ソフトであれば、毎月の試算表を推移にした表(月次推移表など)を出力することもできます。推移を把握するのに便利なので、あわせて利用するとよいでしょう。
[ad1]《準備3》なにをしてきたか、なにをするかの整理
コロナ禍で追加融資を受けるために、会社が準備すべきことの3つめ。それは、「なにをしてきたか、なにをするかの整理」です。
いましがた、試算表で会社の「業績」を把握する、というお話をしました。
その「業績」は「結果」であって、結果にいたる「過程」にはなにがあったのか? 会社はなにをしていたのか? 銀行としては気になるところです。
仮に、いまのところ業績は目に見えて回復していないとしても。業績を回復させるために、会社がいろいろな検討や行動を尽くしていれば、回復の見込みはあります。
けれども、検討や行動が足りなければ(極端な場合、なにもしていなければ)、回復の見込みは少ないと言えるでしょう。
したがって、当初融資を受けたとき以降、会社がなにをしてきたのか? 検討や行動の過程をまとめておく。銀行に伝えられるようにしておくことが大切です。
加えて、「これからなにをするか」も、伝えられるようにしておきましょう。
回復が不十分なために追加融資を受ける事態に陥っているわけですから、「まだまだ検討や行動が足りない」と言われても(あるいは、思われても)しかたありません。
これに対して、銀行を納得させるためにも、「これからなにをするか」を伝える必要があります。
具体的には、「行動計画」としてまとめることがおすすめです。
行動計画に記載する項目はおもに、「なにをなんのためにやるか」「見込まれる効果はどれくらいか」「だれがやるか」「いつまでにやるか」になります。
いずれかの項目が欠けてしまうと、計画の具体性が下がってしまうので注意しなければなりません。
なお、作成した行動計画は、いずれ銀行に結果報告ができるように、「実績」も記録しておくようにしましょう。
銀行は、会社は一度言ったことを忘れないものです。会社が忘れたとしても、銀行は覚えているものです。
なにより、実績を記録するのは会社のためにほかなりません。
せっかくの計画も立てっぱなしでは回復もままならない。確実に回復するためにも、立てた計画には責任を持つ。計画に対する実績を把握するようにしましょう。
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まとめ
本投稿日現在(2020年8月7日)、長引くコロナの影響により、 追加融資を考える会社もあるでしょう。
とはいえ、「比較的受けやすい」と言われたコロナ関連の融資も、2回目以降となれば、1回めほどの受けやすさはないものと考えられます。
というわけで。コロナ禍で追加融資を受けるために、会社が準備すべきことについて押さえておきましょう。
- 借りたおカネはどこへ消えたか?の把握
- コロナ禍での業績とその推移の把握
- なにをしてきたか、なにをするかの整理