民間の金融機関でも公的な金融機関でも、ほぼほぼ 99%の確率でリスケが実行されているというデータがあります。
それでもリスケを断られるたった1つのケースと、その対策についてお話をしていきます。
リスケを断られるたった1つのケースとは?
会社が銀行から断られると困るものとして、「リスケジュール」が挙げられます。通称、リスケ。
リスケとは、「当初の返済条件を変更すること」です。もともとは毎月 50万円ずつ返済をする条件だったけれど、それを減らしてもらう、場合によってはゼロにしてもらう。というのがリスケになります。
なぜ、リスケをするのか? 言うまでもなく、会社の資金繰りがとても厳しいからです。業績が悪化したことで、売上が減ってしまった、利益が減ってしまった。結果として、おカネが足りなくなってしまった。
だから、銀行にリスケをお願いする。そのリスケが断られてしまったら、困りますよね。
では、実際のところはどうなのかと言うと。民間の金融機関でも公的な金融機関でも、ほぼほぼ 99%の確率でリスケが実行されているというデータがあります。
誤解を恐れずに言えば、会社がリスケを依頼すれば、ほぼほぼ通る。これがリスケの現状です。にもかかわらず、それでもリスケを断られてしまうケースとは?
借りたばかりですぐリスケ、というケースです。
つい1ヶ月前、2ヶ月前に融資を受けたばかりなのに、リスケをしたいという。銀行からしてみれば、「返せないとわかっていて借りたのか!」と怒りたくもなるところです。これでは、リスケを受け入れてもらうことはできません。
というわけで、「借りたばかりですぐリスケ」をしないための具体策についてお話をしていきます。こちらです↓
- 資金繰り予定表をつくる
- 借りたとして何ヶ月もつのかを知る
- 仕入資金も含めて預金残高があるうちにリスケ
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
借りたばかりですぐリスケ、をしないための対策
資金繰り予定表をつくる
借りたばかりですぐリスケ、をしないための対策として。まずは、「資金繰り予定表をつくる」ようにしましょう。
資金繰り予定表とは。資金繰り、つまり「おカネの入金・出金状況」について、その「予定」をまとめた表のことを言います。
たとえば、12月のアタマは 400万円の現金・預金がありました。その現金・預金が、売上入金で 600万円増え、仕入や経費で 500万円減る予定です。
さらに、借入金を 50万円返済して。結果、12月末の現金・預金は 450万円になる予定です。というようなことを、時系列で将来にわたり作成していくのが資金繰り予定表になります。
会社は年に1度「決算書」をつくったり、毎月「試算表」をつくったりするわけですが、それらの帳票からは「おカネの入金・出金状況」をつかむことはできません。
そもそも、決算書も試算表も「過去」の数字をまとめたものになりますから、資金繰りの「予定」など知るよしもない。だから、資金繰り予定表が必要なのです。
資金繰り予定表があれば、会社は「今後、おカネが増えるか減るか、どのくらい増えるか減るか」を可視化することができます。
にもかかわらず、「資金繰り予定表」をつくっていない会社は少なくありません。資金繰り予定表もないままに、融資やリスケの判断をしようとしています。
これが、「借りたばかりですぐリスケ」を招く原因であることを理解しておきましょう。まずは、資金繰り予定表をつくること。ふだんから、資金繰り予定表をつくり、備えておくことです。
資金繰り予定表のくわしい作り方については、こちらの記事をどうぞ↓
借りたとして何ヶ月もつのか
資金繰り予定表ができたなら、次に考えるべきは「借りたとして何ヶ月もつのか」です。
つまり、いま追加で融資を受けたとして、おカネが尽きてしまうのは何ヶ月先になるのかを考えます。資金繰り予定表があれば、答えはすぐにわかるでしょう。
「いま融資を受けると、しばらくは資金繰りに問題がなさそうだ」とわかれば、融資を受けることが選択肢になります。
いっぽうで、「いま融資を受けても、近々ふたたび資金繰りが苦しくなる…」というのであれば、融資を受けるべきではありません。
繰り返しになりますが、「借りたばかりですぐリスケ」になりかねないからです。ちなみに、「借りたばかりですぐにまた借りる」というのも難しいものがあります。
借りることもできない、リスケもできないでは八方ふさがりです。そうならないためには、「いま借りるのではなく、いまリスケ」という選択肢があることを覚えておきましょう。
資金繰り予定表を見て、「いま借りたとしても数ヶ月ともたない」というのであれば、勇気をもって「いまリスケ」を選択することも検討しましょう。
だれしも「できればリスケはしたくない」と考えるところであり、「借りられるのであれば借りよう」と考えがちなところです。
けれども、リスケの判断が遅れれば、「99%できるはずのリスケ」でさえできなくなってしまいます。リスケを断られることになってしまいます。
資金繰りが苦しいときほど、目先の融資に飛びつかないように注意が必要です。
仕入資金も含めて預金残高があるうちにリスケ
「いま借りるのではなく、いまリスケ」という話をしました。この点で、もっと早くにリスケをすべきということもあるでしょう。
つまり、いますでに借りることもリスケをすることもできない… そんなこともありうるわけです。では、いったいリスケのタイミングとはいつなのか?
カンタンに言うと、「おカネがあるうちに」です。預金残高があるうちにリスケをする。これがリスケのタイミングです。
「リスケはおカネが無くなってからやむなくするもの」との考えから、リスケのタイミングが遅すぎるケースは少なくありません。
ところが、ほんとうにおカネが無くなってからリスケをしたのでは、借入返済を止めたところで結局もちませんでした… ということになってしまいます。
リスケをはじめれば、しばらくのあいだはあらたに融資を受けることはできません。融資を受けられないなかでも事業を継続していくためには、リスケをする時点でおカネを残しておかなければいけないのです。
したがって、「リスケはおカネが無くなってからやむなくするもの」と考えてはいけません。おカネがあるうちにリスケです。
では、いくらのおカネがあればよいのか? はケースバイケースになります。ただ、どんなに少なくても、平均月商(年間売上高 ÷ 12ヶ月)の1ヶ月分以上の預金残高は必要でしょう。
加えて、売上に先行して仕入を必要とする商売であれば、仕入資金分のおカネも必要です。仕入ができなくなったら、商売ができなくなってしまいます。
いずれにせよ、資金繰り予定表をつくることからはじめましょう。そのうえで、いまリスケをすれば事業を継続できる、いまリスケをしなければ事業を継続できなくなるというポイントを見極めましょう。
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まとめ
民間の金融機関でも公的な金融機関でも、ほぼほぼ 99%の確率でリスケが実行されているというデータがあります。
それでもリスケを断られるおもなケースは、「借りたばかりですぐリスケ」であることを理解しておきましょう。
また、借りたばかりですぐリスケをしないために、対策についても確認をしておくことをおすすめします。リスケはしないに越したことがありませんが、自社にも起こりうるものとして日ごろから備えることが大切です。
- 資金繰り予定表をつくる
- 借りたとして何ヶ月もつのかを知る
- 仕入資金も含めて預金残高があるうちにリスケ