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長引くコロナ禍のなかで再度の融資…会社が銀行に伝えるべき3つのこと

長引くコロナ禍のなかで再度の融資…会社が銀行に伝えるべき3つのこと

当初のコロナ融資は、その緊急性からスピード重視で、審査は簡素で甘いものでした。ところが、いまはそうではありません。

というわけで。長引くコロナ禍のなかで再度の融資…会社が銀行に伝えるべき3つのこと、についてお話をしていきます。

目次

タカをくくっていると泣きを見る。

きょうは 2021年1月15日。新型コロナの影響は1年たってもなお、まだ続いています。多くの会社・個人事業者が厳しい資金繰りをしいられているところです。

長引くコロナ禍のなかで、再度の融資を受けざるをえない… という話も増えてきました。いわゆる「コロナ融資」をいちどは受けたけれど、業績の回復にはいたらず、資金繰りに困っている。ふたたび融資が必要、という話です。

ここでひとつ、注意があります。それは、「以前ほどカンタンには融資が受けられらない」ということです。

当初のコロナ融資は、その緊急性からスピード重視で、審査は簡素なものでした。はっきり言って、審査は甘く、コロナ以前に比べればカンタンに借りることができました。

ところが、いまはそうではありません。一山越えたいまは、当初のコロナ融資ほど審査は甘くありません。以前と同じように借りられる、そうタカをくくっていると泣きを見ます。

では、どうしたら審査をクリアすることができるのか。どうしたら、融資を受けることができるのか。

というわけで。長引くコロナ禍のなかで再度の融資…会社が銀行に伝えるべきこと、についてお話をしていきます。おもに、次の3つです↓

長引くコロナ禍のなかで再度の融資…会社が銀行に伝えるべき3つのこと
  1. おカネはいつまでもつのか
  2. やると言ったことをやったのか
  3. 返済できるだけの利益をあげられるのはいつか

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

長引くコロナ禍のなかで再度の融資…会社が銀行に伝えるべき3つのこと

おカネはいつまでもつのか

長引くコロナ禍のなかで、再度の融資を依頼された銀行がまず気にするのは「資金繰り」です。その会社の当面の資金繰り見込みはどうなのか?

端的に言えば、いまの状況でいくと「おカネはいつまでもつのか」。それを銀行は知りたいのです。貸したはいいけど、すぐにおカネがなくなって潰れてしまいました… 銀行としては困ってしまいます。

ですから、会社は「おカネはいつまでもつのか」を、銀行に伝えるようにしましょう。いちばん良いのは、資金繰り表をつくって、提示・説明することです。

いまの売上が続くと仮定した場合に、仕入や経費、借入金返済などの支払いをすると、預金残高はどのように推移するのか? 結果として、いつおカネが足りなくなるのか?

これらをアタマのなかで考えたり、口頭で伝えるのはムリがあります。だから、資金繰り表をつくる↓

あわせて読みたい
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とはいえ、資金繰り表のつくりかたがよくわからない。時間がない、というのであれば。「試算表」で代用しましょう。具体的には、試算表を月次推移で印刷します(会計ソフトにはそのような機能があります)。

すると、「毎月末の預金残高」がわかるはずです。毎月末の預金残高を比較すれば、ひと月にどのくらいのおカネが減っているかがわかりますよね。

その「減り方」と、いま現在の「預金残高」とを比べれば、「おカネはいつまでもつのか」の見当をつけることができるでしょう。資金繰り表をどうしても準備できないときには、試算表で説明することです。

この点で。融資を受けるのであれば、できるだけ早く融資を受けることが大切になります。できるだけ早く、つまり、できるだけおカネが残っているうちに融資を受ける。これが大切です。

銀行はおカネが無い会社に対して大きな不安を持つものですから、そうなる前に融資を依頼する。そのためにも、会社は日ごろから「おカネはいつまでもつのか」を把握しておくようにしましょう。

やると言ったことをやったのか

社長さまに質問です。いちどめのコロナ融資を受けたときに、銀行に対して「やる」と言ったことを覚えていますか?

たとえば、「売上を回復させるために、ネット販売をはじめます」とか。「経費(交通費、光熱費など)削減のために、リモートワークを進めます」とか。

いや、忘れてた。言ったのを忘れてた… というのであれば、気をつけましょう。銀行は覚えています。銀行は、社長が言ったことを「記録」に残しているものです。

したがって、再度の融資を依頼したときには、銀行から聞かれます。「社長、以前おっしゃっていたことはやりましたか?」と聞かれます。

そのときに、「えっと、なんだったっけ?」という答えは最悪です。また、「いや、やってません…」というのもよくありませんよね。やると言ったことをやらない会社におカネを貸したくはない、と銀行に思われてしまいます。

銀行から聞かれたときには答えられるように、整理しておきましょう。A4用紙1枚におさまるていどに、やったこととその効果、やったうえでの問題点などがまとめてあると最高です。

そのような情報を「書面」で提示できる会社を銀行は好みます。良くも悪くも銀行は書類文化であり、書面があると銀行担当者が稟議書を書くときや上司などに報告するのにも助かります。

だいじなことは、書面で伝えるクセをつけておくとよいでしょう。ただし、分量が多すぎると読むのもメンドーになりますので、「コンパクト」にまとめるのがポイントです。

ちなみに。やるといったことをやっていない場合はどうしたらいいのか。すぐにでも「着手」することです。そうすれば、着手していると伝えることはできます。

それでも、効果はすぐにはでないでしょうから。着手が遅れたことについては、真摯に反省・お詫びをするのがよいかと考えます。

返済できるだけの利益をあげられるのはいつか

再度の融資を受けようとしているということは、おそらく、借りたおカネを返済できるだけの利益をあげられていないはずです。

借りたおカネを返済できるだけの利益とは、「毎月の利益 + 毎月の減価償却費 > 毎月の返済額」になります(毎月の返済額には、今回受けようとしている融資の返済見込額を含めます)。

減価償却費? と、思われるかもしれませんが。話すと長くなるので、いまは「そういうもんなんだな」と考えておきましょう。

たとえば、毎月の返済額が 50万円という場合。その会社は、「毎月の利益 + 毎月の減価償却費」が 50万円以上を目指す必要があります。そうでないと、手元のおカネを取り崩して返済をしなければいけないからです。

おカネを取り崩し続ければ、当然、いつかはおカネがなくなって潰れてしまいます。だから、「毎月の利益 + 毎月の減価償却費 > 毎月の返済額」なのです。

けれども、いま現在は利益があがらず逆になっている。つまり、「毎月の利益 + 毎月の減価償却費 < 毎月の返済額」になっている。

では、いつになったら、その逆を正すことができるのか? 返済できるだけの利益をあげられるのはいつなのか? 銀行はそれを知りたがっていることを覚えておきましょう。

その「いつ」を銀行に伝えるにあたっては、「根拠」も必要です。ただただ、「半年後くらいには」などと言われても信用できませんよね。

そこで、いま現在の受注状況や商談状況をまとめたものを提示したり、経営改善計画書を提示したりするなどして、根拠をもって銀行に伝えたいところです。

このあたり、口頭だけにならないように、口頭だけで済まそうとしないように。繰り返しになりますが、だいじなことほど「書面」で伝えましょう。

ところで。「毎月の利益 + 毎月の減価償却費 > 毎月の返済額」における「毎月の返済額」は、据え置き期間後の返済額であることに注意が必要です。

当初のコロナ融資や、再度の融資に据え置き期間があるのであれば、据え置き期間終了後には、毎月いくらの返済額になるのか? 実は、社長自身よくわかっていない、把握していないケースがあります。

わからないままにしておくと、いざ返済がはじまったときにビックリしてしまいますので。据え置き期間後の返済額は確認しておきましょう。

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まとめ

当初のコロナ融資は、その緊急性からスピード重視で、審査は簡素で甘いものでした。ところが、いまはそうではありません。

長引くコロナ禍のなかで再度の融資を考えるのであれば、会社が銀行に伝えるべき3つのことを押さえておきましょう。

長引くコロナ禍のなかで再度の融資…会社が銀行に伝えるべき3つのこと
  1. おカネはいつまでもつのか
  2. やると言ったことをやったのか
  3. 返済できるだけの利益をあげられるのはいつか
長引くコロナ禍のなかで再度の融資…会社が銀行に伝えるべき3つのこと

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