銀行融資とノンバンク融資。どちらも同じ「資金調達の手段」ではありますが。似て非なるものであり、違いは小さくありません。
そこで。会社の資金調達における「銀行融資」と「ノンバンク融資」の違いについて、お話をしていきます。
こんなはずじゃなかったぁ… と、後悔をしないために。
会社がおカネを借りる、つまり資金調達において。「銀行融資」とは似て非なるものに、「ノンバンク融資」があります。
どちらも「資金調達の手段」という点では共通しているものの、違いはけして小さくありません。銀行融資と同じような感覚でノンバンク融資を利用して、「こんなはずじゃなかったぁ…!」ということがないように。
会社の資金調達における「銀行融資」と「ノンバンク融資」の違いを押さえておきましょう。このあと、次のようなお話をしていきます↓
- そもそも、ノンバンクとは?
- 「銀行融資」と「ノンバンク融資」の違い
- まとめ 〜ノンバンク融資を使うべきか否か?
それでは、順番に見ていきましょう。
そもそも、ノンバンクとは?
「銀行融資」と「ノンバンク融資」の違いについてお話をする前に。まずは、「ノンバンクとは?」について確認をしておきましょう。
そもそも、ノンバンクとは。平たく言うと、「預金ができない金融機関」です。融資だけをやっているのがノンバンク、ということになります。
言い換えると。銀行が「銀行法」にもとづく金融機関なのに対して、ノンバンクは「貸金業法」にもとづく金融機関だ、とも言えます。
そんなノンバンクを、いくつかの種類に分けてみると。会社におカネを貸す「ビジネスローン会社」、個人におカネを貸す「消費者金融会社」、クレジットカード決済を行う「信販会社」、機械や設備を貸し出す「リース会社」、個人の住宅ローン、会社に対して不動産担保でおカネを貸す「不動産金融専門会社」などがあります。
「ノンバンク」と聞くと、「なんだかあやしげ…?」と思われるヒトもいるようですが。ノンバンク自体は、けしてあやしげなものではないことを理解しておきましょう。
「銀行融資」と「ノンバンク融資」の違い
ノンバンクとは? を理解したところで。こんどは、「銀行融資」と「ノンバンク融資」との違いを確認していきましょう。
ここでは、銀行融資から見た「ノンバンク融資のメリット・デメリット」をお話していきます。
ノンバンク融資のメリットは銀行融資のデメリットと、ノンバンク融資のデメリットは銀行融資のメリットと「裏表」の関係にあると言えるからです。
それでは、「ノンバンク融資のメリット・デメリット」をそれぞれ確認していきましょう。
ノンバンク融資のメリット
- 審査が速い
- 提出書類が少ない
- 赤字や滞納があっても借りられる
これらのメリットについて、順番にお話していきます↓
審査が速い
ノンバンク融資は、「審査が速い」という点に特徴があります。もっとも速いケースでは即日、遅くても数日中。審査後に入金するまでも速いです。このあたりは、銀行融資と比べると「圧倒的に速い」と言っていいでしょう。
したがって、「急いでおカネを借りたい」場合には、ノンバンク融資は選択肢にあがります。
ちなみに、ノンバンク融資の審査が速いのは、システム化とその利用が進んでいるからです。会社の情報をコンピュータに登録、信用度を即時に点数化することで審査のスピードを上げています。
提出書類が少ない
ノンバンク融資は、「提出書類少ない」のも特徴です。原則的には、社長の本人確認書類、決算書・申告書、会社の謄本くらいになります。
これに対して、銀行融資の場合には、審査にあたって「たくさんの書類」を要求されます。印鑑証明書、納税を確認できる書類、試算表、他の銀行の借入金一覧表など。書類をそろえるのにも時間がかかります。
そういう意味でも、審査が速いという面があるでしょう。
赤字や滞納があっても借りられる
銀行融資は、赤字だと借りにくい・借りられない、と言われています。また、税金や社会保険料などの滞納があると借りられない、とも言われています。
いっぽうで、ノンバンク融資の場合には。銀行ほど厳しくはありません。銀行で断られるほどの赤字でも、滞納があっても、ノンバンク融資を受けられることは多々あります。
これは、ノンバンクが「過去・現在」だけではなく、「将来」までを見ているからです。将来的に返済できると考えられれば、いま赤字でも、いま滞納があっても、融資をするのがノンバンクになります。
審査が「甘い」と言うよりは、「広い視野で審査をしている」と理解をしておきましょう。広い視野で見てもらうために、求められなくても「事業計画書」を用意しておくと、融資がより受けやすくなるでしょう。
ノンバンク融資のデメリット
- 金利が高い
- 融資金額が少ない
- 銀行融資に悪影響がある
- 信用情報に問題があると厳しい
- 悪徳業者に引っかかる可能性がある
これらのデメリットについて、順番にお話していきます↓
金利が高い
ノンバンク融資のデメリットとして、まずあげられるのは「金利が高い」ことです。借りる金額にもよりますが、最大で年利 20%の金利を貸されます。
いまは低金利の時代ですから、銀行融資であれば1〜2%はふつう。優良な会社であれば1%を切ることもあります。そう考えると、ノンバンクの金利は高すぎる! と言っていいでしょう。
一部、低金利で融資をするノンバンクはあるものの。多くのノンバンクでは、銀行融資とは比較にならないほど金利が高いのが現状です。
金利が高いということは、当然、その分だけ返済をするのもタイヘンになります。金利が高い分だけ、資金繰りはいっそう悪くなることは理解しておかなければいけません。
融資金額が少ない
ノンバンク融資で借りられる金額は、おおむね「数百万円〜1,000万円くらい」です。これを上限と考えた場合、銀行融資に比べると心もとない金額だと言えます。
会社の規模・状況にもよりますが、銀行融資であれば、ひとつの銀行から数千万円を借りられることも珍しくはありません。
というように。ノンバンクは融資できる金額が小さいことから、金利を高くせざるを得ないということはあるでしょう。融資をするにもコストがかかるのですから、少ない金額を低金利で貸していたのでは商売になりません。
銀行融資に悪影響がある
ノンバンクから融資を受けていることが銀行に知られると、その銀行から融資を受けることは難しくなります。
「ノンバンクからしか借りられないほど状況が悪いのか?」と銀行から見られてしまう、という理由がひとつ。加えて、「ノンバンク融資は金利負担が大きく、資金繰りはいっそう悪くなるだろう…」とも見られることが、銀行融資が受けにくくなる理由になります。
また、いま現在は完済していたとしても、過去にノンバンク融資を利用していることが銀行に知られると。「いずれまた、ノンバンク融資をつかうのでは?」と見られるため、やはり銀行融資は受けにくくなります。
ノンバンク融資を受けている・受けたことがあるからといって、ぜったいに銀行融資が受けられないわけではありませんが。間違いなく、悪影響があることは理解しておきましょう。
銀行はあの手この手で、ノンバンク融資の有無を確認しています↓
- 社長の個人信用情報を調べる(ノンバンク融資を利用すると個人信用情報に記録されるため)
- 会社の決算書(勘定科目内訳明細書)で、ノンバンク融資の有無をチェックする
- 社長や会社の不動産がノンバンク融資の担保になっていないか、不動産登記簿でチェックする
信用情報に問題があると厳しい
ノンバンク融資では、社長の個人信用情報を確認されます。個人信用情報とは、氏名や生年月日などの本人を確認するための情報、これに加えて、ローンやクレジットなどの利用状況に関する情報のことです。
個人信用情報について、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓
その個人信用情報をノンバンクが確認した結果、「問題あり」となると融資を受けるのは難しくなります。
ここで言う「問題」とは、過去に支払延滞がある、自己破産している、ここ最近で集中的にノンバンク融資を申し込んでいる、など。これらの「問題」は、個人信用情報として記録されますので、注意しなければいけません。
なお、集中的にノンバンク融資を申し込むことのなにが悪いのか? と言うと。ほかのノンバンクで断られたから、ウチに借りにきたのではないか? と、見られるためです。ほかで断られたのならウチだって貸せないぞ、となりやすいので気をつけましょう。
悪徳業者に引っかかる可能性がある
ノンバンクを広くとらえると、悪徳な業者も含まれることになります。銀行と呼ばれるところに悪徳はないにしても、銀行以外のノンバンクとなるとあるかもしれない。
いわゆる「ヤミ金」ですね。法の外で、闇のなかでおカネを貸しているのが「ヤミ金」になります。闇となると、利息も法外になるので手を出すものではありません。
ちなみに、「街金」や「サラ金」は、「=ヤミ金」ではありません。街金とは、街のなかでおカネを貸している小規模な貸金業者のこと。サラ金とは、サラリーマン金融の略で「消費者金融」のことです。いずれも、貸金業法にもとづく貸金業者になります。
これに対して、ヤミ金は貸金業法にもとづいていません。ヤミ金かどうかを見極めるのであれば、金融庁のWEBサイトにある「登録貸金業者情報検索サービス」を利用するのがおすすめです。
ここで検索をすれば、貸金業法にもとづく貸金業者かどうかを確認できます。悪徳業者だったぁ… ということがないように、気をつけましょう。
銀行融資におすすめのメニュー
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まとめ 〜ノンバンク融資は「一時利用」と考える
「銀行融資」と「ノンバンク融資」の違いについて、お話をしてきました。
結論として、ノンバンク融資は「一時利用」と考えるようにしましょう。日常的につかうのではなく、つかうとしても「あくまで限られた場面で、限られたあいだだけ」という理解です。
具体的には、どうしても一時的に資金繰りが厳しく、税金や社会保険料の支払いに充てるためにノンバンクを利用するとか。銀行融資をリスケ(返済猶予)中で銀行融資は受けられないので、ノンバンクから一時的に資金調達をするとか。
とにかく、ノンバンク融資は金利が高く、返済負担が大きくなります。その金利以上の利益率をあげることもカンタンではないでしょう。ノンバンク融資を日常的につかっている会社が、長く続いた例をわたしは知りません。あくまで一時利用と、考えることをおすすめします。