利益が出ているのにおカネが減るのはなぜ? あぁ、税金のせいだ… って、それ違いますよ。
というわけで。利益が出ているのにおカネが減るのはなぜ?の理由について、お話をしていきます。
なんでもかんでも、税金のせいにしないの!
社長によくある疑問として、「利益が出ているのにおカネが減るのはなぜ?」が挙げられます。利益が出ていれば、おカネも増えるはずなのに。どうして、おカネは減ってしまうのか…
そうだ、税金のせいに違いないっ! と言うのであれば、残念ながら違います。なぜなら、会社が納める税金(法人税や法人地方税)は、利益に対して多くても 35%ていどだからです。
ウラを返すと、利益のうち少なくとも 65%くらいは手元に残る、おカネが増える。ですから、「税金のせいでおカネが減る」というのは間違いだ、となるわけですね。
それならいったい、どうして利益が出ているのにおカネが減るのか? その理由はズバリ、次のとおりです↓
- 利益以上にモノが増えている
- 利益以上に返済をしている
- 売上が伸びている
これらを見て、「どういうこと?」と思われるのであれば。このあと、いっしょに確認をしていきましょう。
利益が出ているのにおカネが減るのはなぜ?の理由3つ
【理由1】利益以上にモノが増えている
利益が出ているのにおカネが減るのはなぜ?の理由、1つめ。それは、「利益以上にモノが増えている」です。
たとえば、こんな会社があったとします。売上 5,000万円、費用 4,600万円。したがって、利益は 400万円(5,000万円 − 4,600万円)。税率は 30%とすると、税金は 120万円(400万円 × 30%)。
結果として、この会社は「280万円のおカネを増やした」と考えることができます(400万円 − 120万円)。では、この会社が、500万円の「社長車(クルマ)」を買っていたとしたらどうでしょう?
クルマのような「固定資産」は、いちどに全額を費用にはできないルールになっています。購入金額を、複数年に分けて費用にしましょう、というのが会計のルールです(「減価償却」と呼ばれます)。
したがって、費用 4,600万円のなかに、クルマの購入代金 500万円全額が含まれているわけではありません。くわしいハナシは省きますが、費用になっているのは多くて 150万円ていどです。
よって、購入代金 500万円との差額 350万円は、まだ費用になっていない。でも、おカネとしては、その 350万円はすでに支払い済みです。
ということは。手元に残っていると思われた 280万円とは別に、その 350万円を支払っていることになります。「280万円 − 350万円」で、マイナス 70万円。つまり、70万円のおカネが減った、ということになるわけです。
かくして、利益が出ているのに(税引後で 280万円)おカネが減る(70万円)ことがわかりました。利益以上にモノが増えていると、利益が出ていてもおカネは減るのです。
例に挙げたクルマ以外にも、いろいろあります。不動産を買った、倉庫を建てた、機械を買った、株を買った、備品類を買った、などなど。利益に見合わないほどのモノを変えば、おカネは減る。当然と言えば、当然ですが。
また、モノとは言えないまでも、やはりおカネが減るものとして気をつけたいのは「貸付金」です。会社から社長への貸付金、従業員への貸付金、取引先への貸付金など。
これらも「資産」という点ではモノと同じであり、利益以上に貸付金が増えるとおカネが減ることになります。じゅうぶんに気をつけましょう。
[ad1]【理由2】利益以上に返済をしている
利益が出ているのにおカネが減るのはなぜ?の理由、2つめ。それは、「利益以上に返済をしている」です。
銀行から借りたおカネについて。支払う利息は費用になりますが、元金の返済は費用にはなりません。借入をしたときに、借入額を収入にはしないのですから(負債になります)、返済をするときにも費用にはならない、と考えておきましょう。
それはそれとして。元金の返済が費用にならないのであれば、元金はなにをもって返済するのか?
税引後の利益です。もういちど、さきほどの会社の例で考えてみましょう。売上 5,000万円、費用 4,600万円。よって、利益は 400万円。税率は 30%なので、税引後の利益は 280万円でした。この 280万円が、元金を返済する「原資」になります。
したがってもし、この会社の元金返済額が年間 500万円だとしたら。「280万円 − 500万円」で、マイナス 220万円。利益では足りず、手元のおカネを取り崩して返済をしなければいけません。
だから、利益が出ているのにおカネが減るのです。このような状況にある会社はけして少なくありませんので、必ず、「税引後利益」と「年間返済額」とを比較するようにしてみましょう。
そのうえで、年間返済額のほうが多ければ、早めに算段をすることです。具体的には、銀行から融資を受けることで、足りない分のおカネを穴埋めします。
穴埋めのためのおカネを借りることなんてできるのか? と、思われるかもですが。可能です。銀行も、穴埋めが必要であることは理解をしています。赤字であれば厳しいでしょうが、黒字であれば穴埋めの借入にも応じてもらいやすいものです。
ただそれも、おカネがカツカツに少なくなってからだと銀行も心配になり、融資をしづらくなってしまいます。ですから、まだ手元のおカネに余裕があるうちに、早めに借入を依頼するようにしましょう。
ベストなタイミングは、毎年の決算書ができあがったとき(税金の申告がおわったとき)です。
決算書の内容をもとに、向こう1年の利益と返済額とを予測して、足りないおカネを計算する。足りないおカネを借入するものとして「資金繰り予定表」をつくります。

その「資金繰り予定表」をもって、銀行に借入の依頼をするようにしましょう。「計画性のある会社だ」と見られますので、融資も受けやすくなります。
【理由3】売上が伸びている
利益が出ているのにおカネが減るのはなぜ?の理由、3つめ。それは、「売上が伸びている」です。
売上が増えれば利益も増える。利益が増えればおカネだって増えるはず。なのに、売上が増えると、どういうわけか資金繰りが厳しくなる… その理由を考えていきましょう。
たとえば、こんな会社があったとします。いま現在の売掛金が 500万円、在庫が 300万円。売掛金とは、すでに販売済みではあるけれど、売上代金の支払いがまだの金額です。在庫は、倉庫のなかや店頭で売れるのを待っているモノの金額です。
これらは、「おカネになるのを待っている金額」ということで共通しています。あわせて 800万円、おカネになるのを待っている。ところが、そのあいだにも人件費やら家賃やらの支払いは必要です。商品を仕入れるための支払いだってあるでしょう。
ですから、売掛金や在庫が増えれば増えるほど、会社の資金繰りは厳しくなります。では、どういったときに売掛金や在庫は増えるのか?
売上が伸びているとき、です。売上が伸びれば、自然と売掛金の金額が増え、在庫の金額も増えます。たとえば、さきほどの会社が売上を倍に伸ばしたらどうでしょう?
売上代金の回収条件が変わらない限り、売上に対する在庫量が変わらない限り、売掛金や在庫の金額は、売上の伸びに比例します。つまり、売上が倍になるのなら、売掛金や在庫の金額も倍です。
したがって、売掛金は 500万円から 1,000万円に、在庫は 300万円から 600万円になり、売掛金と在庫とで「おカネになるのを待っている金額」が 800万円増えたことになります。
その 800万円の分だけ資金繰りは厳しくなるわけで、言い換えると、800万円のおカネが減ったような状況です。もちろん、そのあいだも人件費や家賃の支払い、仕入の支払いはありますから、資金繰りは厳しくなるばかり…
かくして、売上が伸びている会社では、利益が出ているのにおカネが減った… ということが起こります。
放っておくと「黒字倒産」になりかねませんから。足りなくなるおカネを予測して、あらかじめ銀行借入で準備をしておくことがたいせつです。この準備ができずに、後手にまわって苦労する社長はけして少なくありませんので気をつけましょう。

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まとめ
利益が出ているのにおカネが減るのはなぜ?の理由について、お話をしてきました。
利益が出ているのにおカネが減るの税金のせいだ… と勘違いをしている社長がいます。勘違いをしたままだと、税金を減らすために利益を減らして、ますますおカネが減ってしまうので気をつけましょう。
- 利益以上にモノが増えている
- 利益以上に返済をしている
- 売上が伸びている