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自社はどれ?銀行融資に影響する『減価償却費』の計上方法3パターン

自社はどれ?銀行融資に影響する『減価償却費』の計上方法3パターン

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銀行融資の可否を決めるうえで、大きなウエイトを占める決算書。そのなかから、「減価償却費」を取り上げてみます。

銀行融資に影響する、「減価償却費」の計上方法3パターンについてのお話です。

イマイチわからない減価償却費

銀行が融資の可否を決めるうえで、会社がつくる「決算書」の内容は大きなウエイトを占めています。この点で、決算書づくりのポイントはいろいろあるわけですが。ここでは、「減価償却費」を取り上げてみましょう。

減価償却費、と聞くと。あぁ、よく耳にはするんだけど、イマイチわからないんだよね… と思われる社長は少なくないようです。だいじょうぶ、できるだけわかりやすくお話をしていきますので。

まずは、「そもそも減価償却費とは」についてカンタンに確認をしてみましょう。そのあと、減価償却費の計上パターンを確認する、という流れです。

会社によって減価償却費の計上には3つのパターンがあり、それぞれ銀行融資に与える影響が異なります。自社はいったい、どのパターンに当てはまるのか? 場合によっては、計上のパターンをあらためる必要もあります。

というわけで、さっそくはじめていきましょう。

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そもそも減価償却費とは

減価償却費とは? ごちゃごちゃと言葉で説明をするよりも、事例を見ながら考えてみることにしましょう↓

減価償却費の事例

当社は、とある食料品を製造する機械設備1台を 500万円で購入しました。

はい、この機械設備。決算書には、どのように記載をすればよいでしょうか。500万円を一気に経費にするっ! という気持ちはわかりますが。それは、問題です。ちょっとマズい。どういうことかというと…

この機械の導入によって、もし毎年 200万円の売上があがるとしたら。1年めの売上は 200万円、経費は 500万円です。では、2年めはどうか? というと。売上は 200万円、経費はゼロです。3年め以降も2年めといっしょ。

これだと、1年めの業績と、2年め以降の業績に「差」がありすぎだと思いませんか? 同じ機械設備を同じように使っているのにもかかわらず、1年めは経費 500万円、2年め以降は経費ゼロ。これが、問題なのです。

500万円もするような機械はふつう、1年を超えて使われるものでしょう。そういったモノ(固定資産、と呼ばれます)は、いちどに経費にしない。使う期間であん分して経費にする。たとえば、さきほどの機械を5年使うとしたら?

500万円 ÷5年=100万円なので、毎年 100万円を経費にする。これなら、良さそうですよね。というわけで、固定資産を「使う期間であん分して経費にする」ことを「減価償却」と呼び、その「あん分した経費(事例で言うと 100万円)」のことを「減価償却費」と呼びます。

これらをふまえて、決算書はどうなるか?

1年めの決算書では、損益計算書に経費として、減価償却費 100万円が計上されます。貸借対照表には、固定資産として、機械設備 400万円が計上されます。買った値段は 500万円ですが、機械を使ったことで、100万円(減価償却費分)の価値が下がるので 400万円です。

2年めの決算書は、損益計算書に経費として、減価償却費 100万円。貸借対照表には、固定資産として、機械設備 300万円。やはり、機械を使ったことで、100万円の価値が下がって 300万円です(1年めの 400万円ー100万円)。

3年め、4年め、5年めも同じように考えます。減価償却費は、毎年 100万円。固定資産は、毎年 100万円ずつ減っていきます。5年めでゼロになるので、減価償却はここまでです。6年めに、減価償却費はありません。

以上で、減価償却費に関する説明はおしまいになります。このあとは今回の本題、減価償却費の計上方法3パターンについて確認をしていきましょう。

減価償却費には、「定額法」と「定率法」があります。本記事は、定額法で説明をしています。定額法と定率法について、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓

減価償却方法

定率法と定額法はどっちがいいの?減価償却方法選択の考え方と手続き

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銀行融資に影響する「減価償却費」の計上方法3パターン

減価償却費の計上方法は、大きく3つのパターンに分かれます。自社がどのパターンにあてはまるのかを確認したうえで、必要に応じて、パターンをあらためるようにしましょう。

銀行融資に影響する「減価償却費」の計上方法3パターン
  1. 税法どおり
  2. 不足がある
  3. 実態に合う

それではこのあと、それぞれのパターンを順番に確認していきます。

【パターン1】税法どおり

さきほど、「そもそも減価償却費とは」について、こんなハナシをしました。「減価償却とは、固定資産を使う期間で按分して経費にすること」だ、というハナシです。

これを聞いて、フシギに思われたかもしれません。「使う期間」って、いったい何年なの? と。この点で、税法では「法定耐用年数」なるものを用意しています。

たとえば、食料品を製造する機械設備は 10年、自動車なら6年、パソコンなら4年、みたいな感じで、固定資産の種類ごとに決められた年数。これが、法定耐用年数です(法定耐用年数はネットでも調べられます)。

なぜ、税法が法定耐用年数を用意しているのか? というと。みんなが好き勝手に「使う期間」を決められるようでは、税金計算に不公平が生じるからです。

同じ機械設備であっても、「ウチは、10年使う」という会社もあれば、「ウチは、5年しか使わない」という会社もあるでしょう。すると、5年しか使わない会社のほうが、毎年の減価償却費は多くなります。

減価償却費(経費)が多くなるということは、利益が少なくなるということです。税金は、利益に税率を掛け算して決まるので、減価償却費が多いほうが税金が少なくなります。つまり、「使う期間」を短くして計算をしたほうが、税金が少なくなるわけです。

これだと税金に不公平が生じる可能性があるので、税法では法定耐用年数を用意してます。

ということで、多くの会社は「法定耐用年数」をもとに、減価償却費を計算しているのが現状です。これが、パターン1「税法どおり」になります。

パターン1について、事例で確認をしてみましょう↓

パターン1「税法どおり」の事例

当社は、とある食料品を製造する機械設備1台を 500万円で購入しました。法定耐用年数は 10年です。

法定耐用年数が 10年ですから、毎年の減価償却費は 50万円になります(500万円÷10年)。したがって、毎年の損益計算書に計上される減価償却費(経費)は 50万円。

貸借対照表に計上される機械設備(固定資産)は、1年めが 450万円(500万円ー50万円)。2年め以降は、10年めまで 50万円ずつ減っていくことになります。

このパターン1は、減価償却費の「標準的」な計上方法であり、銀行に「なっとく」をしてもらえる方法です。言い換えると、「可もなく不可もなく」です。そのうえで、パターン2、パターン3を確認していくことにしましょう。

【パターン2】不足がある

パターン1では、法定耐用年数に応じて、減価償却費を計上する方法を確認しました。この点で、実は「税法」では、減価償却費を計上することを強制はしていません。

減価償却費の計上をしてもいいし、しなくてもいい。もう少し言うと、法定耐用年数で計算した減価償却費を超えることがなければ、いくらだっていい。というのが、税法の考え方です。

どういうこと? と思われるかもしれませんので、事例で確認をしてみましょう↓

パターン2「不足がある」の事例

当社は、とある食料品を製造する機械設備1台を 500万円で購入しました。法定耐用年数は 10年です。

事例は、さきほどのパターン1と変わりません。法定耐用年数どおりであれば、毎年の減価償却費は 50万円でしたよね。ところが、こんなことを考える社長もいます↓

「融資を受けるためには、利益が多いほうがいい。だったら、減価償却費の計上をやめてしまおう。そうすれば、利益を 50万円増やすことができるぞ」

税法では、減価償却費の計上をしなくてもいいのですから、これは1つの方法ではあります。まったく計上しないかわりに、50万円よりも少ない金額(たとえば 10万円)で計上することも可能です。

このように、法定耐用年数で計算した減価償却費に対して、「不足がある」のがパターン2になります。減価償却費をまったく計上しない場合の決算書はどうなるか? というと。

損益計算書の減価償却費(経費)はゼロ、なので、減価償却費の記載はありません。貸借対照表の機械設備(固定資産)は 500万円。減価償却費がないので、買った金額のままです。

次の年は次の年で、法定耐用年数どおりに減価償却費を計上するのも、まったく計上しないのも、少しだけ計上するのも自由になります。

では、このような決算書を見た銀行はどう思うのか? それは、「減価償却費に不足がある分は、利益の水増しだ。不正確な決算書をつくるこの会社は信用ならないぞ」、といった感じです。

というわけで。銀行は、損益計算書の利益を「不足がある分」だけ修正して見ています。まったく計上していないのであれば、本来計上すべき 50万円を、損益計算書の利益からマイナスするわけです。これによって、社長の思惑(利益を増やして融資を受けやすくする)はハズれることになります。

さらに。貸借対照表には、機械設備が 500万円で計上されていたわけですが。ここも銀行は、本来計上すべき減価償却費 50万円分を削って 450万円に修正をして見ています。

資産が多い会社ほど、銀行融資では高く評価されるため、機械設備(資産)を減額修正されれば、その分だけ評価は下ることになります。

というように、銀行は「正しい会計処理」を求めていることを理解しておきましょう。ここで言う「正しい会計処理」とは、「固定資産はきちんと減価償却費を計上する」ということです。正しい会計処理でなければ、正しい決算書ができない。正しい決算書でなければ、正しい審査もできないからです。

なにより、正しい決算書でなければ、会社は正しい経営判断もできないだろう、という見方もあります。

このあたり。減価償却費を計上してもしなくてもいいよ、という税務署とは違うところです。減価償却費を計上しなければ、経費が少なくなる。経費が少なくなれば税金が増える。税金を徴収するのが税務署ですから、税務署からのおとがめはありません。

税務署からのおとがめはなくとも、銀行からは信用を失ってしまう。結果、融資が受けにくくなる。これが、パターン2「不足がある」の問題です。

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【パターン3】実態に合う

さきほど、こんなハナシをしました。銀行は、「正しい会計処理」を求めている。正しい会計処理とは、「固定資産はきちんと減価償却費を計上する」ことだ、とそんなハナシです。

ところで、この「きちんと」には続きがあります。なにをもって「きちんと」なのかで言えば、法定耐用年数が必ずしも「きちんと」しているかはわからないからです。

そもそも、法定耐用年数とは税金計算の不公平を避けるために用意されたもの。実態に合っているかどうかはわかりません。というか、むしろ合っていないでしょう。

事例で確認をしてみることにします↓

パターン3「実態に合う」の事例

当社は、とある食料品を製造する機械設備1台を 500万円で購入しました。法定耐用年数は 10年です。ただし、過去の実績からみて、当社における使用期間は5年を見込んでいます。

この場合、法定耐用年数 10年で減価償却費を計上するよりも、当社における使用期間5年で計上するほうが「実態に合う」と言えるでしょう。これが、パターン3です。

では、決算書がどうなるか? というと。損益計算書には毎年、減価償却費 100万円が計上されます(500万円÷5年)。貸借対照表は、1年めが 400万円。2年め以降は5年めまで、減価償却費分として 100万円ずつ減っていきます。

これに対して、法定耐用年数 10年で減価償却費を計上すると。6年め以降は、すでに機械設備を使っていないのにもかかわらず、減価償却費(経費)が発生することになります。実態に合いません。

また、1年め〜5年めのあいだは減価償却費(経費)が過小だった、とも言えます。やはり、実態に合いません。

というわけで。銀行は、実態に合う減価償却費を計上している会社を高く評価します。法定耐用年数よりも短い年数で減価償却費を計上する、つまり、より多くの減価償却費をわざわざ計上するのですから、それだけ「収益力がある会社」だとの見方につながるところです。

ただし、税務署に対しては問題が生じます。税務署は、法定耐用年数で計算した減価償却費を超えて経費にすることを認めていません。税金計算に不公平が生じるから、でしたよね。

事例で言えば、減価償却費は毎年 50万円までしか認めない。100万円では多すぎる、ということです。

でも、だいじょうぶ。「別表加算」という方法があります。決算書上は、100万円の減価償却費を計上しておきながら、税金の計算をするときだけは減価償却費を 50万円としする方法が「別表加算」です。ここは専門的なハナシになりますから、顧問税理士に相談をするのがよいでしょう。

減価償却費を計上するうえで、ベストなのはパターン3です。固定資産について、自社にとっての使用期間で減価償却費を計算する。これは、対銀行以前に、自社の状態を正しく把握するためにも必要なことです。

実際には、パターン1を採用している会社が多いものですが。パターン3にあらためることも検討してみましょう。

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まとめ

銀行融資の可否を決めるうえで、大きなウエイトを占める決算書。そのなかから、「減価償却費」を取り上げてみました。

銀行融資に影響する、「減価償却費」の計上方法3パターンを押さえておきましょう。

銀行融資に影響する「減価償却費」の計上方法3パターン
  1. 税法どおり
  2. 不足がある
  3. 実態に合う

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