小さな会社よりも大きな会社のほうが、銀行融資の必要性は高まる。小さい会社が大きくなる過程では、銀行融資の必要性が高まる。
その理由について、お話をしていきます。
必要な銀行融資まで毛嫌いすることがないように。
会社における資金調達の手段として、「銀行融資」が挙げられます。手段が限られる中小企業にとっては、とりわけ必要不可欠と言えるのが「銀行融資」です。
そんな銀行融資について。会社が大きくなるほど必要だ、という考え方はご存知でしょうか?
つまり、小さな会社よりも大きな会社のほうが、銀行融資の必要性は高まる。小さい会社が大きくなる過程では、銀行融資の必要性が高まる、ということです。
本記事では、その「理由」についてお話をしていきます。具体的には、こちらです↓
- 運転資金が膨らむ
- コストカットしづらい
- ちょっと借りてくる、が困難
借金を毛嫌いするあまり、必要な銀行融資まで毛嫌いすることがないように。これら3つの理由を、このあと順番に確認していきましょう。
会社は大きくなるほど銀行融資が必要である理由
【理由1】運転資金が膨らむ
会社は大きくなるほど銀行融資が必要である理由、1つめ。それは、「運転資金が膨らむ」です。
ここで言う「運転資金」とは。算式で言うと、「売上債権+たな卸資産ー仕入債務」になります。
算式中の「売上債権」とは、売掛金や受取手形のこと。売上代金が「入金」されるのを待っている金額です。「たな卸資産」とは、在庫のこと。いずれ売れて、売上代金が「入金」されるのを待っている金額です。
したがって、売上債権とたな卸資産は、いずれも「入金」を待っている金額ということになります。
いっぽうで、「仕入債務」とは。買掛金や支払手形のことで、仕入代金の「支払」を待ってもらっている金額です。入金を待っている売上債権やたな卸資産とは逆、ですね。
ここで、もういちど「運転資金」の算式を見てみましょう。「売上債権+たな卸資産ー仕入債務」ということで、「入金待ち」の金額から「支払待ち」の金額を差し引いていることがわかります。
多くの会社では、「支払待ち」の金額よりも「入金待ち」の金額のほうが大きくなるものです。入金待ちのほうが大きいということは、その分だけ、資金繰りが厳しくなることをあらわします。
入金を待っているあいだにも、社員の給料やら家賃やら、いろいろな支払わなければいけないものがあるからです。したがって、運転資金の金額が大きいほど、会社の資金繰りは厳しくなります。
この点で。会社が大きくなると、運転資金は膨らむことを覚えておきましょう。
売上が大きくなれば、売上債権も大きくなります(入金サイトが変わらない限り)。大きな売上に備えて、たな卸資産も大きくなります。仕入債務も大きくなりますが、売上債権やたな卸資産ほどではありません(原価率や支払サイトが変わらない限り)。
結果として、会社が大きくなるほど、売上が大きくなるほど、運転資金は膨らむのです。大きく膨らんだ運転資金によって、資金繰りが厳しくなってしまう。その対応として、銀行融資が必要になります。
というわけで。売上を増やしていく過程では、膨らむ運転資金を考慮して、早めに銀行融資を受けるようにしましょう。この対応が遅れると、最悪は「黒字倒産」です。実際に倒産まではしないにしても、肝を冷やす社長は少なくありません。
[ad1]【理由2】コストカットしづらい
会社は大きくなるほど銀行融資が必要である理由、2つめ。それは、「コストカットしづらい」です。
大きな会社ほど、「コスト(費用)」が大きくなる傾向があります。たとえば、社員の給料や家賃などのコストは、大きな会社ほどかかるものです。
では、そのような会社に「不測の事態」が起きたとしたらどうでしょう? 大きく売上が減少してしまったとしたらどうでしょう? 最近では、新型コロナで売上が激減してしまった会社もあります。
すると、売上はないのに、コストはかかる。入金はないのに、支払はしなければいけない。どんどん資金繰りが厳しくなります。そこで、コストカットを考えるわけですが。
いちど増えたコストをカットするのも簡単ではありません。すぐに人を辞めさせることもできないし、すぐに事務所や店舗を閉めるわけにもいかない。辞めてもらうのにも、閉めるのにもおカネがかかることは少なくありません(退職金や原状回復費用など)。
会社は大きくなるほど、コストも大きくなる。そのうえ、コストカットはしづらい。そう考えると。日ごろからコストが大きい会社ほど、いざというときのためにおカネを蓄えておく必要があります。
自力で蓄えるのがベストですが、それができなければ「銀行融資」が有力な選択肢です。いざというときのために、借りてでもおカネを持っておく、という選択です。
というわけで。会社が大きくなるほど、コストが大きくなるほど、手元の「余裕資金」を増やすための銀行融資を検討するようにしましょう。
【理由3】ちょっと借りてくる、が困難
会社は大きくなるほど銀行融資が必要である理由、3つめ。それは、「ちょっと借りてくる、が困難」です。
会社の資金繰りが厳しくなったときの対応として。社長からちょっと借りる、親族からちょっと借りる、ノンバンクからちょっと借りる、といったことが考えられます。
この点で。会社が小さいうちは、ちょっと借りるにしても金額は小さなものでしょう。一般に、会社が小さいほど、必要なコストも小さいものだからです。
ところが、会社が大きくなるとコストも大きくなることは、さきほど【理由2】でもお話をしました。コストが大きくなるということは、ちょっと借りるにしても金額が大きくなるということです。
数百万円であれば、社長や親族、ノンバンクから借りることができたとしても。数千万円、数億円となれば、借りるのは厳しい、借りるのはムリ… となるでしょう。
ですから、会社は大きくなるほど、「ちょっと借りてくる」が困難になります。
そこで、銀行融資です。銀行融資であれば、会社の規模・状況に応じて、数千万円でも数億円でも借りることはできます。
とはいえ、おカネが必要になってから、銀行に駆け込めばいいというわけでもありません。ふだんから、銀行とお付き合いをしておくことが大切です。もっと言えば、駆け込むのではなく、あらかじめ借りておくことが大切です。
銀行は、おカネが無い会社におカネを貸すことを好みません。言うまでもなく、返済をしてもらえる可能性が小さいからです。
したがって、融資を受けるのであれば「おカネがあるうちに」が、銀行対応の鉄則になります。
というわけで。会社は大きくなるほど、「ちょっと借りてくる」が困難になることを理解しておきましょう。会社が大きくなるほど、必要なおカネも大きくなります。
そのおカネを借りることができるように、ふだんから銀行とのお付き合いを深めておきましょう。銀行とのお付き合いについて、くわしくは当ブログでも記事を投稿しています↓
まとめ
小さな会社よりも大きな会社のほうが、銀行融資の必要性は高まります。小さい会社が大きくなる過程では、銀行融資の必要性が高まります。
借金を毛嫌いするあまり、必要な銀行融資まで毛嫌いすることがないように。会社は大きくなるほど銀行融資が必要である「理由」を押さえておきましょう。
- 運転資金が膨らむ
- コストカットしづらい
- ちょっと借りてくる、が困難