銀行から融資を受けるときに必要な書類づくり。とはいえ、「つくりかたがわからない」「つくるのがメンドー」といった悩みもあるでしょう。
そこで、銀行融資の書類づくりに役立つダウンロードツール・WEBサービスをご紹介していきます。
チャチャッと書類をつくりたいアナタへ。
銀行から融資を受けるにあたっては、会社が「書類をつくる」ことが必要になります。つくらなければいけない書類、つくるべき書類、つくったほうがいい書類など、書類もいろいろです。
とはいえ、「つくりかたがわからない」「つくるのがメンドー」といった悩みもあるでしょう。そこで、銀行融資の書類づくりに役立つダウンロードツール・WEBサービスをご紹介していきます。
ぜんぶで3つ、具体的にはこちらです↓
- キャッシュフロー計算書
- 資金繰り表
- 経営自己診断システム
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
銀行融資の書類づくりに役立つダウンロードツール・WEBサービス3選
【1】キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書とは、「キャッシュ(現金預金)」の増減額と増減理由とをあきらかにする書類です。貸借対照表と損益計算書に次いで、「第3の財務諸表」とも呼ばれています。
財務諸表とはいえ、中小企業ではキャッシュフロー計算書の作成義務はありません。ですが、キャッシュの増減額と増減理由を把握することはだいじであり、銀行も注目をするところです。
ゆえに、社長は自社のキャッシュフロー計算書を、確認しておくに越したことはありません。でも、いったいどうやってつくるんだ? の悩みに答えるツールがこちらです↓
中小企業の会計31問31答(平成21年指針改正対応版)ツール集 / 中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaikei/tools/2009.htm
上記のURLから、「会計ツール集」としてExcelファイルをダウンロードできます。って、おいおい。平成21年なんて、だいじょうぶかよ? と、思われるかもしれませんが。だいじょうぶです、まだつかえますよ(2021年6月17日現在)。
Excelファイルのなかに、「CF計算書(入力)」というシートがあるので、自社の決算書を見ながら入力していきましょう。親切にも「CF計算書入力の仕方」という説明シートもあります。
入力すると、「CF計算書(出力)」のシートに結果が表示される、という流れです。
会計ソフトによっては、キャッシュフロー計算書をつくる機能もあります。ところが、「あるていど」の事前設定が必要です。ここがわかりづらいと言えば、わかりづらい。
そういう意味では、決算書の数字を転記してつくれるExcelのほうが、とっつきやすいのでおすすめです。
なお、キャッシュフロー計算書ができたのはいいけど、「見方がわからない!」ようでしたら、わたしが書いているこちらのブログ記事を参考にどうぞ↓
【2】資金繰り表
資金繰り表とは、過去あるいは将来の「おカネの流れ(現金預金の入金・出金・残高推移)」をあきらかにする書類です。現金預金をあつかう点では、キャッシュフロー計算書にも似ています。
似てはいるけれど、違うのは2点。ひとつは、資金繰り表は「将来」もあつかえること。キャッシュフロー計算書があつかうのは「過去」のみです。
もうひとつは、資金繰り表は時系列で「おカネの推移(流れ)」を確認できること。これに対してキャッシュフロー計算書では、「一時点でのおカネの状況」を見ることしかできません。
といったことから、銀行は「資金繰り表」に強い関心をいだいており、作成・提出を求められることがあります。また、求められずとも自主的に提出することで融資が受けやすくなるのが資金繰り表です。
とはいえ、資金繰り表のつくり方がわからない。そもそも、様式がわからない。とのハナシは、よく見聞きするところです。そんなときには、こちらのツールを利用してみましょう↓
借入申込書等ダウンロード / 日本政策金融公庫・国民生活事業
https://www.jfc.go.jp/n/service/dl_kokumin.html
上記のURLをクリックすると、ページ内に「資金繰り表」のExcelファイルがあります。「資金繰り表記入例」もダウンロードできるので、参考にすると良いでしょう。
これを見て、「ずいぶんと簡素な様式だなぁ」と思われるかもしれませんが。はじめっから、気張ったものをつくろうとすると挫折します。はじめは簡素くらいがちょうどいい。
慣れてきたら、社長が見やすいように、知りたいことがよりわかるように、項目を増やしていけば良いのです。
この点で。「銀行 資金繰り表 ダウンロード」などとググると、いくつかの銀行のWEBサイトが出てきます。そういったところからダウンロードして眺めてみると、参考になるのでおすすめです。
なお、銀行によっては「所定」の様式を求められることもあります。取引銀行には、いちど確認をしておくと良いでしょう。
それからそれから。資金繰り表の「見方がわからない!」ようでしたら、わたしが書いているこちらのブログ記事を参考にどうぞ↓
【3】経営自己診断システム
銀行は、融資先の決算書を「同業他社と比べてどうか?」という目で見ています。比較をすることで、その会社の長所や短所をあきらかにする。比較をすることで異常値を探り、粉飾決算のあぶりだしをしたりしているのです。
いっぽうで社長は、「同業他社」の視点が欠けていることがあるので気をつけましょう。とはいえ、同業他社のデータなんてないのだし、比べようもない。と、思われるかもしれません。
そんなときには、こちらのWEBサービスがおすすめです↓
経営自己診断システム / 独立行政法人中小企業基盤整備機構
なんか、最近リニューアルされて、めっちゃ「いまっぽく」なりました。以前のは「いつの時代のシステムなん?」という感じでしたから。ナイスリニューアルです。
それはさておき、このシステム最高。つかわない理由がありません。200万社以上の中小企業の決算データと自社の決算とを比較できます。そのうえ、メンドーな登録不要で、しかも無料。
また、操作・作業もカンタンです。決算書(1期分でもOKですが2期分がベスト)を用意して、それを見ながら入力するだけ。入力項目も 30くらいで、サクッと終わります。
にもかかわらず、診断結果はかなりの充実ぶりです。各種財務指標について、同業他社との比較。業界の中央値や上位値の確認もできます。加えて、倒産リスク分析も。診断結果はPDF出力できます。
というわけで。毎年決算書ができたら、診断するのを「ルーティーン」にすると良いでしょう。
もちろん、診断しておしまいではありません。自社が同業他社に比べて「どこに違いがあるのか」を知ることが重要です。
ここでひとつ、気をつけるべきことがあります。それは、だいじなのは「違い」を知ることであって、「長所・短所」を知ることではない、ということです。
診断結果を見たときに、同業他社よりも劣っているように見えても、必ずしも「短所」とは言えず。「違い」でしかない、ということがあります。
たとえば、「前年比増収率」という財務指標。計算式は、「((売上高÷前期売上高)-1)×100」で、前年よりも売上が増えるほど、評価としては良くなります。
ですが、「売上高」を伸ばせばいいというものでもありません。質が良い(利益率が良い)売上を増やすために、質が悪い(利益率が悪い)売上の削減をはかっている会社もあるでしょう。質が悪い売上が増えないように、あえて売上に上限を設けているような会社もあるでしょう。
だとしたら、前年比増収率が低いのは、「短所」ではなく「違い」に過ぎません。その違いを社長は理解して、銀行に対して診断結果を見せながら、説明・アピールしていくようにしましょう
社長が伝えられなければ、銀行からは数字の良し悪しでのみ、長所・短所のみで見られてしまう可能性があります。結果として、融資は受けにくくなるので、気をつけたいところです。
まとめ
銀行融資の書類づくりに役立つダウンロードツール・WEBサービスをご紹介してきました。「つくりかたがわからない」「つくるのがメンドー」といった悩みの軽減・解消になるようでしたら幸いです。
- キャッシュフロー計算書
- 資金繰り表
- 経営自己診断システム