これまではあたりまえだった銀行対応のなかには、これからはあたりまえではないものもある。
というわけで、銀行対応で「これまでのあたりまえ」とは変えるべきことについて、お話をしていきます。
あたりまえじゃねぇからな、というハナシ。
銀行から融資を受けている会社に必要なこと。それは、「銀行対応」です。銀行からスムーズに融資を受けるために、銀行と、銀行員といかに対応するかは、重要なポイントだと言えます。
銀行対応がヘタな会社は融資をうまく受けられず、銀行対応がじょうずな会社は融資をうまく受けられるものです。
そんな「銀行対応」について。これまでのあたりまえとは、変えるべきことをお話していきます。これまでと同じようにしていると、銀行対応としてはうまくない。だから変えるべき。具体的にはこちらです↓
- 郵送する・FAXする・電話する
- 銀行担当者を待つ
- 預金をテキトーな口座にあずける
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
銀行対応で「これまでのあたりまえ」とは変えるべきこと3つ
【変えるべきこと1】郵送する・FAXする・電話する
融資を受けている、融資を受けようとすると、銀行から「さまざまな書類」の提出を求められます。また、銀行からの「さまざまな質問に対する回答」も必要でしょう。
そんなときに、書類を郵送したりFAXしたり、電話で回答したりしていませんか? あるいは、印刷した紙を、銀行担当者に取りに来てもらったりしていませんか?
それ、あたりまえではありません。いまは、メールをつかえる銀行がだいぶ増えてきました。であるならば、書類はメールに添付して遅ればいいし、質問への回答もメールですればいい。
郵送やFAXは手間ですし、電話をしても銀行担当者が不在にしていることも少なくありません。取りに来てもらえば、会社も銀行も双方で時間が必要になります。紙に印刷するのであれば、手間とコストがかかります。はっきり言って、ムダだらけです。
とはいえ。メールがつかえるのに、なにも言ってくれない銀行もあります。どういうわけか。なので、まずは聞いてみましょう。「メールはつかえますか?」と聞いてみましょう。
各銀行は「業務効率化」が喫緊の課題でもありますから、メールの利用は広がっていくはずです。先月まではつかえなかったけれど、いまはつかえるようになった、ということもありえます。
というわけで。郵送する・FAXする・電話するのがあたりまえだ、とは考えないようにしましょう。これまでのあたりまえとは、変えるべきことの1つです。
【変えるべきこと2】銀行担当者を待つ
これまでは、銀行のほうから会社に来てくれるのがあたりまえでした。いわゆる「御用聞き」で、銀行担当者が定期的に来てくれる。ですから、銀行担当者を待っていれば、情報を伝えたり、情報を伝えてもらったりができました。
ところが、これからはあたりまえではありません。銀行員のリストラによって、御用聞きも控えなければいけない。支店の閉鎖や統合によって、御用聞きに行けなくこともあるでしょう。
最近では、「店舗内店舗(ブランチ・イン・ブランチ)」ということで、ある支店がどこかの支店のなかに統合されることも増えています。こうなると、各支店の営業エリアはおのずと広がります。御用聞きに行くにもタイヘンです。
実際、以前のようには銀行担当者が来なくなった、という会社はあるはずです。
では、どうするか? 銀行が来ないのなら、こちらから行くことです。行けば行ったで、銀行も時間はとられますが、みずから御用聞きに行くよりはラクでしょう。
そこまでして、こちらから行く必要があるのか? と言えば。あります。会社は定期的に状況を報告する(試算表や資金繰り予定表を提示する)ほうが、融資は受けやすくなるものです。
経営者保証に関するガイドラインにもしるされている「適時適切な情報開示」や「経営の透明性確保」にもつながるところですから、保証や担保の解除などにも役立つことでしょう。
また、銀行は「モニタリング」を強化する方向にありますから、定期的な状況報告は銀行にとっても望ましいことだと言えます↓
ただし、銀行のなかには、「あえて御用聞きを強化する」という戦略をとるところもあるようです。したがって、まずは取引銀行の「姿勢」を確認することからはじめてみるとよいでしょう。
【変えるべきこと3】預金をテキトーな口座にあずける
預金をテキトーな口座にあずけるのはやめましょう。預金を「なんとなく」で、銀行にあずけるのはやめましょう。きちんと、意図をもって、銀行を選んであずけるべし。
というのは、これからに限らず、これまでもいわれていたことではあります。とはいえ、それでも実際には、「テキトー」にあずけている会社は少なくないものと想像します。
でもこれからは、それをあたりまえとはせず。あらためて、預金のあずけ先を考えるようにしましょう。その理由は、2021年10月に予定されている「銀行間手数料の引き下げ」にあります。
そもそも、銀行振込をする際に会社が支払う「振込手数料」について。これは、振込元の銀行と振込先の銀行とで、分けて受け取るものです。
具体的に言うと、振込先の銀行が受け取るのは、3万円未満の振込であれば、117円(消費税別)。3万円以上であれば、162円(消費税別)になります。会社が支払う振込手数料と、振込先の銀行が受け取る振込手数料の差額が、振込元の銀行が受け取る振込手数料です。
このうち、振込先の銀行が受け取る振込手数料の金額が、2021年から変わります。117円、162円だったところが、一律 62円に変わるのです。大幅引き下げです。
また、この「改定」を受けて、最近ではメガバンクやいちぶの地銀を中心に、利用者が支払う振込手数料の引き下げを発表しています。この動きは広がっていくことでしょう。
すると、どうなるか。銀行としては減収です。黙っていれば、大幅減収を避けられません。そこで、銀行としては、できるだけ多くの預金をあずけてもらうことを考えます。
預金をあずけてもらえば、ふつうは、自動的に振込取引も増えるものです。これによって、銀行は減収分を補うことができます。
この点で。会社は、融資を受けたい銀行、あるいは融資を受けている銀行に預金をあずけるべきです。融資を受けるつもりがない銀行、融資を受けていない銀行にあずけるべきではありません。
預金をあずけてもらい、手数料収入が増えれば、その銀行にとっては「融資をする動機」になるものです。手数料収入を稼がせてもらえる「お得意様」であれば、ムゲにはできませんよね。
そこを理解して、会社は預金をどの銀行にあずけるべきか、考えるようにしましょう。銀行は手数料収入に対して、よりシビアになっていますから、いままでと同じ感覚ではいけません。
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まとめ
これまではあたりまえだった銀行対応のなかには、これからはあたりまえではなくなるものもあります。
というわけで、銀行対応で「これまでのあたりまえ」とは変えるべきことについて、押さえておきましょう。これまでと同じ銀行対応でいると、融資が受けにくくもなってしまいますので。
- 郵送する・FAXする・電話する
- 銀行担当者を待つ
- 預金をテキトーな口座にあずける