会社の銀行対応は、会社ごとにいろいろです。というわけで、わたしのYouTubeチャンネルのコミュニティ内で、アンケートをお願いした結果についてお話をしていきます。
みんなで共有できれば、との趣旨から。
自社にとってはあたりまえの銀行対応でも、他社から見れば、あたりまえではないかもしれない。となると、他社の銀行対応も気になる…
のではないか、と思い。「みなさんの銀行対応の状況を共有できれば」との趣旨から、わたしのYouTubeチャンネルのコミュニティ内で、アンケートをお願いしています。
今回はその結果のなかから、いくつかをピックアップしつつ、あらためて銀行対応について考えてみよう、という記事です。具体的には次のとおりです↓
- 預金をどれだけ持っているか?
- 銀行借入金の残高はどれくらいか?
- いくつの銀行から融資を受けているか?
- 銀行からの融資セールスを受けたことがあるか?
- 資金繰り表の作成・提示状況は?
- 試算表の作成・提示状況は?
それではさっそく、いってみましょう。
モロトメ調べによる銀行対応のアンケート結果
※ 以下の回答結果は、2021年11月12日現在の結果です。回答は受付中なので、以降も変化することがあります。
預金をどれだけ持っているか?(回答数 60件)
平均月商(年間売上高÷12ヶ月)の何ヶ月分の預金を会社で持っているか。おたずねした結果がこちらです↓
- 1ヶ月分未満 15%
- 1ヶ月分以上2ヶ月分未満 17%
- 2ヶ月分以上3ヶ月分未満 15%
- 3ヶ月分以上6ヶ月分未満 18%
- 6ヶ月分以上 35%
あるていどの「二極化」が見て取れます。3ヶ月分以上か未満か、という二極化です。
資金繰りの安全度から見て、平均月商の3ヶ月分以上の預金が1つの目安だとわたしは考えています。できれば、6ヶ月以上。それまでは、融資を受けてでも預金を増やしておくイメージです。
今後は、全体としては融資が受けにくくなる傾向(というか、融資が受けやすい会社と、受けにくい会社との二極化)にあるものと思われますので、「借りられるときに借りておく(いま使うのではなく預金を増やすため)」ことも検討するとよいのではないでしょうか。
銀行借入金の残高はどれくらいか?(回答数 69件)
現在の平均月商の何ヶ月分の銀行借入金があるか。おたずねした結果がこちらです↓
- 3ヶ月分未満 38%
- 6ヶ月分未満 22%
- 12ヶ月分未満 22%
- 12ヶ月分以上 19%
これもまた、6ヶ月以上か未満かで二極化したかたちです。とはいえ、借入金が少なければよいかと言えば、必ずしもそうとは言えません。さきほどの「預金との兼ね合い」だと言えます。
平均月商の3ヶ月分未満の借入金残高の場合、「借りなさすぎ」の可能性もあるからです。具体的には、現金預金の残高が「(固定費+借入金返済)×3ヶ月分」未満のケース。この場合、あえて借入をして、手元の現金預金を増やすことが、いざというとき(ピンチ・チャンス)の備えになります。
いっぽうで。銀行の見方として、平均月商の6ヶ月分を超える借入金は「借りすぎ」との見方があります。とはいえ、借りたおカネを使わずに、預金として持っている分の借入金まで、借り過ぎとは考えません。そういう意味では、平均月商の12ヶ月分を超えてもなお、融資を受けられる会社・銀行から融資を勧められる会社もあります。
なお、現在の平均月商が、借入当初よりも大きく下がっているケースもあるでしょう。その結果、平均月商の6ヶ月分を超えるようであれば、銀行に対して「経営計画書」の作成・提示をおすすめします。計画をもって、現在の平均月商は「過小」であることを伝えるためです。
いくつの銀行から融資を受けているか?(回答数 57件)
公的金融機関である日本政策金融公庫を除いて、いくつの銀行から融資を受けているか。おたずねした結果がこちらです↓
- ゼロ 14%
- 1つ 39%
- 2つ 23%
- 3つ 16%
- 4つ以上 9%
お付き合いするのに最適な銀行の数は、自社の規模によって変わります。年間売上高を「規模」と考えたときの、取引銀行数の「目安」は次のとおりです。
- 年間売上高 3億円未満 → 民間銀行2〜3つ+日本政策金融公庫(国民生活事業)
- 年間売上高 3億円以上 → 民間銀行3〜4つ+日本政策金融公庫(国民生活事業)
- 年間売上高 5億円以上 → 民間銀行4つ以上+日本政策金融公庫(中小企業事業)・商工中金
民間銀行は、担当者や支店長との相性が悪くなるときもあること、今後の再編(提携・統合・合併)などを見越して、できれば2つ(日本政策金融公庫を除いて)はお付き合いしておくのがおすすめです。
逆に多すぎると、それはそれでデメリットがあります(お付き合いに手間ひまがかかる、融資額が分散して小さくなることで銀行から相手にされにくくなる、など)。多すぎず少なすぎずを目指しましょう。
銀行からの融資セールスを受けたことがあるか?(回答数 57件)
銀行から、融資セールス(借りませんか?と言われる)を受けたことがあるか。おたずねした結果がこちらです↓
- セールスされたことがない 30%
- すでに取引がある銀行からセールスされたことがある 32%
- 取引がない銀行からセールスされたことがある 11%
- すでに取引がある銀行・取引がない銀行、両方からセールスされたことがある 28%
今回のアンケート結果によれば、7割の会社では、なにかしらの融資セールスをされたことがある、ということでした。
もし、融資セールスをされたことがない場合、まずは、決算書の内容をよくすることが第一です。黒字や資産超過(純資産がプラス)はもちろんのこと、預金残高が多いと融資セールスを受けやすい傾向にあります。
また、これまで取引がない銀行からセールスされるには、帝国データバンクの「評点」を上げることはひとつの方法になります。そのあたりくわしくは、こちらの記事も参考にどうぞ↓
資金繰り表の作成・提示状況は?(回答数 44件)
資金繰り表(6ヶ月〜1年先くらいまでの)の作成、銀行への提示状況について。おたずねした結果が、こちらです↓
- つくっていない 57%
- つくっているが、銀行には見せていない 23%
- つくっていて、銀行にも見せている 20%
資金繰り表をつくっている会社は4割くらい、という結果になりました。実際には、もう少し低いのではないかと推測します。
つまり、わたしのYouTubeチャンネルをご覧になっている方々は、銀行融資・銀行対応について意欲的な方が多く、平均的な数字よりも高く出るのではないかと考えています(前述のアンケート結果も含めて)。
それはそれとして、資金繰り表をつくっている会社に対して、銀行は安心感を持つものです。また、資金繰り表を銀行に提示すると、銀行は融資審査・融資提案がしやすくなります。
資金繰り表を見れば、「どれだけのおカネが必要か? 貸したおカネを返済できそうか?」が、わかりやすくなるからです。
もちろん、会社自身にとっても、先々の資金繰りを見通しておくのはだいじなことです。資金不足になるのを察知するのが、早ければ速いほど、打ち手の選択肢が増えます。
というわけで、ぜひ、資金繰り表を作成・提示してみましょう。資金繰り表のつくり方は、こちらのブログ記事も参考にどうぞ↓
試算表の作成・提示状況は?(回答数 55件)
試算表の作成、銀行への提示状況について。おたずねした結果が、こちらです↓
- 毎月作成する→銀行に定期的に提示 24%
- 毎月作成する→銀行には提示しない 33%
- ときどき作成する・融資を受けるときだけ作成する 25%
- まったく作成しない(年の1度の決算書だけ作成) 18%
試算表を毎月作成していない会社が4割強、という結果になりました。
試算表は、資金繰りや事業計画を含めた「経営」を考えるうえでの「基本情報」になるものです。ゆえに、つねに「最新の試算表」を確認できるようにしておくことが欠かせません。
これは、「銀行融資を受けるかどうか」には関係なくです。
そう考えると、毎月の試算表作成は必須。そのうえで、銀行対応を考慮してどうするか? になります。おすすめは、四半期にいちど、試算表を取引銀行に提示すること。
その機会を利用して、銀行とのコミュニケーションを深めるとよいでしょう。このとき、前述した資金繰り表もあると、銀行とより話がしやすくなります。
銀行は今後、融資先の選別をより強めるものと考えます。すると、コミュニケーションが取れているか、コミュニケーションが取りやすい融資先かどうかが、選別のポイントになるはずです。
試算表をコミュニケーションのきっかけにしていきましょう。
まとめ
会社の銀行対応は、会社ごとにいろいろです。というわけで、わたしのYouTubeチャンネルのコミュニティ内で、アンケートをお願いした結果についてお話をしてきました。
今回のアンケート結果が、今後の銀行対応を考える「きっかけ」になるようでしたら幸いです。
- 預金をどれだけ持っているか?
- 銀行借入金の残高はどれくらいか?
- いくつの銀行から融資を受けているか?
- 銀行からの融資セールスを受けたことがあるか?
- 資金繰り表の作成・提示状況は?
- 試算表の作成・提示状況は?