「他行の金利が高いですね」と言う銀行員が考えていること、そう言われた社長がどのような対応をすればよいのかについて。お話をしていきます。
銀行員はいろいろ言う。
銀行から融資を受けている会社の社長が、銀行員(銀行担当者)から言われた言葉が気になる… ということはあるのではないでしょうか。
たとえば、「他行の金利が高いですね」と言われた場合。自社の銀行借入のようすを伝えたときに、言われる可能性がある言葉です。これを聞いて、「いったいどういうこと…?」と気になることはあるでしょう。
というわけで、「他行の金利が高いですね」と言う銀行員はなにを考えているのか。おもなところでは、次のとおりです↓
- 低い金利を提示して貸したい
- 金利が高くなる事情があるのかな?
- 金利に無頓着な社長かもしれない
これらに対して、社長はどのような対応をすればよいのか、も含めて。このあと、順番に確認をしていきましょう。
「他行の金利が高いですね」と言う銀行員が考えていること
低い金利を提示して貸したい
他行の金利が高い。なので、もっと低い金利で借りたほうがよくないですか? との意味で、銀行員から言われることがあります。
ですから、その銀行員は、あわせて「他行よりも低い金利」での融資提案をしてくるでしょう。それは良い提案だ! と、「その提案を受け入れる」という対応があります。
金利が下がれば、支払う利息が減るのですから、理にかなった対応です。ただし、もうひとつ、別の対応も考えられます。それは、「金利以外の融資条件をよくしてもらう」という対応です。
具体的には、無担保プロパー融資や、経営者保証無しの融資、短期継続融資(手形貸付・当座貸越)など。これらの融資を受けた実績がなければ、交渉をするチャンスになります。
銀行は「貸したい」から、融資提案をしているわけですから。金利以外の面でも、交渉する余地はあるものと考えます。
信用保証協会付き融資や、担保付き融資ばかりの会社であれば、無担保プロパー融資に魅力があるはずです。経営者保証無しの融資も、万一を考えれば、魅力を感じられるところでしょう。
短期継続融資とは、運転資金の借りかたのひとつであり、端的に言えば「借りっぱなし」にできる融資です。運転資金の金額が大きい会社ならば、資金繰りを大きく改善できます↓
というわけで、銀行員から融資提案をされたタイミングで、それらの融資条件での提案をお願いしてみましょう。このときのポイントは、「金利は別にかまわないので」と伝えることです。
金利も下げて、そのほかに融資条件をよくするのでは、銀行としては「うまみ」がなくなってしまいます。だから、金利は下げなくていい。もっと言えば、多少は上がってもかまわない。くらいの話をして、融資条件の交渉をしてみましょう。
そもそも、いまは低金利の時代です。金利が3%を超えるようなケースは、だいぶ少なくなりました。1%を割り込むケースも少なくありません。
その状況で、さらに金利を下げるよりは、別の融資条件をよくするほうが「有意義」だと言えます。実際によくなれば、こんどは他の銀行からも、さらによい融資条件を引き出しやすくもなるでしょう。
低金利のいまだからこそ、「金利は捨てる」という視点も重要です。
金利が高くなる事情があるのかな?
通常、金利が高ければ、社長は「金利の引き下げ交渉」をするものです。
にもかかわらず、金利が高止まりしているのであれば、銀行は「金利が高くなる事情があるのかな?」と疑います。つまり、「自行が知らない情報を、他行は知っているかもしれない」と考えているわけです。
たとえば、ふだんから会社とのコミュニケーションが密なメインバンクなどが、その会社の事業の先行きに不安があることを把握していて、金利を高めに設定している。といったケースが考えられます。
ですから、業績が下降傾向にあるようならば、「金利が高い」と言う銀行員に対して、今後の見込みをていねいに説明するのがよいでしょう。
いちばんよいのは、「経営改善計画書」です。現状分析によって、いまの問題を特定したうえで、向こう3〜5年ていどの数値計画・行動計画をまとめた書類になります。
口頭だけだと、なんとでも言えてしまいますし、あとに残らないため検証もしにくい。銀行は、そのように考えているものです。なので、見込みを語るのであれば、計画書(書類)が必須になります。
なお、事業の先行きに不安がある以外にも、金利が高くなるケースはあります。たとえば、過去の厳しい時期も積極的に融資をしてくれたというような「恩義」があって、あえて高金利で「恩返し」をしているような会社です。
そのような事情があるのであれば、「金利が高い」と言う銀行員に対して、説明をするのもよいでしょう。要は、それぞれの銀行と自社との関係性をあきらかにする、伝える、ということです。
これによって、「ウチは、目先の金利でなびくような会社ではない」との意思表示にもなります。銀行もまた、中長期でお付き合いできる融資先を探していますから、「自社の姿勢を理解してもらう・お付き合いを深める」にあたってのきっかけになるはずです。
金利に無頓着な社長かもしれない
通常、金利が高ければ、社長は「金利の引き下げ交渉」をするものです。というのは、さきほどもいちど話をしました。
にもかかわらず、金利が高止まりしていると、銀行員は「金利に無頓着な社長かもしれない」と考えることがあります。さらに言うと、「この社長は、銀行融資のことがわかっていないかも」ということです。
実際にそのようなことでは困りますし、そうではないのにそう見られてしまうのも困ります。ヘタをすると、足元を見られたお付き合いをされてしまう可能性があるからですね。
そこで、「金利に無頓着でもないし、きちんと全体を見てますよ」という意味で、「借入金一覧表」を提示しながら、銀行と話をしてみるのがよいでしょう↓
借入金一覧表とは、文字どおり、自社の借入金を一覧にした表です。金利をはじめ、借入日、返済日、毎月の返済額などの情報を、一元管理することができます。
ですから、「自社ではその借入金一覧表を見て、借入金を全体管理しています」といったことを伝えてみましょう。金利については、「自社の現状から見た金利水準として、2%〜2.5%くらいを考えています」というような話ができると、説得力も出せるはずです。
まとめ
「他行の金利が高いですね」と言う銀行員が考えていること、そう言われた社長がどのような対応をすればよいのかについて。お話をしてきました。
言葉のウラで、銀行員が考えていることをイメージしつつ、対応ができるように準備をしておきましょう。
- 低い金利を提示して貸したい
- 金利が高くなる事情があるのかな?
- 金利に無頓着な社長かもしれない