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銀行はどこを見て「この会社にあとどれだけ貸せそうか?」 を考えるのか。

銀行はどこを見て「この会社にあとどれだけ貸せそうか?」 を考えるのか。

銀行は融資の可否を検討する際、「この会社にあとどれだけ貸せそうか?」という見方をしています。このとき銀行は、具体的に会社のどこを見ているのかを押さえておきましょう。

目次

余力のない会社に貸すことはできない。

銀行が、ある会社に対して融資の可否を検討するときには、「この会社にあとどれだけ貸せそうか?」という見方をしています。言い換えると、「この会社にはまだ借入できる余力があるのか?」ということです。

では、その「余力」について、銀行はどこを見て考えているのか? おもなところではこちらになります↓

この会社にあとどれだけ貸せそうか? を見るポイント
  • 利益の有無
  • 保証付き融資の空き
  • 担保の有無
  • 他行の動き

会社もまた、これらを見られていることを理解して、自社の借入余力を把握しておくようにしましょう。資金繰り・資金調達を考えるうえで、役に立つはずです。

それではこのあと、上記のポイントを順番に確認していきましょう。

この会社にあとどれだけ貸せそうか? を見るポイント

利益の有無

銀行から借りたおカネの返済原資は利益、というハナシは聞いたことがあるでしょう。たとえば、借りたおカネで 1,000万円の設備投資をすれば、その投資によって生み出される利益から 1,000万円を返済できなければいけません。

これを算式であらわしたのが、「税引後利益 + 減価償却費 > 年間返済額」です。ゆえに、銀行は「利益の有無」に注目しています。実際に見ているのは、過去の利益として決算書、現在の利益として試算表、将来の利益として経営計画書です。

とはいえ、利益が出ているときばかりではないでしょう。赤字になることもあれば、2期連続・3期連続で赤字になってしまうこともありえます。そうなると、ぜったいに融資を受けることはできないのか? といえば、そういうわけでもありません。

たしかに、赤字の場合には融資が受けにくくなるものの、銀行は利益のほかにも見ているものがあるからです。それをこのあと確認していきましょう。

参考

すべての借入の返済原資が利益、ではありません。利益がなくても返済できる借入はあります。くわしくは、こちらの記事もどうぞ↓

保証付き融資の空き

赤字の会社、あるいは、黒字でも利益が不十分な会社(税引後利益 + 減価償却費 < 年間返済額)について、銀行がまず見るのが「保証付き融資の空き枠」です。

保証付き融資とは、信用保証協会の保証が付いた融資のこと。会社が返済できなくなったときには、信用保証協会が肩代わりをしてくれるため、銀行にとっては安心・安全な融資です。

だったら、すべて保証付き融資にしたいところではありますが、保証付き融資には上限が定められています。一般枠(ほかに特別枠もあります)であれば 8,000万円(有担保の場合には 2億 8,000万円)です。

なお、8,000万円は制度上の上限であり、会社の状況によってはそれよりも少ない金額が上限になることはあります。ひとつの目安として、「年間売上高の3割〜5割くらいが上限」と考えておくとよいでしょう。

その上限に対して既存の借入額が少なければ、つまり、上限に対して「空き」があれば、銀行は「まだ貸せそうだ」と考えます。繰り返しになりますが、保証付き融資は銀行にとって安心・安全な融資だからです。

だとすると、ふだんから保証付き融資ばかりを受けていて空きがない会社は、いざというきに融資が受けられずに困ってしまうことがわかるでしょう。ふだんは保証付き融資ではなく、プロパー融資(信用保証協会の保証がない融資)を受けるようにすることが大切です。

プロパー融資を受けやすいタイミングについては、こちらの記事もどうぞ↓

担保の有無

利益もない、保証付き融資の空きもない、という場合にはどうするか。次に銀行が見るのは、「担保の有無」です。

その最たるものが、不動産になります。会社が所有している不動産のほか、社長個人が所有している不動産も対象です。担保に提供できるものがあれば、利益がなくても、保証付き融資の空きがなくても、融資を受けられる可能性があります。

ここで気をつけたいのは、担保をとるばかりで、いざというときには支援をしてくれないような銀行です。

担保を提供しているのであれば、本来は、いざというときにこそ支援をしてほしいわけですが、そうではない銀行もあります。担保を提供するときには、そのあたりの見極めに注意しましょう。

言い換えると、銀行にいわれたからといって、カンタンに担保を提供しないことです。ほかの銀行であれば、担保を提供せずとも借りられることはあります。

また、担保として見られるものは不動産だけではありません。すでに不動産は担保に提供済み、そもそも不動産がない会社であれば、「売上入金」を担保に考えてみましょう。

融資を受けようとしている銀行の口座に、売上代金が入金されていれば、常に一定額の預金残高があるはずです。これを銀行は、担保と同様に見ています。

ですから、融資を受けようとしている銀行以外の銀行の口座に売上入金があるのなら、売上先にお願いして、入金口座を変更してもらうのは1つの方法です。自行の口座に売上入金が増えれば、銀行は融資を検討しやすくなります。

にもかかわらず、売上入金を確認できていない、評価できていない銀行はあるものです。その場合には、こちらからアピールすることも検討しましょう。そのあたり、こちらの記事もどうぞ↓

他行の動き

いまも昔も、銀行は他行の動きを気にしています。「他行が貸すならウチも貸す、他行が引くならウチも引く」と考えるのが銀行です。

この点で、「他行がまだ貸しているのであれば、まだ貸せそうだ」という見方があります。とくに、メインバンクが貸しているような場合には、サブバンク以下の銀行はそのような見方をするものです。

逆に、メインバンクが融資を躊躇するようだと、ほかの銀行が融資をするケースは少なくなります。よって、ふだんからメインバンクとのコミュニケーションを深め、いざというときにも積極的に支援してくれる関係性を築いておくことが大切です。

そう考えると、メインバンクにこそ、保証付き融資の空き(すべてではなく、ほかの銀行に比べて多めという意味で)を提供したり、担保を提供するのもよいでしょう。

メインバンクからの融資が堅調であれば、サブバンク以下の銀行からの積極的な融資も期待できます。

なお、そもそもメインバンクと呼べる銀行がない… という会社もあるようです。それはそれで、いざというときには「リスク」になることを理解しておきましょう。借入残高には差をつけるなどして、メインバンクを持つことをおすすめします。

メインバンクの定義、メインバンクがあるメリット、メインバンクの選び方などは、こちらの動画にまとめました。よろしければ参考にどうぞ↓

まとめ

銀行は融資の可否を検討する際、「この会社にあとどれだけ貸せそうか?」という見方をしています。このとき銀行は、具体的に会社のどこを見ているのかを押さえておきましょう。

自社の借入余力を把握できれば、資金繰り・資金調達を考えるうえで、役に立つはずです。

この会社にあとどれだけ貸せそうか? を見るポイント
  • 利益の有無
  • 保証付き融資の空き
  • 担保の有無
  • 他行の動き
銀行はどこを見て「この会社にあとどれだけ貸せそうか?」 を考えるのか。

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