社長は雨の日(=業績が悪いとき)こそ銀行へ行け

社長は雨の日(=業績が悪いとき)こそ銀行へ行け

銀行は、晴れの日(=会社の業績が良いとき)に傘を貸すところではありますが。雨の日(=会社の業績が悪いとき)に、社長がなにもできないわけではありません。むしろ雨の日こそ、社長は銀行に行きましょう、というお話です。

目次

いちどは聞いたことがあるセリフ。

会社の銀行融資に関して、こんなハナシがあります↓

『銀行は晴れの日(=業績が良いとき)に傘(=融資)を貸し、雨の日(=業績が悪いとき)に傘(=融資)を取り上げる』

某ドラマでのセリフでもあり、いちどは聞いたことがあるという社長も多いことでしょう。実際に、銀行は業績が良い会社に融資をしたがりますし、業績が悪い会社には融資をしたがりません。

ですが、これを聞いて「雨の日(=業績が悪いとき)には融資が受けられないのか… 雨の日に銀行に対してできることはないのか…」と考えるのであれば、それは誤解です。

実は、雨の日にこそ社長がすべき銀行対応はあります。具体的にはこちらです↓

雨の日にこそ社長がすべき銀行対応
  • 決算報告に行く
  • 経営計画書を用意して行く
  • 決算書が赤字になる前に借りに行く

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

雨の日にこそ社長がすべき銀行対応

決算報告に行く

毎年、決算がおわると銀行から「決算書のコピーをください」といわれることでしょう。それを待って渡すのではなく、社長みずから銀行(の取引支店)まで「決算報告」に行くのがおすすめです。

その目的はいくつかあります↓

  • 前年差異の原因を説明するため
  • 今期の見込みを伝えるため
  • 融資を引き出すため
  • 支店長や融資課長と面識を持つため

このあたり、くわしくは別の記事に書きましたので、よろしければ参考にどうぞ↓

それはそれとして、決算報告というと「黒字のときには行くけど、赤字のときには行かない(行きたくない)」という社長がいます。

気持ちはわかりますが、いちど決算報告に行くと決めたら、黒字でも赤字でも行きましょう。赤字のときには行かないとなると、銀行からは「誠実さに欠ける社長」だと見られかねません。

どんな理由があれ、極論、赤字の責任は社長にあります。その社長から、赤字の理由について説明がない、赤字への対応についての説明もなければ、責任逃れではないのか? という見方です。

そう考えると、社長は赤字のときこそ、つまり、雨の日にこそ銀行へ行くべきだといえるでしょう。それができる社長はけして多くありませんから、誠実さは銀行に伝わるはずです。

もちろん、銀行への説明を通じて、社長自身が赤字を省みるきっかけにもなります。結果として、業績改善に繋がりやすい、銀行からの支援を受けやすくなるのはメリットです。

経営計画書を用意して行く

社長は、銀行に決算報告へ行きましょう、という話をしました。このとき、ぜひとも用意して持参したい書類があります。それは、「経営計画書」です。

経営計画書とは端的にいえば、「自社の将来の姿を可視化するための書類」だといえます。どんな社長でも、多かれ少なかれ「将来の姿」を思い描いているはずです。

ところが、それを可視化できているか? というと、多くの社長ができていません。つまり、社長のアタマのなかにはあるけれど、「ほかの人」にはそれがわからないという状態です。

ここでいう「ほかの人」とは、社員や取引先、そして銀行も含まれます。銀行は、融資先の「いま」も気になりますが、「将来」も気にしていることを理解しておきましょう。いうまでもありませんが、貸したおカネは「将来の利益」で返済をしてもらわねばならないからです。

したがって、社長は「将来にわたって利益が出せること」を、経営計画書で伝えることが大切になります。現状、赤字(=雨の日)であればなおのこと、将来がだいじであることはわかるでしょう。

経営計画書をもって、「いまは赤字だけれど、これから黒字にする」ことを可視化する必要があります。なお、経営計画書に記載する具体的な項目は次のとおりです↓

  • 経営方針
  • 現状分析
  • 課題・問題の提示
  • 解決策の提示
  • 行動計画
  • 利益計画
  • 資金計画・資金繰り予定表

このあたりに関連して、こちらの記事なども参考にどうぞ↓

経営計画書をつくるなんてメンドーだ… 計画をつくってもどうせそのとおりにはならないし。といったハナシをよく見聞きします。経営計画書をつくる社長は、ほとんどいないのです。

だからこそ、経営計画書をつくれる会社を銀行は評価します。管理意識・管理能力が高い社長だと評価します。実際、経営計画書は、経営管理・経営判断に役立つものですから、ぜひ作成してみましょう。

決算書が赤字になる前に借りに行く

会社が赤字になる場合、決算書ができあがったときに「いきなり」赤字になるわけではありません。決算よりも前、期中のどこかで赤字が発生しはじめているはずです。

この点で、毎月試算表を作成していれば、赤字の発生に気づくことができます。社長はそれに気づいたら、決算を迎える前に、銀行へ融資の相談をしましょう。

ご存知のとおり、赤字の決算書では融資が受けにくくなるからです。もちろん、試算表の提示を求められれば、赤字が発生していることに銀行も気づきます。

ですが、「赤字の決算書」と「赤字の試算表」とで、どちらのほうが融資が受けにくいかといえば、「赤字の決算書」です。銀行は、試算表よりも決算書を重視することを覚えておきましょう。

銀行には、試算表は「試算にすぎない(=アテにならない)」との見方があります。実際、試算表では黒字だったのに、決算で赤字になったり、その逆のことが起きたりもするからです。

だいじなのは、社長が試算表を使って、できるだけ早く赤字の発生に気づくこと。早ければ早いほど、決算までの時間がありますから挽回の可能性も高く、融資が受けやすくなります。逆に、決算の直前で赤字となると、同じ赤字でも融資が受けにくくなるものです。

試算表はタイムリーにつくりましょう、というハナシがありますが。銀行対応の観点からも、タイムリーにつくることが大切だとわかります。

なお、せっかく試算表をタイムリーにつくっていても、「精度が低い」試算表も少なくありません。まさに試算にすぎず、アテにならない試算表です。これでは、社長も経営判断・財務判断を間違えてしまうでしょう。

ですから、試算表をタイムリーにつくることとあわせて、精度を高くつくることにも気をつけなければいけません。そのあたりくわしくは、こちらの記事も参考にどうぞ↓

まとめ

銀行は、晴れの日(=会社の業績が良いとき)に傘を貸すところではありますが。雨の日(=会社の業績が悪いとき)に、社長がなにもできないわけではありません。

むしろ雨の日こそ、社長は銀行に行きましょう。本記事お伝えをしたとおり、できること・すべきことはいろいろあります。

雨の日にこそ社長がすべき銀行対応
  • 決算報告に行く
  • 経営計画書を用意して行く
  • 決算書が赤字になる前に借りに行く
社長は雨の日(=業績が悪いとき)こそ銀行へ行け

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