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2022年末以降の銀行融資トレンド

2022年末以降の銀行融資トレンド

本記事執筆日(2022年10月17日)から向こうしばらくの銀行融資トレンドについてお話をしていきます。知っているかどうかで、銀行融資の受けやすさにも影響するところです。

目次

なにごとにもトレンドがある。

銀行融資にもトレンドがあります。原理原則までは変わらないにせよ、ちょっとした「流れ」はあるもので、その流れに乗れるかどうかで、銀行融資の受けやすさが変わり、ひいては資金繰りの良し悪しに影響することはあるものです。

そこで、本記事では「2022年末以降の銀行融資トレンド」と題して、本記事執筆日(2022年10月17日)から向こうしばらくの銀行融資トレンドについてお話をしていきます。

具体的にはこちらです↓

2022年末以降の銀行融資トレンド
  • 経営計画書(とくに行動計画)の重要性が上がる
  • 取引銀行数の絞り込みが必要に
  • 経営者保証の解除がしやすくなる

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

2022年末以降の銀行融資トレンド

経営計画書(とくに行動計画)の重要性が上がる

銀行融資を受けるときに、決算書が必須であることはご存知のとおりです。では、必須ではないけれど、銀行融資の受けやすさに影響する書類として「経営計画書」があることはご存知でしょうか?

その経営計画書の重要性が、以前よりも上がっているというのはトレンドのひとつです。そのきっかけは大きく2つあります。1つは「事業性評価」、もう1つは「新型コロナ」です。

まず、事業性評価とは「決算書の良し悪しや担保・保証の有無に依存せず、事業の内容や将来性を評価しよう」という考え方を言います。これを金融庁が推し進めているため、各銀行は取り組まざるをえない状況です。

では、事業の内容や将来性について理解を深めるには? 経営計画書に記載される「情報」が役立ちます。経営計画書には、経営方針・戦略、事業課題、数値計画や行動計画などが含まれるため、銀行が事業性評価をするのに欲しい書類なのです。

ところが、多くの中小企業では経営計画書をつくっていない。というか、つくり方もわからない… という社長が少なくありません。トレンドに乗るためには、経営計画書の作成を検討しましょう。

また、「新型コロナ」によっても、経営計画書の重要性が高まりました。それは、コロナで影響を受けた会社の支援を目的とした融資である「伴走支援型特別保証制度」にあらわれています。

この制度を利用するには、銀行といっしょになって作成した「経営行動計画書」が必要です。経営行動計画書とはすなわち、いわゆる経営計画書であり、銀行融資における「経営計画書の重要性の高まり」が感じられます。

その経営行動計画書について、記載項目の1つである「具体的なアクションプラン」がポイントです。これは、いわゆる行動計画であり、銀行は融資先が行動計画を実行しているかどうかの検証を行うことになります。まさに、伴走支援です。

伴走支援型特別保証制度に限らず、この流れは銀行融資全般に広がるものと考えられます。やはり金融庁が、銀行の「伴走支援」を推し進めているからです。銀行はおカネを貸すだけではなく、融資先の事業を支援することで、いっしょに成長する姿を目指します。

だとすれば、経営計画書(とくに行動計画)を用意している会社は、銀行の支援が受けやすく、逆に経営計画書を用意できない会社は、銀行の支援が受けにくくなることは想像できるはずです。

行動計画の考え方やつくり方については、こちらの記事もどうぞ↓

取引銀行数の絞り込みが必要に

以前に比べると、1つの会社が融資を受けている銀行の数が増えている、という統計があります。いっぽうで、銀行員の数が減っているという統計があります。

これにより、金融庁が懸念しているのは、銀行員1人あたりの「負担増加(場合によっては退職)」と、それにともなう銀行による融資先支援の「質の低下」です。

ここで言う「質の低下」とは、決算書の「表面的な数字」を中心とした融資審査であり、前述した「事業性評価」とは対局にある状態だと言えます。結果として、融資先の将来性を見据えた支援ができなくなることから、融資先の成長が滞り、ひいては銀行自身の成長も滞る…

そこで金融庁は、銀行に対して「融資先数の絞り込み」という考え方を提示しています。これを会社側から見れば、「取引銀行数の絞り込み」です。つまり、いくつの銀行から融資を受けているのか? その銀行の数を絞り込む必要があると言えます。

金融庁が言っている以上、銀行は何かしらの対応をせざるをえないものです。いますぐはムリだとしても、中長期的には融資先の数を絞り込んでいくことが考えられます。だとすれば、会社側は絞り込まれるものとして準備しておく必要があるでしょう。

具体的には、「自社に合った銀行」との関係性を深めるようにすることです。たとえば、預金をどこの銀行にあずけるか? 融資を受けてもいない銀行に預けているのはもってのほかです。基本的には、メインバンクやサブバンクを中心に預けるようにしましょう。

にもかかわらず、預金のあずけ先がおかしなままだと、「自社に合った銀行(メインバンクやサブバンク)」が離れていく可能性があります。繰り返しになりますが、銀行側は融資先に絞り込みをするからです。

したがって、会社側は「銀行から選ばれる」ように、自社に合った銀行との関係性を深めることが大切になります。関係性を深める方法はいろいろです。保証付き融資を借りる、担保を提供する、定期的に試算表を提示する、社長個人の資産情報を開示する、などなど。

いま現在の取引銀行数が多い会社はとくに、取引銀行数の絞り込みについて検討してみましょう。

経営者保証の解除がしやすくなる

2022年8月末、金融庁から公表された「2022事務年度 金融行政方針」には、「経営者保証に依存しない融資慣行の確立や、事業全体に対する担保権の早期制度化に取り組む。」との記載がありました。

そもそも、「金融行政方針」とは、金融庁が各年度の行政方針を示したものです。つまり、「金融庁がどこを目指しているか?」ではありますが、同時に、銀行のあるべき姿を示すものでもあり、銀行が取り組むべき課題を含むものでもあります。

だとすれば、「経営者保証に依存しない融資」は今後のトレンドになる可能性が大です。経営者保証に依存しない融資とは、言い換えると「社長の連帯保証がない融資」のこと。

これを聞いて、「えっ、そんな融資が受けられるの?」とおもわれるかもしれませんが。それこそが問題であり、経営者保証に依存しない融資は、金融庁の思惑どおりには浸透していないのです。だからこそ、金融行政方針に明記されたと考えてよいでしょう。

なお、いま現在、民間銀行における新規融資に占める「経営者保証に依存しない融資」の割合は約3割です。以前に比べるとだいぶ増えましたが、まだまだ、これから増える余地があります。

社長にしてみれば、万一のことを考えて、経営者保証が無い融資のほうがよいはずです。とはいえ、銀行もなんでもかんでも経営者保証を解除するわけではありませんから、どうしたら経営者保証を解除することができるのか? その考え方を理解しておく必要があります。

具体的には、次のようなことに取り組みましょう↓

  • 経営者保証に関するガイドラインを知ること
  • 銀行に対して経営者保証を外すよう交渉すること
  • 銀行に対する交渉のしかたを覚えること

これらについて、くわしくは別記事にまとめていますので、そちらもお読みいただければとおもいます↓

経営者保証の解除については、銀行は金融庁への報告義務があります。ゆえに、銀行は「どこかしらの融資先」に対して、経営者保証を解除しなければならない状況です。自社が、その「どこかしらの融資先」に選ばれるように、前述した取り組みを実行していきましょう。

まとめ

本記事執筆日(2022年10月17日)から向こうしばらくの銀行融資トレンドについてお話をしてきました。

知っているかどうかで、銀行融資の受けやすさや、融資条件の良し悪しにも影響するところです。それぞれのポイントを押さえて、流れに乗れるようにしておきましょう。

2022年末以降の銀行融資トレンド
  • 経営計画書(とくに行動計画)の重要性が上がる
  • 取引銀行数の絞り込みが必要に
  • 経営者保証の解除がしやすくなる
2022年末以降の銀行融資トレンド

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