むむっ。これはアヤシイ・・・
税理士から見ると、そんな怪しげな領収書というものはあるもので。
税理士が「これはアヤシイ」と感じる領収書の特徴と注意点についてお話します。
税理士が怪しむ領収書、税務署も怪しむ領収書
これはなんだかアヤシイなぁ。見ていてそのように感じる領収書があります。
つまり。「この領収書は、ほんとうに経費なんだろうか?」と、思わず勘ぐってしまうような領収書。
税理士がそう感じるのであるならば、税務署もまた、同じように感じるにちがいない。
ということで。税理士が「これはアヤシイ」と感じる領収書の特徴についてお話していきます。
また、「ほんとうに経費」なのに、あらぬ疑いをかけられて困ることがないように。そのような領収書に対する注意点にも触れていきます。
アヤシイ領収書の「宛名」の特徴と注意点
【 アヤシイ領収書の「宛名」の特徴 】
- 無記名
- 上様(うえさま)
領収書の宛名が無記名(なにも書かれていない)、あるいは上様(うえさま)と書かれた領収書はよくありません。
言うまでもなく、「だれに宛てられた領収書かはっきりしない」からです。
このあとお話していきますが、金額が大きい領収書とか、遠方にあるお店の領収書などの宛名が無記名や上様であったりすると怪しさが倍増します。
もしかしてアナタ、この領収書は他人からもらってきました? なんて感じるわけです。
【 アヤシイ領収書の「宛名」の注意点 】
宛名はしっかりと書いてもらいましょう。
せっかく領収書をもらう(レシートではなく)のであれば、半端をせずに、宛名もしっかりと書いてもらいましょう。
ちなみに、なんでもかんでもわざわざ領収書をもらう必要はありません。レシートでじゅうぶんです。
ただし、金額が大きく(目安として数万円以上)、「説得力が欲しいなぁ」というようなものについて、領収書をもらうようにするとよいでしょう。
アヤシイ領収書の「日付」の特徴と注意点
【 アヤシイ領収書の「日付」の特徴 】
- 仕事が休みの日
- 発行時刻が仕事の営業時間中(レシートの場合)
領収書の日付が「仕事が休みの日(領収書をもらう人が)」だと、怪しさの要素になりえます。
たとえば、それが家の近所の飲食店の領収書であれば。もしかして、休みの日に家族で外食した領収書じゃない? ほんとうは経費じゃないんじゃない? と疑われるかもしれません。
また、レシートである場合。レシートの発行時刻が印字されていることがあります。
それが、通常仕事をしているような日中の時間帯だったりすると。もしかして、奥さんがママ友ランチした領収書じゃない? やっぱり仕事に関係なくない? とも疑われます。
書いていて若干イヤになってきました。こんなに疑うなんて病気です、職業病です。でも、そういう人からは疑われることもあるんだな、って覚えておくとよいでしょう。
【 アヤシイ領収書の「日付」の注意点 】
「誰と」「何のために」などについてのメモ書きをしておきましょう。
疑われることを前提に、日付がアヤシイ領収書やレシートには、すぐにメモ書きをしておきましょう。
たとえば飲食であれば、「誰と」の飲食なのか。「何のための」飲食なのか。「得意先〇〇社・△△氏と打合せ」みたいな感じですね。
あとになってから、税理士や税務署に聞かれても、なかなか思い出せないものです。すぐに書く、のがポイントです。
アヤシイ領収書の「金額」の特徴と注意点
【 アヤシイ領収書の「金額」の特徴 】
- キリがいい
- 同日付の領収書が複数枚
金額があるていど高額(数万円以上)で、キリがいいとなんとなくアヤシイ。50,000円とか、80,000円とか、高くてキリのいい数字。
この場合、「白紙領収書」が疑われます。白紙領収書とは、スナックのママなどから「金額は自分で書いといて~」と渡される、文字どおり白紙の領収書のことを言います。
これ幸い、とテキトー(実際とはちがう)に書かれた金額が50,000円とか80,000円だったりするわけです。これは領収書の偽造にあたります。やっちゃダメなやつです。
また、同じお店の領収書が、同じ日付で複数枚ある、というのも疑われます。要は、高額な買い物について、領収書を分割したように見える領収書です。
ほんとうは1つの買い物を、領収書を分割することで2つ以上の買い物に見せようとする人がいるんですね。
そんなことをする理由は、ひとつひとつの領収書を目立たなくさせる。あるいは、減価償却を避けて一度に経費にするため(※)だったりします。
※ ひとつ30万円以上(白色申告者は10万円以上)のモノはいちどに経費にはできず、減価償却という手続きによって、複数年で分割して経費にしなければいけません
【 アヤシイ領収書の「金額」の注意点 】
- 領収書に自分で金額を書いてはいけません
- 領収書を分割するのは気をつけましょう
そもそも実は、白紙領収書については、たとえ正しい金額であっても自分で書いてはいけません。領収書は、おカネを受け取った側がつくるべき書類だからです。
あなたが書いた時点で偽造だ(法律的に)、と言われかねません。白紙領収書自体をもらわない、きちんと金額まで書いてもらうようにしましょう。
また、領収書は不用意に分割をしないこと。まれに、領収書を発行する側の都合(たとえば印紙代節約)で分割をされることがありますが、その場合には経緯や理由をきちんと説明できるようにしましょう。
アヤシイ領収書の「但し書き」の特徴と注意点
【 アヤシイ領収書の「但し書き」の特徴 】
- お品代
- 客を特定できる情報
お買い物の内容をしめす但し書き。これが「お品代」というのはよろしくない、というのはよくよく言われるところです。
これについて、あまり金額の大小は関係ありません。日々のこまごまとした家庭用食料品の領収書を「お品代」として経費に入れていた、という話はあるわけで。
反対に、高額な領収書の「お品代」も、「いったいなにを買ったんだろうね? 実は自宅用家電製品?」などと疑われます。
また、領収書やレシートに記載される「客を特定できる情報」には注意が必要です。たとえば、交通系電子マネーについて、駅の券売機でチャージをした際に受け取る領収書。
そこには「カード番号」が記載されています。領収書の中から複数のカード番号が出てくると、仕事と関係がない家族(こどもとか)の分も混じってない? と疑われます。
【 アヤシイ領収書の「但し書き」の注意点 】
- 但し書きに「お品代」はやめましょう
- 「客を特定できる情報」には注意をはらいましょう
わざわざ領収書をもらうのであれば、「お品代」はやめましょう。文房具とか、清掃用品とか、書籍とか、ザックリとした程度でかまいません。ある程度、内容がわかるように書いてもらいましょう。
そうでなければ、詳細に記録されているレシートのほうがむしろ良い、ということになります。
また、カード番号や顧客番号など、客を特定できる情報には注意をし、経費ではないものが混じらないように注意しましょう。税理士や税務署は、そのあたりまで見ています。
アヤシイ領収書の「発行者」の特徴と注意点
【 アヤシイ領収書の「発行者」の特徴 】
- 自宅のすぐ近所、あるいは妙に遠方
- バー、スナック
自宅のすぐ近所のお店の領収書というのは、仕事とは関係のない私的な買い物や飲食などではないかと疑われます。頻度が高いと、なおいっそうアヤシイ。ということになります。
逆に、妙に遠方のお店となると。ほんとうに行ったの? 誰かからもらった領収書? それとも、プライベートの旅行先での領収書では? と疑われます。
また、領収書の発行者がバーやスナックという場合には、なんとなく怪しんでしまうところがあります。前述した「白紙領収書」が気になるからです。
ですから、領収書が頻出するバーやスナックについては、その金額の筆跡を気にします。領収書を受け取った人の筆跡でないかを確認したくなる。疑い過ぎです、職業病です。誰か止めてください。
【 アヤシイ領収書の「発行者」の注意点 】
- 「誰と」「何のために」などについてのメモ書きをしておきましょう
- 白紙領収書はやめましょう
疑われやすい近所のお店、妙に遠方のお店については、とくに注意をして、領収書にメモ書きを残すようにしましょう。
言うまでもありませんが、ウソはいけません。メモを書けばいいというものではありません。老婆心ながら申し添えておきます。
また、白紙領収書はそもそももらわないように、というのは繰り返しです。
まとめ
税理士が「これはアヤシイ」と感じる領収書の特徴と注意点についてお話をしてきました。
アヤシイ領収書というのは、それがほんとうは怪しくなくても(事実であり、経費であっても)、怪しく見えてしまうものです。
それでも、税理士や税務署はこんなふうに見ているんだなという視点を知っていると、その怪しさを軽減するような対応をとることもできます。
税理士や税務署の視点というものも、身につけておくとよいでしょう。
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きょうの執筆後記
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