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借入希望額がちょっと大きい…というときは「協調融資」でいこう

協調融資

ちょっと借入希望額が大きいかなぁ・・・

そんなときには、「複数」の銀行・金融機関から融資を引き出す手段があります。それが「協調融資」。

協調融資の考え方、段取り、注意点などについてお話をしていきます。

目次

借入希望額が大きいときの「協調融資」とは?

会社・個人事業者にとって、欠かすことができない資金調達手段が「銀行融資」です。

とくに小規模零細事業者は、一般に資金力に乏しく、資金調達手段にも乏しいのですから、銀行融資は積極的に活用すべきと言えます。

とはいえ、融資を受けるのも簡単ではありません。おカネを借りたくとも、必ず借りることができるというわけではありません。

銀行・金融機関には、「貸し手の側」の考え方があり、その考え方に合った相手にしかおカネを貸すことはないのです。

たとえば。「この会社には、この融資金額は大きすぎる」と銀行が考える場合。つまり、会社の状況(決算書など)を見るに、この金額を貸すのはちょっと危険だろうと考える場合。

銀行は、会社が希望する融資金額よりも少ない金額で引き受けるか、あるいは融資自体を引き受けない、という対応になります。

このような銀行の対応が想定されるケースで、借り手が検討すべき手段が「協調融資(きょうちょうゆうし)」です。

協調融資とは

協調融資とは、あるひとつの借入について、複数の銀行・金融機関と同時に交渉し、全体としてより大きな融資金額を引き出す資金調達手段です。

例を挙げると。2,000万円の借入を希望しているが、A銀行だけでは1,500万円が限度だろうという場合。

そこに、B銀行も加わることによって、A銀行・B銀行ともに1,000万円ずつの融資を交渉し、借入希望額 2,000万円を実現する。これが協調融資です。

それではこのあと、協調融資の考え方や段取り、注意点などについてお話をしていきます。

 

協調融資の使いどきはいつ?

複数の銀行から融資を引き出す協調融資について。まずは、その「使いどき」を考えてみましょう。どんなときに、協調融資を検討すべきなのか?

これは、さきほど簡単に触れました。ひとつの銀行では、ちょっと難しいかなぁ、という借入額を希望するとき。それが協調融資の使いどきです。

では、「ちょっと難しいなぁ」とは、具体的にどのていどの金額を言うのか、どのような状況を言うのか? それはそれで難しい質問ではあります。

銀行は融資可否の審査をする際、さまざまな項目を多面的・総合的に見ていますので、ひとことで言い表すことはできません。

では、話が終わってしまいます。けれども、項目のすべてをお話していたのではキリがない。話が終わらない。

ということで、ひとつだけ「目安」を提示しておきます。こちらです ↓

借入余力の目安

借入余力の目安=(税引後利益+減価償却費)× 10 - 既存の借入金残高

自社の決算書を見て計算してみましょう。求めた「借入余力の目安」の金額に対して、今回の借入希望額が大きいほど、借入は難しいなぁということになります。協調融資の使いどき、と言えます。

これはあくまで、「ひとつの目安」だということはご理解ねがいます。融資審査が多面的・総合的であることはさきほどお話をしたとおりです。

ちなみに、上記の「借入余力」が意味するところは、「税引後利益+減価償却費」の10年分が、その会社が返済できる借入金の限度であろうということです。

会社は利益が出ていなければ、融資を受けることが難しくなる。そう言われる理由がよくわかります。詳しくはこちらの記事もどうぞ ↓

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協調融資は「プロパー+保証協会付き+日本政策金融公庫」の合わせ技

では、実際に協調融資でいってみよう、という場合。具体的には、どのように複数の銀行・金融機関を選べばよいのか?

結論としては、「プロパー融資」「信用保証協会の保証付き融資」「日本政策金融公庫」、この3つの合わせ技です。

信用金庫の「プロパー融資+保証付き融資」がおすすめ

はじめに、「プロパー融資」と「信用保証協会の保証付き融資」の2つから説明をします。

プロパー融資とは、その金融機関が単独でリスクを負って貸し出しをする融資です。いっぽう、信用保証協会が銀行のリスクを一部(あるいは全部)肩代わりする保証付き融資があります。

銀行からすれば、リスクが少ない保証付き融資が貸しやすく、プロパー融資は貸しにくい。2つの融資はそのような位置づけになっています。

そこで協調融資ではまず、「基本は保証付き融資、足りない分はプロパー融資でなんとかお願いします」というスタンスで銀行と交渉することになります。

信用保証協会には、一社につき無担保・無保証の融資枠(※)が8,000万円あります。この枠を使ってもらい、銀行のリスクを最大限減らすことでプロパー融資の上乗せを期待するわけです。

 ※ 枠が余っているからといって必ず融資できるわけではありません。枠の範囲内で、そのときの会社の状況に応じて融資額は決まります

協調融資の交渉ポイント

保証付き融資とプロパー融資をセット」で交渉する

これを理解せずに、A銀行にはプロパー融資だけを依頼、B銀行には保証付き融資を依頼したのでは、A銀行は負うリスクが高いばかりでおもしろくありません。

結果、B銀行の保証付き融資しか実現せず、全体としての融資実現額が下がってしまいます。保証付き融資とプロパー融資をセットで交渉するのがコツ、覚えておきましょう。

また、小規模零細事業者にとって、もっともプロパー融資を期待できるのが「信用金庫」です。都市銀行はまずムリ。身の丈に合った銀行選びも重要です。

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日本政策金融公庫もおすすめ

小規模零細企業にとっては、比較的融資を受けやすい「日本政策金融公庫」は外せません。

日本政策金融公庫は「国民生活の向上に寄与すること」を目的に掲げる政府系金融機関であり、小規模零細事業者にも積極的な融資姿勢をとっています。

したがって、協調融資を進める際には、民間の金融機関(おすすめは信用金庫)プラス日本政策金融公庫の組み合わせを考えましょう。

融資額を最大限引き出すには、「プロパー融資」「信用保証協会の保証付き融資」「日本政策金融公庫」、この3つの合わせ技です。

それぞれの金融機関に同時に交渉する

以上のような考え方にもとづき、民間の金融機関と日本政策金融公庫に交渉をします。

順番はどちらからでもかまいませんが、同じタイミングで交渉をはじめましょう。このとき、民間金融機関にも日本政策金融公庫にも「協調融資」であることを伝えます。

たとえば。2,000万円の借入希望額について、C信用金庫と日本政策金融公庫との協調融資を考える場合。

まずは、日本政策金融公庫に対しては、全体として2,000万円の融資を希望していること、C信用金庫との協調融資を考えていることを伝えます。

日本政策金融公庫の融資可能額を打診したうえで、C信用金庫にも、協調融資の旨と日本政策金融公庫の融資可能額とを伝えます。

仮に、日本政策金融公庫の融資可能額が1,000万円である場合、C信用金庫には保証付き融資とプロパー融資で1,000万円をお願いすることになります。

このとき、日本政策金融公庫が提示する1,000万円は、「C信用金庫と保証協会ががんばってくれるならウチもがんばる」の結果です。

そして、C信用金庫では、「日本政策金融公庫が1,000万円がんばってくれるなら、保証付きが難しい部分はプロパーでウチもがんばる」というメカニズムが働きます。

その結果として、複数の金融機関あわせて最大限の融資額を期待できる。ひとつの金融機関からは難しい融資額を引き出すことができる。それが、協調融資に求める効果です。

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まとめ

借入希望額がちょっと大きい…というときの「協調融資」についてお話をしてきました。

最大限の融資額を引き出すために、協調融資の考え方を身につけておきましょう。

本記事の要点まとめ
  • 借入希望額が大きいときは協調融資で
  • 信用金庫の保証付き+プロパー、日本政策金融公庫のセットがおすすめ
協調融資

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