” 会計ソフトに入力したらチェック…? いやいや、チェックのしかたわからんし ”
と、「入力しっぱなし」のフリーランスのために。データチェックのポイント「3つのバランス」についてお話をします。
脱・入力しっぱなし!まずは「3つのバランス」のチェックから
会計ソフトやクラウドサービスを使ってじぶんで経理をしています! というフリーランスでも。
取引の「入力」をしっぱなしで、「チェック」まではできていない… というケースをよく見かけます。
チェックがだいじであることを知りながら、入力しっぱなしになる理由は「チェックのやりかた」がわからないから、ですよね。
そこで本記事では、細かいところはさておいて、まずはざっくりと、でも要点を押さえたチェックを目指します。
キーワードは「3つのバランス」。次の3つのバランスをチェックします ↓
- 利益と生活費のバランス
- 経費同士のバランス
- 前年、前月とのバランス
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
《チェック1》利益と生活費のバランス
1つめのチェックは、「利益」と「生活費」のバランスに注目です。
はじめに、「利益」はどこを見る?
会計ソフトには、「試算表(または残高試算表)」という帳票を閲覧する機能があります。
その試算表は、さらに「貸借対照表」と「損益計算書」とに分かれます。そのうちの「損益計算書」のほうを表示してみましょう。
損益計算書は、上部に「売上」、下部に「利益(または所得)」、そのあいだに「経費」という構成です。
「売上 − 経費 = 利益」を帳票にしたものが、損益計算書。その名称ほどに難しいものではありません。
ここで話を「利益」と「生活費」に戻しますと。このうち「利益」は、損益計算書の下部にあります。金額を確認してみましょう。
その利益で食っていけるのか?
損益計算書で確認をした「利益」の金額は、フリーランスの「生活費」の元手となるものです。
したがって、その「利益」の金額で生活ができるか、という見方がたいせつです(試算表は月単位で集計できるので、集計期間に応じて金額を見てみましょう)。
たとえば、ひと月あたりの「利益」が15万円、夫婦・子ども2人の4人家族というケース。「ちょっと、食っていけないよね」という見方ができます。
このとき、ほんとうに食っていけないこともあるのですが、次のようなケースもあるので、「経費」のチェックが必要です 。
損益計算書上、「利益」の上方に掲載されている「経費」について、金額が大きい勘定科目を中心にその内容を確認してみましょう。確認のポイントは ↓
- 税金を減らしたくて、無理にに計上しているものがないか(経費というより私費…?)
- 入力を誤って計上しているものがないか(誤って1つの取引を2重に計上、生活費を経費で計上など)
税金をできるだけ押さえたい、という心理から「過剰な経費」が計上されていることがあります。このあたりは税務署も同じ見方で脱税を疑いますから要注意です(上記①)。
また、単純な入力ミスにも注意が必要です。結果的には「過剰な経費」になりますから、税金の計算を間違えることになってしまいます(上記②)。
利益と生活費のバランス、次いで経費という流れでチェックをしていきましょう。
《チェック2》経費同士のバランス
2つめのチェックは、「経費同士」のバランスに注目です。
ひとくちに「経費」と言ってもいろいろあります。その「いろいろ」ぶりは、損益計算書の中ほどに列挙される経費の勘定科目を見ればわかることでしょう。
とはいえ、「売上 − 経費 = 利益」だし。経費でありさえすれば、勘定科目なんてどうでもいっか。というと、そうでもありません。
たしかに、どの勘定科目を使おうと経費は経費ですが、あまり無頓着でいると「税務署の眼」にとまる可能性が高くなるからです。
「なんで交際費の金額がこんなに大きいのだろう…? もしや、私費が混じってる?」という眼で見られることを覚えておきましょう。
結論として、金額が大きな経費の勘定科目については、他の勘定科目にすることができないかを検討しましょう。
たとえば、
- 飲食代が多く、「接待交際費」の金額が多い
→ 接待分は「接待交際費」、打合せ分は「会議費」に - 取材での移動代が多く、「旅費交通費」の金額が多い
→ 取材での移動代は「取材費」、取材以外での移動代は「旅費交通費」に - クルマのガソリン代・ETC代が多く、「旅費交通費」の金額が多い
→ クルマ関連は「車両費」、電車代などは「旅費交通費に」 など
これらを検討することで、ひとつの勘定科目に金額が集中することを避け、経費の内容をより明瞭に表示することができます。
各経費同士の金額のバランスをチェックするようにしましょう。
《チェック3》前年、前月とのバランス
3つめのチェックは、「前年」「前月」とのバランスに注目です。
具体的には、損益計算書について、「前年」「前月」の数字と比較をしてみます。
会計ソフトには、「前年比較」などと呼ばれる機能があります。これで、前年の損益計算書と、今年の損益計算書とを比較できます。
また、「推移表」や「月次推移」などと呼ばれる機能もあります。これで、毎月ごとの売上・経費・利益の推移を閲覧でき、前月と同月の比較もできます。
これらによる「前年」「前月」との比較では、とくに「経費」を中心に確認してみましょう。ポイントは、
- 前年・前月よりも大きく増加している経費はないか?
→ 2重計上などの誤りではないか、他の勘定科目にすべき経費ではないか、税金を減らそうと無理に計上していないか - 前年・前月よりも大きく減少している経費はないか?
→ 入力が漏れている取引はないか、他の勘定科目として処理されていないか など
前年・前月と数字を比べることで、単純な経理のミスに、じぶんで気が付くことができるようになります。
前年、前月とのバランスをチェックするクセを付けましょう。
まとめ
脱・入力しっぱなし、ということで、「3つのバランス」チェックについてお話をしてきました。
- 利益と生活費のバランス
- 経費同士のバランス
- 前年、前月とのバランス
会計ソフトやクラウドサービスを使っているからといって、いつも正しい経理ができるわけではありません。
考え方や操作を誤れば、不十分な経理、間違った経理になってしまいます。
入力する方法を身につけるのもよいですが、入力しっぱなしではなく、入力した結果をチェックする方法も身につけましょう。
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