銀行に資金繰り表を説明するときの5つのポイント

資金繰り表の説明ポイント

” ふぅ、やっと資金繰表できた。あとは銀行に渡すだけ ”

ちょっと待った! 渡すだけではだいじなことが伝わらずに終わってしまうかも。ということで、銀行に資金繰り表を説明するときの5つのポイントについてお話をします。

目次

渡すだけじゃダメ!資金繰り表は銀行に説明をする

銀行融資に欠かすことができない書類のひとつ、資金繰り表。

あわせて読みたい
どれを使えばいいの?資金繰り表の種類と使い分け えっ、「資金繰り表」って3種類なの? そうなんです。おカネの動きを管理する資金繰り表には「種類」があります。 その種類に応じたそれぞれの資金繰り表の特徴や役割...

不慣れな場合には作成するだけでもひと苦労、あとは銀行に渡すだけ… と、これではいけません。

資金繰り表を見慣れている銀行とはいえ、渡しただけでこちらのだいじな「意図」をすべて汲み取ってもらえるかどうかはわからないのです。

銀行員は忙しいのだし(忙しすぎてきちんと見てもらえないかも)、フツーの会社員と同じように能力にも差があります(よくわかっていない新人だったら?)。

せっかく作った資金繰り表も、その意図がじゅうぶんに伝わらなければ、その労力も報われずに終わってしまいます。

だいじなことは、あらためてきちんと説明する。これは、資金繰り表に限ったことではありませんよね。

とはいえ。いったい、どこをどのように説明したらいいんだ? ということもよくお聞きします。

そこで。銀行に資金繰り表を説明するときのポイントについてお話をしていきます。ポイントは、次の5つです ↓

資金繰り表の説明ポイント
  1. 借入の予定
  2. 売上高の実現可能性
  3. 原価率の変化
  4. 入金サイト・支払サイトの変化
  5. イレギュラーな経費・削減した経費

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

銀行に資金繰り表を説明するときの5つのポイント

作成した資金繰り表は、「5つの説明ポイント」を押さえて、きちんと銀行に伝えるようにしましょう。

借入の予定

資金繰り表のなかで、銀行がもっとも注目していると言ってもいいのが「借入の予定」です。

「借入の予定」とは、資金繰り表にある「新規借入」の項目が、どのようになっているのかということです。

銀行として知りたいのは、次のようなことでしょう ↓

  • どれくらいの金額の新規借入を考えているのか?
  • いつごろ借入が必要なのか?
  • どこの銀行から借入しようと考えているのか?
  • 新規借入が必要になるおもな理由はなんなのか?

上記については、「資金繰り表を見ればわかるだろう」ということではありますが。銀行にとっては大きな関心事なのですから、あらためて説明をするようにしましょう。

また、銀行は「返済額以上の新規借入」については気になるものです。つまり、「年間の借入金返済額<新規借入額」という状況です。

これについては、たとえば、「これまで返済してきた分の借り直し(折り返し融資)」や、「手元資金をさらに厚くするため」などの回答が考えられます。

いっぽうで、「赤字資金の補てん」という回答が好まれないことは言うまでもありません。

売上高の実現可能性

銀行は、資金繰り表の「売上入金」について、「ほんとうにこの売上をあげることができるんだろうか?」という目で見ています。つまり、実現可能性を疑っているのです。

銀行に提出される売上予測というのは、総じて楽観的なのであり。結局、絵に描いた餅でした、というハナシに銀行員は辟易している。そんなところでしょう。

であるならば、やるべきことは「売上の実現可能性」を説明することです。

このとき、売上の根拠資料(店舗別、商品・サービス別、顧客別など)を添付・説明することで説得力を上げるのは当然として。

どれだけ「売上」の金額を小さくできるか、ということも重要です。大きくするのではなく、小さくする。

なぜなら、売上の金額が大きければ大きいほど、一般に実現可能性は小さく、銀行に対して説明・説得することは難しくなるからです。

これに対して、売上の金額が小さいほど、実現可能性は高いのですから、銀行としても「ああだこうだ」と追及をすることは少なくなります。

繰り返しになりますが、売上予測は総じて楽観的、大きくなりがちです。大きくなれば、説明・説得が困難なうえに、融資の必要性を疑われることにもなりかねません。

「どれだけ売れるか」という見方だけではなく、「どれだけ必要か・どれだけあればじゅうぶんか」という見方もできるようにしましょう。

原価率の変化

仕入・外注費など、いわゆる「原価」が発生する業種において、「原価率」の変化が利益・おカネに与える影響は少なくありません。

ためしに、原価率を1%増減させてみると、資金繰り表の末尾(資金残高)の増減が思いのほか大きいことに気が付きます。

よって、たとえわずかではあっても、原価率の改善を検討・実行することが大切です。

にもかかわらず。実際には、「相見積もりをしていない」「値下げ交渉をしていない」というケースは意外と多いものです。

仕入単価が多少変わったところで、利益・おカネに与える影響は微々たるものだろう。いまさら交渉をするのもおっくうだ。そんな声もよくお聞きします。

だからこそ、やるべきこと(原価率改善に取り組むこと)を確実にやる、確実に成果を出すことに価値が生まれます。銀行もそこを評価します。

ですから、原価率の改善を資金繰り表に織り込めるようであれば、その改善内容については銀行に説明をするようにしましょう。

入金サイト・支払サイトの変化

入金サイト(売上代金が入金されるまでの期間)と支払サイト(仕入代金を支払うまでの期間)に変化があると、必要な「運転資金」の金額も変化します。

つまり。もし、いままでよりも入金サイトが伸びれば、それだけ入金が遅くなるのですから資金繰りは厳しくなります。いままでよりも余計におカネが必要になります。

いっぽうで、入金サイトが縮まれば、それだけ入金が早くなるのですから資金繰りはラクになります。支払サイトについては、その逆が起こります。

会社・事業において、売上代金や仕入代金というのは金額的影響力が大きなものですから、ちょっとしたサイトの変化でも「運転資金」に与えるインパクトもまた大きなものです。

したがって、サイトに変化がある場合には、その影響と経緯について銀行に説明をするようにしましょう。

銀行は、入金サイトが伸びれば、「回収できない売上代金があるのかなぁ」と疑います。支払サイトが縮まれば、「取引先から警戒されてサイトを短くされたのかなぁ」と疑います。

そのように、銀行から「勝手に疑われる」ことがないように、きちんと説明をすることが大切です。

イレギュラーな経費・削減した経費

仕入・外注費などの「原価」を除き、その他の経費は金額が固定的な経費(いわゆる、固定費)が多いものです。

ゆえに、そのような経費は、いつも金額が同じなのであり。注目すべきは、突発的、イレギュラーに発生する経費ということになります。

ですから、これまでにはない経費の支払いが生じるのであれば、その内容と必要性を銀行に伝えるようにしましょう。

いままではまったくなかった(ゼロだった)というものもあれば、いままでもあったが大幅に増減するというケースもあるでしょう。

いずれにせよ、経費の増加というのは銀行の関心事ですから、聞かれる前に説明をしておくことです。

また、削減をした・削減をする経費があるのであれば。その内容と経緯についても銀行に伝えましょう。

内容にもよりますが、経費削減はひとつの経営努力・成果として、銀行からの評価につながるところです。

まとめ

銀行に資金繰り表を説明するときの5つのポイントについてお話をしてきました。

資金繰り表の説明ポイント
  1. 借入の予定
  2. 売上高の実現可能性
  3. 原価率の変化
  4. 入金サイト・支払サイトの変化
  5. イレギュラーな経費・削減した経費

資金繰り表をつくるのもラクではありません。けれども作っておしまいではなく、その意図をしっかりと説明するところまでやりましょう。

そのひと手間が、銀行融資の成果につながります。

 

************
  きょうの執筆後記
************

ブログには書けない・書きにくいことその他。きょうの「執筆後記」は毎日メルマガでお届け中です。

よろしければメルマガ(無料)をご登録ください! → 登録はこちらから

資金繰り表の説明ポイント

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

目次