銀行から融資が受けられない… それは、銀行の考え方を理解していないから、銀行とは真逆を考えているからかもしれません。
そこで、銀行と会社のあいだにあるギャップについてお話をしていきます。
真逆を考える銀行と会社のあいだにあるギャップ
会社・事業における銀行融資について。
「銀行から融資が受けられない…」と言う会社の共通点として、「銀行の考え方を理解していない」ことが挙げられます。
言い換えると。銀行と会社の考え方にギャップがある、これでは融資が受けられない・受けにくいのは当然です。
ギャップにもいろいろありますが、なかでもとりわけギャップが大きい。言うなれば、銀行と会社とでは考え方が真逆とも言えるギャップもあります。次の4つです ↓
- 計画・予測は〇〇
- 返済期間は〇〇
- 融資金額は〇〇
- おカネが無いから〇〇
上記のギャップについて、その内容と、ギャップを埋めるためにどうすればよいかをお話をしていきます。
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
《ギャップ1》計画・予測は〇〇
真逆を考える銀行と会社のギャップ、1つめは「計画・予測」について。銀行と会社は、それぞれ次のように真逆のことを考えています ↓
- 銀行 → 計画・予測通りにはいかない
- 会社 → 計画・予測通りにいく
銀行はネガティブ、会社はポジティブ
銀行から融資を受ける際、会社は、経営計画書や予測資金繰り表など「計画・予測」を提示する機会があります。
この「計画・予測」に対して、多くの場合、会社は「うまくいく」と考えるものです。
たとえば、前期が赤字だとしても、これからは黒字になる。前期が黒字であれば、これからも黒字が続く。
いっぽうで銀行は。前期が赤字なら、これからも赤字では…? 前期が黒字でも、これから赤字になるのでは…?
ビジネスとしておカネを貸す銀行は、貸したおカネをなんとしても回収しなければならないので慎重なのです。
したがって、会社が銀行に「計画・予測」を提示するときには、このようなギャップがあると理解をしておきましょう。
ギャップを埋めるのは「実績」
では、どのようにして前述したギャップを埋めればよいのか。
ひとつは、経営計画書なり予測資金繰り表なり「書類」を作成することです。
「計画・予測」について、口頭で済まそうとする会社は少なくないのですが、それではまるで説得力がありません。
銀行は書類文化でもあります。目に見えるカタチで、書類にするようにしましょう。
そして、もうひとつ。「計画・予測」のギャップを埋めるものとして「実績」が挙げられます。
黒字が続いているという実績があれば、「これからも黒字」には可能性を感じることができるでしょう。
逆に赤字が続いているのであれば、「これからは黒字」には怪しさを感じることになるでしょう。
このように、実績(おもに過去の決算書)はギャップを埋めもしますが、広げもします。実績あっての「計画・予測」です。
《ギャップ2》返済期間は〇〇
真逆を考える銀行と会社のギャップ、2つめは「返済期間」について。銀行と会社は、それぞれ次のように真逆のことを考えています ↓
- 銀行 → 返済期間は短くしたい
- 会社 → 返済期間は長くしたい
時間がたてばたつほど会社は潰れる
会社は、できるだけ返済期間を長くしてほしいと考えます。返済期間が長いほうが、毎月の返済額も小さくなるため、返済がラクだからです。
これに対して銀行は、できるだけ返済期間は短くしたいと考えます。返済期間が長くなればなるほど、そのあいだに融資先が倒産・廃業する可能性が高まるからです。
実際、創業から年数を重ねるにつれて、生き残ることができる会社の数は減っていきます。ゆえに銀行は、貸したおカネを早く回収しようとする。
銀行と返済期間について話をするときには、このギャップがあることを理解しておきましょう。
ギャップを埋めるのは「資金繰り表」
前述したギャップを埋めるために、会社は「資金繰り表」を作成することをおすすめします。
返済期間に応じた返済金額を資金繰り表に織り込んだうえで、「この返済期間・この返済金額が妥当だ」と銀行に明示するためです。
過去数ヶ月ていどの資金繰り実績に加えて、向こう1年ていどの資金繰り予測を表にするのがよいでしょう。実績があると、予測の説得力も上がります。
せっかく融資を受けても、毎月の返済額が多すぎて早々に資金繰りに窮するようでは困ります。
自身の状況を把握するためにも、会社は資金繰り表を作成するようにしましょう。
《ギャップ3》融資金額は〇〇
真逆を考える銀行と会社のギャップ、3つめは「融資金額」について。銀行と会社は、それぞれ次のように真逆のことを考えています ↓
- 銀行 → 融資金額は少なくしたい
- 会社 → 融資金額は多くしてほしい
貸しすぎれば万一の損失が大きくなる
会社は融資を受けるのであれば、「できるだけ多く借りたい」と考えます。少なくとも、希望金額どおりには借りたいと考えます。
いっぽうで銀行は、「できるだけ少なく貸したい」と考えます。
銀行にしてみれば、たくさん貸していて、もしも返済をしてもらえなくなってしまったら。そのぶん損失が大きくなってしまうわけで。
おカネを貸す側である銀行は「万一」を想定して、融資金額は「できるだけ少なく、必要な分だけ」と考えるのです。
銀行と融資金額について話をするときには、このギャップがあることを理解しておきましょう。
ギャップを埋めるのは「資金使途」
会社が希望する融資金額に対して、銀行は「ほんとうに必要な金額なのか? なにに使うのか?」という目で見ています。
前述したとおり、銀行は「できるだけ少なく、必要な分だけ」貸したいのですから、貸したおカネの使いみち、いわゆる「資金使途」は銀行の関心事です。
この点で、「資金運用表」というツールが役に立ちます。資金運用表によって、資金使途と金額の妥当性を明示することができるからです。
ギャップを埋める際の説得材料として、資金運用表を作成・提示することをおすすめします。作成方法や考え方はこちらの記事をどうぞ ↓
《ギャップ4》おカネが無いから〇〇
真逆を考える銀行と会社のギャップ、4つめは「おカネが無い」について。銀行と会社は、それぞれ次のように真逆のことを考えています ↓
- 銀行 → おカネが無いから貸したくない
- 会社 → おカネが無いから貸してほしい
銀行は慈善事業をしていない
「銀行から融資を受けたい」と言う会社に多く共通することとして、「おカネが無いから」が挙げられます。
つまり、おカネが無いからおカネを貸して。これは、借りる側からすれば理にかなっていますが、貸す側からすればまったく道理が通らないハナシです。
銀行は困っている会社を助けるためにおカネを貸しているわけではありません。商売としておカネを貸しています。
言われてみればあたりまえなのですが、意外にも(と言ってよいでしょう)、ギャップが存在しているところです。
「おカネが必要になれば借りられる」と考えている会社は少なくありません。それは間違いですから、じゅうぶんに気をつけましょう。
ギャップを埋めるのは「借りるタイミング」
おカネが無いから貸して、ではダメなのですから。おカネを借りるのであれば、おカネがあるときに借りることです。
具体的には、利益が出ているとき、現金預金があるときが、そのタイミングになります。
ところが、黒字だし、おカネもあるし、だと。いまは融資を受ける必要がない、と考えがちです。
結果、赤字になって、おカネも無くなってから、融資を受けようとする。そのような会社に銀行が融資をしないのは、さきほどお話をしたとおりです。
繰り返しになりますが、利益が出ている・現金預金があるときに、あらかじめ計画的に融資を受けるようにしましょう。
とくに「現金預金」が少なくなりすぎる(平均月商の1ヶ月分もない…)と、銀行はおカネを貸すにしても心配です。融資が受けにくくなります。
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まとめ
真逆を考える銀行と会社のギャップについてお話をしてきました。
銀行と会社の考え方にギャップがある、これでは融資が受けられない・受けにくいのは当然です。
ギャップの存在を理解して、ギャップを埋めるにはどうしたらよいかを押さえておきましょう。
- 計画・予測は〇〇
- 返済期間は〇〇
- 融資金額は〇〇
- おカネが無いから〇〇