いろいろと種類がある創業融資。それぞれ融資までにかかる時間はどれほどか? 比較をしてみます。
日本政策金融公庫とその他の創業融資、かかる時間を比較すると…
開業・創業時の資金調達手段として、銀行からの「創業融資」が挙げられます。
ただ、ひとくちに「創業融資」と言っても、その種類はいろいろです。
いろいろある創業融資について。本記事では、「融資を受けられるまでに、どのくらいの時間がかかるのか?」に注目をして比較をしてみます。
「必要な書類の提出・申し込みをしてから、審査を経て、おカネが入金されるまで」の時間でいうと、次のようになります ↓
日本公庫融資 | 保証協会付融資 | 制度融資 | プロパー融資 | |
関係者 | 日本公庫 | 民間銀行 保証協会 | 民間銀行 保証協会 地方自治体 | 民間銀行 |
かかる時間 | 約1ヶ月 | 約2ヶ月 | 約2〜3ヶ月 | 基本、ムリ |
おすすめ度 | 〇 | △ | △ | × |
創業融資を分類すると4種類。それぞれにかかる時間、おすすめ度は上記のとおりです。
それではこのあと、それぞれの創業融資について順番に見ていきましょう。
日本公庫融資
民間の銀行(都市銀行、地方銀行、信用金庫・信用組合)に対して、政府系の銀行として「日本政策金融公庫(以下、日本公庫)」があります。
その日本公庫の創業融資は、必要な書類の提出・申し込みから、おカネが入金されるまでにかかる時間は「約1ヶ月」。
4つの創業融資のなかでは、もっともスピーディーという特徴があります。ゆえに、おすすめ度は「〇」です。
また、日本公庫の創業融資は、「借りやすさ」の面からもおすすめできます。どういうことかというと、
創業したばかりの会社は倒産の可能性が高いことから、民間銀行は創業時の融資には消極的です(貸したおカネが回収できないのは困る…)。
しかしこれでは、資金が必要な創業者は困ってしまい、創業が増えない。あるいは、創業してもうまくいかない、ということになりかねません。
そこで、民間銀行では難しい融資を「補う」役割をになうのが日本公庫です。したがって、日本公庫は創業融資に積極的であることから、比較的借りやすいのです。
もっともスピーディーで、しかも借りやすい。そんな日本公庫の創業融資については、「融資までの流れ」をさらにくわしく後述します。
保証協会付き融資
公的機関である「信用保証協会(以下、保証協会)」が、返済不能時の保証をする創業融資です。
民間銀行は創業時の融資に消極的だ、という話はさきほどしました。そこを、保証協会が保証人になることでカバーするわけです。
よって、民間銀行としても融資がしやすく(回収できなくても保証協会が保証してくれる!)、借り手にとっては借りやすい、というメリットがあります。
いっぽうで。民間銀行による融資審査に加えて、保証協会の融資審査があるために時間がかかる、というのがデメリットです。
具体的には、約2ヶ月くらい。日本公庫の創業融資に比べると、余裕をもって準備する必要があります。
なお、デメリットで言えば、借り手が、保証協会に「保証料」を支払わなければいけないことも挙げられます。
保証協会付き融資は、借りやすいという特徴がありますが。それは、民間銀行単独(プロパー融資)に比べれば、です。
同じく「借りやすい」の特徴がある日本公庫の融資と比べるとどうか、というと。日本公庫のほうが借りやすい、と言えます。保証協会付きは審査の面で、日本公庫よりハードルが高いと理解しておきましょう。
制度融資
制度融資は、「民間銀行・保証協会・各地方自治体」の3者が連携をする創業融資です。
しくみとしては、各地方自治体が融資をするための資金を民間銀行に提供、さらに保証協会が保証をつける。ということで、民間銀行としては「貸しやすい」融資ではあります。
これは、借り手から見れば借りやすく。また、制度融資では各地方自治体が、「銀行への利息、保証協会への保証料」を一部負担してくれるというメリットがあります。
反面、デメリットとしては、他の創業融資に比べて手続きに手間がかかる(地方自治体の窓口に行く、など)、融資までに時間がかかる、ということが挙げられます。
融資までに3者が関わるがゆえ、しかたのないところではありますが。だいたい2〜3ヶ月くらいはかかるもの、と考えておきましょう。
そういう意味では、時間的に余裕がないと難しい融資です。利用を考えているのであれば、早め早めに準備をしましょう。
まずは、自社・じぶんの地域の地方自治体に、どのような制度融資があるか? を調べるところからです。
プロパー融資
民間銀行からの単独の融資(保証協会や地方自治体の関与無し)を、プロパー融資と呼びます。
創業融資に関して言えば、基本的に、プロパー融資はありえません。
なぜならば。前述したとおり、民間銀行にとって、創業融資はリスクが高く、積極的に融資をしたいものではないからです。
したがって、プロパー融資を受けられるのは、「創業後、会社・事業が軌道に乗ってから」になります。
加えて、保証協会付き融資によって「実績(借りた・返した)」を付けておくことも、プロパー融資を受けるには欠かせません。
いずれにせよ。創業時からプロパー融資は無い、と理解をしておきましょう。
日本公庫の創業融資の手順、かかる時間
いろいろある創業融資のなかでは、日本公庫が「もっともスピーディーで、しかも借りやすい」というお話をしました。
そこで、日本公庫の創業融資について、さらにくわしく手順を見ていくことにしましょう。
準備・相談
まずは、申し込みの準備から。日本政策金融公庫のWEBサイトから、借入申込書や創業計画書など、融資申し込みに必要な各種書式をダウンロードします。
記載例も掲載されていますから、参考にしながら記載・作成しましょう。
あわせて、源泉徴収票・確定申告書、預金通帳など、審査に必要な書類の準備も進めます ↓
この時点で、よくわからないことなどあれば、日本公庫の各支店窓口(予約不要)、あるいは、ビジネスサポートプラザ(要予約)で相談をするとよいでしょう。
申し込み
審査に必要な書類の準備ができたら申し込みをします。
自社・じぶんの管轄支店を日本政策金融公庫のWEBサイト調べて、そこへ書類を提出しましょう。
提出は、支店まで持参でも、郵送でも、どちらでもだいじょうぶです。
面談
提出書類に不足や不備がなければ、通常、提出から1週間ていど(長くても2週間くらい)で面談の通知があります。
面談日には日本公庫に出向いて、おおむね1時間ていどの面談となります。
提出した書類にもとづいて、日本公庫の担当者から質問をされますので、きちんと回答できるように準備をしておきましょう ↓
審査
面談が終わると、日本公庫での最終審査です。必要に応じて事務所・店舗などの現地調査も行われます。
その過程で、追加の質問や追加の書類をお願いされることもあります。
結果通知・必要書類の送付
前述した審査にかかる時間は、面談終了からおおむね1週間〜2週間ていどです。
審査が無事OKになると、借用証書など融資の契約に必要な書類が送られてきます。
書類に必要事項を記載、捺印などを済ませて、日本公庫へ返送しましょう。
申し込みをした金額が「全額」OK・NGになるばかりではありません。「減額」ならOK、という結果もありえます。
入金(着金)
前述の必要書類を返送、日本公庫に到着後、不足・不備がなければ、原則3営業日以内に入金となります。
入金されるのは、事前に指定をした銀行口座です(日本公庫には預金機能が無いため)。
なお、銀行口座には、信用金庫・信用組合、地銀を指定するようにしましょう。都市銀行はおすすめできません。その理由は、「次の融資」を考えてのことです ↓
銀行融資におすすめのメニュー
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まとめ
日本政策金融公庫とその他の創業融資について、かかる時間の比較をしてみました。
入金までの時間が早いこともありますが、借りやすさでもメリットがあるのが「日本政策金融公庫」の創業融資です。
申し込み(書類提出)から入金まで、おおむね1ヶ月の流れ・手順についても押さえておきましょう。