銀行が「おカネを借りないか?」と言っている。でも、いますぐおカネを借りなければいけない状況ではない。断ってよいものか… と、迷っている社長がいます。
そこで。いまはおカネがあるけれど、銀行から融資を勧められたときの対応手順についてお話をしていきます。
断ればよいものか、決めかねる。
銀行融資のお手伝いをしていると、次のようなことで迷われている社長が少なくないことに気が付きます ↓
銀行から「おカネを借りないか?」と言われている。でも、いますぐおカネを借りなければいけない状況ではない。断ってよいものか…
つまり。いまはおカネがあるけれど、銀行から融資を勧められている。だったら断ればいいわけですが、借りられるときに借りておいたほうがいいような気もする。
したがって。断ればよいものか、借りたほうがよいものか迷ってしまう… そんなところでしょう。
そこで。いまはおカネがあるけれど、銀行から融資を勧められたときの対応手順についてお話をしていきます ↓
- 予測資金繰り表を作る
- 返済額が増えることを恐れない
- おカネがあると使ってしまう… の対策をする
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
いまはおカネがあるけど銀行から融資を勧められたときの対応手順
《対応手順1》予測資金繰り表を作る
銀行から「おカネを借りないか?」と言われている。でも、いますぐおカネを借りなければいけない状況ではない。
そう考えるのは、いま現在、手元には「あるていどのおカネ」があるからでしょう。では、「いま」はだいじょうぶでも、「これから」もだいじょうぶと言えるのかどうか?
「断るか、それとも借りるか」は、その答えしだいです。
そこで、予測資金繰り表の作成が必要になります。いまから向こう1年ていどの資金繰りを予測してみる。そのうえで、「資金繰りはじゅうぶんに回る」ということであれば、銀行からの勧めも断ればよいでしょう。
ただし、注意点があります。それは、予測に「下ブレ」を織り込むことです。もし、売上が 20%減ってしまったら? もし、原価率が5%上がってしまったら? 経費が10%増えてしまったら? などなど。
考えうる下ブレ・起こりうる下ブレを検討し、それを予測資金繰り表に織り込むのです。
そうなると、「資金繰りがじゅうぶんに回るとは言えない」「さすがに資金繰りが厳しい」という会社が多くなります。だったら借りておきましょう、ということです。
将来の下ブレをふまえたうえで「いまはおカネがある」と言えるのか? 予測資金繰り表をつくって判断をする。これが、1つめの対応手順になります。
なお、「そうは言っても将来のことなどわからない」とか、「下ブレがどこまで起きるのかなどわからない…」などということもあるでしょう。
そんなときには、借りておくことです。わからなければ借りておく。
なぜなら、銀行は「いまだから」貸すと言っているのであって、あすもまた貸してくれるかどうかはわからないからです。実際に下ブレするようなことがあれば、当然、融資を躊躇します。
銀行は、困っている会社におカネを貸すのではありません。貸したおカネを返してくれる(あるいは返してくれそうな)会社におカネを貸すのです。
そう考えると。「貸すと言うのであれば借りておく」というのも、あながち乱暴なハナシとは言い切れず。選択肢のひとつだ、と言えるでしょう。
《対応手順2》返済額が増えることを恐れない
対応手順1を経て、いざ銀行から融資を受けようとするときに。こんどは次のような不安を抱える社長がいます ↓
おカネを借りると、それだけ返済額が増えてしまう… 資金繰りが悪くなる。
これは一見すると正しいようで、実は間違っています。なぜなら、借りたおカネのなかから返済する限り、実質的に返済額が増えることはないからです。
いまはおカネがある。つまり、いますぐには使わないおカネを銀行から借りるのであれば、借りた分の返済は借りたおカネのなかからすればよいだけです。
たとえば、300万円の融資を受けたのであれば。300万円のおカネが会社に入金されることになります。会社は 300万円のなかから、毎月返済をすればよいのですから、あらたに返済原資が必要になるわけではありません。
このような場合にまで、返済額が増えることを恐れないようにしましょう。資金繰りの判断を誤ることになります。
いっぽうで。「利息」については、その分だけよけいに支払いが増えます。返済は借りたおカネのなかからすればよいですが、利息を支払うには別途おカネが必要です。
そこは、利息が「資金繰りに余裕を持つ」ためのコストだ、と捉えられるかどうかになります。
実際、ひと月あたりの利息額、1日あたりの利息額を計算してみると。意外にそれほどでもない、ということは少なくありません。利息は、金利(%)ではなく、金額(円)で考えるのがポイントです。
金利3%と言われると「高いなぁ」と感じても。利息は1日 250円と言われると「そうでもない」と感じることもあるでしょう。ちなみに、300万円を金利3%で借りたときの1日あたりの利息が 250円です。
《対応手順3》おカネがあると使ってしまう… の対策をする
いまはおカネがあるけれど、銀行から融資を受けようとする。あるいは、実際に融資を受けたときに、次のように考える社長がいます ↓
おカネがあるとついつい使ってしまう…
たしかに。銀行口座にたくさんの残高があると、おカネがあるようにも思えてしまいますので。ついつい使ってしまう… という気持ちはわかります。
とはいえ。借りたおカネであって、返さなければいけないおカネですから、ついつい使ってしまうのがマズいことは明らかです。では、どうするか?
3つほど、対策が挙げられます ↓
- 正味のおカネを見える化する
- 定期預金でおカネを固定する
- 予算を決める・計画を立てる
1つめの「正味のおカネを見える化する」とは、返済しなくてもよいおカネはどれだけなのかをわかるようにする、ということです。
たとえば、銀行口座には 3,000万円あるとして。いっぽうで借入残高が 2,000万円あるのであれば、正味のおカネは 1,000万円です。
3,000万円もおカネがあるように見えても、実は 1,000万円しかない。これを数字やグラフで明らかにしておけば、ついつい使ってしまうことへの抑止になるでしょう。
2つめの「定期預金でおカネを固定する」はそのままですね。普通預金におカネがあるとすぐに使えてしまいますから、定期預金に預けることですぐには使えないようにするわけです。
事実、定期預金を解約しようとすると銀行からの抵抗にあうことがあります。抵抗自体が良いか悪いかは別にして、すぐには使えないという点では効果的だとも言えるでしょう。
3つめの「予算を決める・計画を立てる」は、あらかじめ「使うおカネ」を決めておく、ということです。期のはじめに、「経費をいくら使うか、投資にいくら使うか」を予算・計画として決めておく。
あとは、その予算・計画と、実績とを比較するようにしていれば、ついつい使ってしまったことはわかるというわけです。これなら、予算・計画が、ついつい使ってしまうことへの抑止になります。
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まとめ
銀行から「おカネを借りないか?」と言われても、「いまはおカネがある」と。断ってよいものか、借りておいてほうがよいものか、迷ってしまうことがあります。
そんなときのために、対応手順を押さえておきましょう。
- 予測資金繰り表を作る
- 返済額が増えることを恐れない
- おカネがあると使ってしまう… の対策をする