初めて銀行融資を受けようとする場合。いったいなにから始めればよいのか? 注意すべきことはなんなのか? と悩んでしまうことでしょう。
そこで。初めて銀行融資を受けようとするときに知っておきたい3つのポイント、についてお話をしていきます。
初めてだと「わからない」がいっぱい。
本記事の投稿日現在(2020年3月31日)、新型コロナウィルスの影響によって、多くの会社・個人事業者が厳しい資金繰りを強いられています。
そのような状況のなかで、「手元の現金預金に余裕を持っておくために、日ごろから銀行融資を受けておきたい、銀行とのお付き合いをしておきたい」との声も聞かれるようになりました。
ところが。
いままで銀行融資を受けたことがなかったり、銀行とのお付き合いがない場合には、「いったいなにから始めればよいのか?」「注意すべきことはなんなのか?」と悩んでしまうことでしょう(実際に、そのようなご相談もあります)。
そこで。本記事では、初めて銀行融資を受けようとするときに知っておきたい3つのポイント、についてお話をしていきます。こちらです ↓
- 初めては警戒される
- 決算書が良いときに借りる
- 借りっぱなし・返しっぱなしにしない
銀行融資を受けるにあたって、知っておきたいことはいろいろありますが。まずは、これら3つを押さえておきましょう。
それではこのあと、順番にお話をしていきます。
初めて銀行融資を受けようとするときに知っておきたい3つのポイント
《ポイント1》初めては警戒される
会社・個人事業者が、これまでまったく銀行融資を受けたことがなく。これから初めて銀行融資を受けようとする場合。
銀行からは「警戒される」ことを覚えておきましょう。警戒をされるので、融資が受けにくい。
すでに融資を受けたことがある、すでに返済をしていることであれば、それはひとつの「実績」であり、その実績が銀行に対する「信用」になります。
けれども、「銀行融資を受けたことがない」となると。実績や信用がないがゆえに、銀行からは警戒されてしまうことがあるのです。この会社に貸してだいじょうぶかなぁ?ちゃんと返してくれるかなぁ?という具合に。
この点で。まずは「日本政策金融公庫」から融資を受ける、というのがおすすめです。
日本政策金融公庫とは。政府が100%出資をする政府系金融機関で、民間の銀行が「貸しにくいなぁ」と考えるところを補完する役割を担っています。会社・個人事業者がスムーズに資金調達をできるように、ということですね。
したがって、初めて銀行融資を受けようとする場面では、「民間の銀行が難しいなら日本政策金融公庫で」との考えもあるわけです。
ここでひとつポイントがあります。日本政策金融公庫から融資を受けたおカネは、次に融資を受けようとしている銀行に入金してもらうことです。
日本政策金融公庫は、貸出専門の銀行であり、預金機能がありません。ですから、借りたおカネはどこか別の銀行に入金してもらうことになります。このとき、次に融資を受けようとしている民間の銀行を選択するのです。
具体的には、最寄りの信用金庫や信用組合、地方銀行がおすすめになります。
これに対して、都市銀行は、年商(年間売上高)が 10億円超の会社、あるいは、海外展開をしている・しようとしている会社以外にはおすすめできません。銀行にも役割分担があり、都市銀行は大企業向けだからです。
中小企業・個人事業者は、まず日本政策金融公庫から。そして、日本政策金融公庫から借りたおカネを信用金庫や信用組合、地方銀行に入金する。
すると、入金先の銀行は「日本政策金融公庫から融資を受けられた会社」という確認ができます。これもまた、ひとつの実績であり信用です。これをお付き合いのきっかけにして、融資を依頼していくとよいでしょう。
創業したばかりの会社が融資を受けるのであれば、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」がおすすめです。
創業融資というのも、民間の銀行は貸しづらいところであり(創業まもなくつぶれてしまう会社・個人事業者は少なくないから)、借りにくいところです。まずは、日本政策金融公庫からの融資を検討しましょう。
《ポイント2》決算書が良いときに借りる
銀行から融資を受ける「タイミング」について。
ベストタイミングは、「決算書の内容が良いとき」です。もう少し具体的に言うと。利益が出ている、利益が続いているとき、です。
銀行は、「返済は利益のなかからするもの」と考えているため、利益が出ていることを重視します。その利益が出続けていることを良しとします。
逆に。利益が出ていない、つまり、決算書が赤字であれば、返済するチカラがないものと見られてしまう。結果、融資は受けにくくなります。
当然、初めて融資を受けようとする場合でも同じです。決算書が良いときに借りるに越したことはありません。融資を受けたければ、決算書を良くすること、赤字は避けることです。
決算書の良し悪しについて、くわしくはこちらの記事も参考に ↓
なお、利益とは別に、「現金預金がどれだけあるか?」にも注意をしておきましょう。目安として、現金預金が平均月商(年間売上高 ÷ 12ヶ月)の1ヶ月分以上あるかどうか、です。
もしも、決算書(あるいは試算表)に掲載されている現金預金の残高が、平均月商の1ヶ月分にも満たない… ということになると。銀行は「自転車操業で危ない会社なのではないか」と警戒を強めます。
したがって、現金預金が少なすぎないタイミングで借りることも覚えておきましょう。
少々余談めいたハナシにはなりますが。銀行のなかには、「決算書の内容が良ければ良いほど怪しい」との見方もあるようです。とくに、初めて銀行融資を受けようとする会社の決算書が、ばっちり利益が出ている・出続けているケース。
銀行からすると、「なにかウラがあるのではないか?(たとえば、ブラック情報があるとか)」ということであり、ほかの銀行で断られ続けてウチに来たのではないか?と想像する。だから融資をしない、と言う元銀行支店長のお話を聞いたことがあります。
決算書が良ければ良いで、そういう見方をされることがある。そう心得ておくのがよいでしょう。
創業するタイミングで創業融資を受けるのであれば。まだ事業をはじめていないわけですから、赤字にはなりようがありません。これが、創業から半年ていど経ってからだと、黒字を求められることになります。
創業まもなくは売上が伸びずに赤字になることは少なくありません。いずれ借りることも想定して、創業融資を受けておくことを検討しましょう。
《ポイント3》借りっぱなし・返しっぱなしにしない
初めての融資を受けられて良かったね、で終わってしまう会社・個人事業者があります。融資を受けたあと、ただただ返済を続けているような会社・個人事業者です。
借りたら返すのはあたりまえじゃないか? と思われるかもですが。返済を続けているだけだと、返済によって借金の残高は減りますが、手元のおカネも減り続けてしまいます。
これでは、「手元の現金預金に余裕を持っておくために、日ごろから銀行融資を受けておきたい、銀行とのお付き合いをしておきたい」との当初の状況に逆戻りです。
そこで。あるていど返済が進んだところで、もういちど「借り直す」ようにしましょう。具体的には、当初借りた金額の3分の1ていど返済したところで、元々借りた金額まで借り直す。
たとえば、300万円の融資を受けて、残高 200万円になるまで、100万円の返済が済んでいるとします。このタイミングで、返済した分の 100万円の融資を依頼して、もういちど 300万円の融資を受けている状態に戻します。
このような融資のことを、「折り返し」や「巻き直し」などと呼んだりもします。
銀行としては、いちど 300万円まで貸した実績、100万円を返してもらった実績があるため、それが信用となって貸しやすいのです。
にもかかわらず、初めての銀行融資を受けたあと、借りっぱなし・返しっぱなしにしている会社・個人事業者が散見されます。手元の現金預金に余裕を持っておくためにも、定期的な借り直しを忘れず検討しましょう。
赤字のときなど、通常では融資を受けることが難しい状況でも、このような借り直しであれば応じてもらえることも少なくありません。
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まとめ
初めて銀行融資を受けようとする場合。いったいなにから始めればよいのか? 注意すべきことはなんなのか? と悩んでしまうことでしょう。
銀行融資を受けるにあたって、知っておきたいことはいろいろありますが。まずは3つ、押さえておきましょう。
- 初めては警戒される
- 決算書が良いときに借りる
- 借りっぱなし・返しっぱなしにしない