確定申告期限の間際になって大慌てしている…
といった、「確定申告のためだけの経理」をしているフリーランスは「損」をしますよ。というお話です。
期限の間際になって大慌て… をしてるなら。
フリーランスの方向けのセミナーやコンサルティングをはじめて、いまは5年めになります(2020年7月8日現在)。
そのなかで、ときおり感じることは「確定申告のためだけの経理」をしているフリーランスは少なくない、ということです。
確定申告のためだけの経理、とは?
文字どおり、確定申告をすることが目的であり。あらわれる「症状」で言うと、確定申告期限の間際になって大慌てしている… みたいな。
つまり、日ごろは経理を「棚上げ」していて、さいごに帳尻を合わせる。といった「スタイル」です。
このような「症状」や「スタイル」について。「身に覚えがあるぞ」と言われるフリーランスの方に、ぜひともお伝えしたいのは。
「確定申告のためだけの経理」によって、「損」をしているかもしれませんよ! ということです。具体的には、次の3つの損になります ↓
- 経理で間違えている
- 経理に時間を奪われている
- 経理がストレスになっている
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
フリーランスが「確定申告のためだけの経理」で損をしている3つのこと
《1つめの損》経理で間違えている
確定申告のためだけの経理、つまり、経理の目的が「確定申告」ということになると。関心は「税金」に向きがちです。
もう少し具体的に言うと。3月15日の期限までに納める税金をいかに安くするか? に大きな関心が寄せられます。
そこへきて、経理は確定申告期限ギリギリまで棚上げしていることから、期限間際になって「税金を安くする方法」を探し求めることになります。
急いでネットで検索… とか、急いでフリーランス仲間に相談… とか。
すると。「少々荒っぽい方法」や「根も葉もないウワサ話」のたぐいを、正しいものと信じて採用してしまうケースがあるようです。
期限まで時間もないことから、どうしても「手っ取り早い方法」をとらざるを得ない、「正しいかどうかを確かめる時間も無い」からですね。
結果として税金計算を間違えれば、のちのちシワ寄せがきます。この場合、納める税金が少なすぎた… ということが多いでしょうから、あとから追加で税金を納めることになります。
ペナルティとしての税金も上乗せされるので、「痛い」です。これが、「経理で間違えている」という損になります。
「経理で間違えている」ということで言えば、もうひとつ。最近では、会計ソフト(クラウド会計含む)を使って、じぶんで確定申告書をつくれるフリーランスが増えてきました。
けれども。「つくれる」ことと、「つくったものが正しい」こととはイコールではありません。会計ソフトでつくった、プリントアウトしたのだから正しいものだろう、と考えている人もいるようですが。それは、違います。
実際に、会計ソフトでつくったという確定申告書を拝見すると。しばしば、間違いが見受けられます。
たとえば、確定申告書の預金残高が、通帳残高と合っていないとか。売掛金の残高が合っていないとか。在庫があるはずなのに載っていないとか。
聞けば、「時間もなかったので、あまりチェックもできずに、そのまま申告してしまいました…」と。
たしかに。期限間際で時間がなければ、チェックもおざなりになるでしょう。ただ、時間があればできたのかと言えば、そうでもなく。そもそもチェックのしかたを理解していない、というケースも少なくありません。
というわけで。このあたりもまた、「経理で間違えている」の一例です。
損をしないためにどうするか?
では、「経理で間違えている」という損をしないためにはどうしたらいいか。
経理には確認が必要であると理解することです。
前述したような「少々荒っぽい方法」や「根も葉もないウワサ話」を鵜呑みにしない。「根拠」を確認する。
「会計のルール」や「税法」といったものが「根拠」にあたります。
また、「会計ソフトでつくったのだからだいじょうぶ」とは考えない。つくられた「結果」を確認する。
会計ソフト自体が「計算」を間違えることはありませんが、計算のもとになる「情報(インプット)」に間違いがあれば、間違った「結果(アウトプット)」になってしまいます。
というように、経理には「確認」が必要です。ところが、確定申告のためだけの経理、申告期限に間に合えばいい、という経理をしていると、その「確認」ができません。
日ごろから「確認」をできるように、日ごろから経理にかかわるスタイルを目指しましょう。
[ad1]《2つめの損》経理に時間を奪われている
確定申告のためだけの経理は、「確定申告期限の間際になって大慌てしている…」という症状にあらわれる、と冒頭でふれました。
実際、確定申告間際になると、「確定申告やばい…」とか「確定申告で仕事が手に付かない…」といったハナシを見聞きします。
また、武勇伝のごとく「徹夜で確定申告をしあげた!」とのハナシもありますが。武勇伝ではなく、どちらかというと「恥ずかしい話」として語られるべきものではないか? と思うのですがいかがでしょうか。
それはそれとして。
確定申告期限の間際になって大慌てしている… いずれのケースも、「経理に時間を奪われている」のが、「損」にあたります。
日ごろから経理をしていないものだから、やり方を思い出すのにも時間がかかる。よって、同じ経理をするのでも「余計」に時間がかかっている… ということがあるでしょう。
逆に、日ごろから経理をしていると。「慣れ」が出ますので、なんなくこなせるようになる。スピードも速くなる、という利点があります。
それとは別に。そもそも、経理のやり方がよくわかっていない… ということもあるでしょう。日ごろから経理をしていれば、やり方を理解したうえで、「改善」にも意識が向きやすいものです。
ここで言う「改善」とは、「もっと速く」という改善のこと。経理は、考え方を変える・やり方をくふうすることで、「もっと速く」を実現することができます。
けれども。申告期限の間際になって、ギリギリの状況で経理をしているフリーランスには「改善」もなにもありません。とにかく、「終わらせる」ことがすべてです。
そして終わらせることができると、「あぁ、これでまた来年まで経理をやらなくていいぞ」と、経理を忘れてしまう。やはり「改善」の機会はありません。
このようにして、確定申告のためだけの経理は「経理に時間を奪われている」という損をまねきます。
損をしないためにどうするか?
では、「経理に時間を奪われている」という損をしないためにはどうしたらいいか。
経理は速くなると理解することです。
たとえば。現金払いをやめると、現金払いに関する取引の入力作業がなくなります。代わりに銀行振込やクレジットカード払いにすれば、インターネットを通じて、取引データを会計ソフトに取り込むことができます。
取り込んだデータをもとに経理をすれば、その分の「入力作業」がなくなります。人間の入力には、間違いや疲労がともないますが。データを取り込むことで、間違いも疲労も回避できるのは利点です。
また、取り込んだデータに対して、自動的に経理処理するよう会計ソフトに「設定」することができれば(=自動仕訳の設定)。人間は手を下すことはなく、確認をするだけという状況も実現できます。
ところが。会計ソフトを使っていても、このあたりの対応ができていない、不十分というフリーランスは少なくありません。余計な時間をかけている。もったいないですよね。
というわけで。経理は速くなる、と知っておきましょう。そして、速くするための「取り組み」をしましょう。
日ごろから「取り組み」ができるように、日ごろから経理にかかわるスタイルを目指すことです。
[ad1]《3つめの損》経理がストレスになっている
ここまでお話をしてきた2つの損、「経理で間違えている」「経理に時間を奪われている」ということをふまえて。
確定申告のためだけの経理をしているフリーランスは、「経理がストレスになっている」という損もかかえています。
経理で間違えてしまったとか、間違えているかもしれない、と考えればストレスになるでしょう。経理に時間を奪われていると感じれば、やはりストレスになるでしょう。
それでも、フリーランスを続ける限りは「確定申告はやらなければならい」ために、ストレスをかかえたまま、経理を続けることになります。
さらに。日ごろから経理をしていないものだから、じぶんの状況を「数字(金額)」で把握することができません。
なんとなく儲かっているかも、なんとなく儲かっていないかも… といった、感情や感覚に頼ることとなります。あやふやです。
人間はあやふやなモノに対しては「恐怖」や「不安」を感じるもので。幽霊やお化けが怖いのは、その存在が「あやふや」だからだと言えます。本当にいるのかいないのか、どういうものなのかがわからないから怖い。
経理も似たようなところがあります。
なんとなく儲かっているかも、なんとなく儲かっていないかも… とあやふやにしていると。ほんとうはどうなのかなぁ?だいじょうぶなのかなぁ?と、不安を感じるものでしょう。
そのように「経理がストレスになっている」のは、ツラくありませんか? という話をしています。
損をしないためにどうするか?
では、「経理がストレスになっている」という損をしないためにはどうしたらいいか。
経理は安心をするためのものと理解することです。
本来、経理は「確定申告のためだけ」にやるものではありません。確定申告があろうがなかろうが、経理はやるべきものです。
前述したとおり、経理をやることによって、フリーランスはじぶん自身の状況を「数字」で把握することができるからです。
あやふやな感情でも、感覚でもなく。測定可能な「数字」によって、じぶんの状況を把握することができる。これは、経理の「効果」でもあります。
結果として。数字で状況が明らかになれば、「あやふや」に対するストレスがなくなります。状況が良いものであれば、良い気分にもなれるでしょう。
もし状況が悪いのであれば。早めに手を打つことにつながりますから、後手に回ったときのストレスを回避することができます。
1年に1回だけ、確定申告のときにだけ数字を把握しているようでは、後手に回ることが少なくありません。
税金面でも、12月中であればできたはずの「節税」というものがあります。年をまたいでしまうともう手遅れ。確定申告のためだけの経理、申告期限間際の経理をしていると手遅れです。
手遅れになると、またストレスがたまりますよね。あぁ、節税できなかった… みたいな。
節税にしても、状況の把握にしても。ストレスをためずに済むように、日ごろから経理にかかわるスタイルを目指しましょう。
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まとめ
確定申告期限の間際になって大慌てしている… 言い換えると、「確定申告のためだけの経理」をしているフリーランスは少なくありません。
けれども、そのような経理には3つの「損」があること。損をしないためにはどうしたらよいか? を押さえておきましょう。
- 経理で間違えている
- 経理に時間を奪われている
- 経理がストレスになっている