創業社長が間違えやすくて資金ショートを起こす考え方

創業社長が間違えやすくて資金ショートを起こす考え方

これから創業する社長や創業したばかりの社長が、考えがちではあるけれど、実は資金ショートを起こす可能性が高い。そういった考え方があるので気をつけましょう、というお話です。

目次

創業が増えているいまだからこそ。

きょうは、2022年5月2日。日本では3年ぶりに、「新型コロナによる移動制限」がないゴールデンウィークをむかえました。そのような背景もあってか、いっときは冷え込んだかに見えた創業が、増えてもいるようです。

そこで、本記事では、「創業社長が間違えやすくて、資金ショートを起こす考え方」についてお話をしていきます。これから創業する社長や創業したばかりの社長が、考えがちではあるけれど、実は資金ショート(資金不足)を起こす可能性が高い。そういった考え方があるので気をつけましょう、というお話です。

具体的には次のとおりになります ↓

創業社長が間違えやすくて資金ショートを起こす考え方
  • たくさん売れれば儲かる
  • おカネに困ったら借りる
  • 先行投資は早めがだいじ

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

創業社長が間違えやすくて資金ショートを起こす考え方

たくさん売れれば儲かる

創業するときには、なにかしらの「計画」を立てるものでしょう。売上は〇〇万円、費用は〇〇万円、だから利益は〇〇万円、みたいな。このとき、「たくさん売れれば儲かる」という計画を立てる創業社長がいます。

言い換えると、たくさん売れなければ儲からない計画です。この点で、ひとつの目安にしたいのが「売上総利益率」になります。売上総利益率とは、「売上総利益 ÷ 売上高」で計算される指標です。売上総利益を「粗利(あらり)」とも呼ぶことから、売上総利益率は「粗利益率(あらりえきりつ)」とも呼ばれます。

なお、売上総利益は、「売上高 ー 売上原価(≒ 仕入高)」です。つまり、売上から直接的な費用である売上原価を除いたものが売上総利益。その売上総利益は、売上高に対してどれくらいの割合か? をあらわすのが売上総利益率になります。

と、前置きが少々長くなりましたが。売上総利益率が、低ければ低いほど、たくさん売らなければ儲からない、という点に気をつけましょう。具体的には、40%くらいがひとつの目安です。売上総利益率が 40%を下回るような計画は、資金ショートを起こす可能性が高まります。

たとえば、売上総利益率が 30%だとすると。売上高の 30%の金額で、仕入以外の費用をまかなわなければいけません。借入をしていれば、元金の返済分についても、売上高の 30%のなかからまかなう必要があります(元金の返済は費用ではないので)。

それら費用と元金返済とをまかなえるだけの売上高を「逆算」してみると、「そんなに売らないといけないの!?」というケースは少なくありません。それでも「楽観視」をして、スタートを切れば、売上が足りずに資金ショート… という可能性が高まることは理解をしておきましょう。

また、実際には、想定していた売上総利益率を下回るケースも少なくありません。値引き販売をしたり、不良品が生じたり、見本として配ったり、廃棄ロスが生じたり… そういったこともふまえて、売上総利益率 40%は「計画値としてマスト(必達)」だと考えておくのがおすすめです。

ちなみに、小売業や卸売業などを中心に、売上総利益率が 40%を下回るのが常である商売があることは、わたしも存じています。が、そのような薄利多売の商売は、資金力が乏しい中小企業が手掛けるには難易度が高いものです。売上総利益率が低い商売は、大企業向けであることも覚えておきましょう。

おカネに困ったら借りる

売上総利益率が低いと、資金ショートを起こす可能性が高まる、という話をしました。ほかにも、よくある資金ショートの例として、「おもったよりも売れない…」があります。

最終的には、売れる商品・売れるサービスであったとしても、売れるまでには「時間がかかる」というのはよくあることです。その時間を「過小」に見積もっている創業社長は、けして少なくありません。

良くも悪くも、創業社長には「自信」があります。自信があるからこそ、創業をするのであり、だからこそ、「すぐに売れるはず・もっと売れるはず」との思いがあるものです。もちろん、その思い自体が悪いことなどありませんが、必要な時間を見誤るのはいけません。

売れるまでに時間がかかるほど、費用(支出)が先行することになります。おカネがどんどん減っていく、ということです。ゆえに、それを見越しておカネを準備しておくべきなのですが、時間を過小に見積もる創業社長は、その準備が不足します。

それでも、いざおカネに困ったら借りればいい。銀行から借りればいいと考えるのであれば、それは間違いです。創業後、おカネに困ってからでは、銀行からの借入は難しくなります。銀行にしてみれば、「ほんとうに返せるのか?」と不安を感じるからです。

おカネに困っているという「事実」がある以上、銀行からの借入は困難になることを理解しておきましょう。もし、借入できるとしても、じゅうぶんな金額までは借りられないはずです。だとしたら、どうするか?

おカネに困る「前」に借入をしておくことです。つまり、創業の時点で借入をしておくこと。この場合には、まだおカネに困っている「事実」はありませんから、相応の「計画」があれば、借入はしやすいものです。

おもったよりも売れない、ということも想定して。いつか借りるかもしれないなら、はじめから借りやすいときに借りておくことを考えておきましょう。

先行投資は早めがだいじ

売上を増やすためには、「先行投資」も必要です。たとえば、仕入(在庫)を増やすとか、人員を増やすとか、店舗を増やすとか。そういった先行投資のタイミングが早すぎる創業社長がいます。当初の計画よりも、売上が好調な場合などにはとくにです。

すると、どんなことが起きるか? 当然、支出が増えますから、その分のおカネが減って、資金繰りは厳しくなります。売上が増えるよりも早いペースで先行投資をすれば、資金ショートの可能性が高まることは理解をしておきましょう。

そこで考えたいのが、「いったんようすをみる」ことです。具体的にどれくらいようすをみるかは、ケースバイケースではありますが。イメージで言うなら、「ほんとうに売上が増えるのか、増え続けるのか」を見極めるということです。

大きな先行投資をしかけたとたんに、売上増加が失速した… のでは、目も当てられません。が、それは起きうることであり、実際に起きていることでもあります。なので、「失速」もイメージしておきましょう、ということです。

それでも先行投資をするのであれば、資金を準備しておく。これも、忘れてはいけません。先行投資が資金繰りの悪化をともなうことは、さきほど言いました。自己資金がたまるまで待つか、あるいは、銀行から借入をするか。資金ショートの可能性を減らすために、どちらかは必要です。

こういった資金の準備ができないようであれば、その段階での先行投資は見送る。これも、ひとつの判断基準になります。投資は必要なものではあるけれど、早すぎれば資金ショートを招く。だとすれば、投資は「ちょっと遅れる」くらいのタイミングでちょうどよい、とも言えるでしょう。

いっぽうで、「先行投資は早めがだいじ」との考え方には、危険が潜んでいるということです。

まとめ

これから創業する社長や創業したばかりの社長が、考えがちではあるけれど、実は資金ショートを起こす可能性が高い。そういった考え方があるので気をつけましょう、というお話をしてきました。

せっかくの創業で、資金ショートを起こすことがないように。本記事の内容を参考に、じぶんの考え方を確認しておきましょう。

創業社長が間違えやすくて資金ショートを起こす考え方
  • たくさん売れれば儲かる
  • おカネに困ったら借りる
  • 先行投資は早めがだいじ
創業社長が間違えやすくて資金ショートを起こす考え方

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