レシートではダメだから領収書をもらう。”上様”領収書は経費にならない。
ほんとうに?意外とわかっているようでわかっていない領収書のもらい方。
きちんと経費にできる領収書の正しいもらい方、お話しします。
その領収書を経費にするための3つの疑問
ところで、なぜ領収書をもらうのか。きちんと経費にして、すこしでも税金を少なくしたいからですよね。
事業をしていれば節税に欠かすことができない領収書ですが、こんな疑問はありませんか?ということで。経費にできる領収書のもらい方について、よくある3つの疑問にお答えします。
答えを知ることで、よりスマートに、より確かに、その領収書を経費にしましょう!
- そもそもレシートではダメなのか?
- 領収書には何を書いてもらうのか?
- なくした、もらえない領収書はどうするか?
《疑問1》そもそもレシートではダメなのか?
レジではいつも、「領収書ください」と言っている。そんなことはありませんか?
基本、レシートでOK
まず。そもそもレシートがダメだということはありません。ですから、「基本的には」レシートで済ませてしまいましょう。
レシートとは別に、領収書を発行してもらうのにも時間がかかります。たいした時間でないとはいえ、いつもいつも領収書をもらっている時間を積み重ねたら・・・時間がモッタイナイから。
最近のレシートには、品名や利用人数、利用時間など多くの情報が記載されています。領収書よりも、むしろしっかりと支払内容を証明してくれるものです。
えっ、それがイヤだ?お主も悪よのう、という話はのちほど。「基本的には」レシートでOKです。
さて。用心深い人は気が付いたことでしょう。さきほどから「基本的には」、と言っています。では、基本的でない場合とは?
レシートがあまりにも貧弱ならば領収書をもらう
レジで渡されたレシートがあまりに貧弱だ、ひ弱すぎる、と感じたら。さすがに「領収書ください」も良いでしょう。
いまではだいぶ減りましたが、古いレジスターで「日付と金額だけ」しか記載されていないレシートがあったります。どこで買ったかも、何を買ったかもわからんよ。そんなレシートです。
そんなレシートだからといって、税務調査でいきなりダメだと言われることもありませんが。「買った先と買った内容」というのは、一応、税法では必要な情報とされています。
ですからあとは、金額など「程度」の問題です。文房具で数百円の支払であれば、まあイイにしても。数万円の飲食費の支払に貧弱なレシートではねぇ・・・ということです。
証拠固めに領収書をもらう
飲食費の話が出ましたが、接待費用や贈答品など、比較的高額の支払いについては領収書をもらっておこうという考え方もあります。
税務調査では、数百円の文房具代よりも、数万円の接待費用や贈答品についてを詳しく見られるものです。
そこで、「たしかにワタシが、経費として使ったんだ!」と主張をするために、宛名に自分(自社)の名前が入った領収書をもらっておく。証拠固め、そういうことです。
くどいようですが、別にレシートがダメなわけではありません。心証の問題、レシートから受けるイメージの問題、といったところでしょうか。
ところで、これとは逆に「証拠隠滅」のために領収書をもらうなんてことはやめておきましょう。誰に入れ知恵をされたのか・・・お主も悪よのう、ということになります。
なんでもかんでもご丁寧に書いてあるレシートだと困るので、あっさりと書いてある領収書の方が都合がイイ。たとえば、家族の食事代。おこさまランチはないだろ、ということで領収書ください。みたいな。
臭いものにはフタを、ということなのかもしれませんが。臭う人にはちゃんと臭います。税務署はその気になれば、領収書の中身はお店に確認しに行きます。その気になれば。
《疑問2》領収書には何を書いてもらうのか?
領収書の宛名が「上様」、但し書きが「お品代」。もちろん、よくはありません。
宛名、但し書きはきちんと書いてもらう
領収書をもらうのであれば、宛名と但し書きはきちんと書いてもらいましょう。先ほどまでの話で、基本的にはレシートです。
それでも領収書をもらう理由は、レシートが貧弱だからか、証拠固めか。であれば、宛名と但し書きがなければ意味がなくなってしまいます。
ちなみに、但し書きには「事細かに」書いてもらう必要はありません。「ペン、消しゴム、封筒代」まで書かなくても、「文房具代」程度で十分です。
レシート、領収書に自ら書く
レシートや領収書はお店側が発行するものですが。そこに自ら書くのもイイね、ということがあります。「用途」です。
たとえば、百貨店で贈答用として洋服を買いました。このレシートに「洋服」とは記載されても、「用途」としての「贈答用」は記載されないでしょう。
すると、自分のための洋服なのか、贈答用の洋服なのかはわかりません。税務調査官は、「これはあなたの洋服では?」と聞いてくるやも。調査官もタイヘンです。
時間がたてば自分の記憶も不確かになります。はっきりしておくためにも、必要があれば「用途」をレシートや領収書に書いておきましょう。「得意先・〇〇さんの誕生日祝い」など。
同様に接待飲食代なども「用途」は役立ちます。「得意先・〇〇さん、△△さん 2名と」など。飲食代は、「誰と行ったんだよ」というのが税務調査官の関心ごとになります。
《疑問3》なくした、もらえない領収書はどうするか?
領収書なくした!領収書がもらえない!そんなときも慌てない、慌てない。
なくしたら再発行。できなければメモ書きで
一度もらったレシートや領収書をなくしてしまったら。基本的にはお店に再発行をお願いしましょう。それが一番です。
そうはいっても、お店が遠方だとか再発行がままならない理由もあるでしょう。そのときにはメモ書きを残すことにしましょう。
メモ用紙に「支払日、支払先、支払金額、支払内容」をきちんと書いて、レシートや領収書の代わりとして保管します。
誤解のないように言っておきますが、これは最悪の場合です。メモ書きばかりだとか、金額が高額なものだとかは、税務調査では認められない可能性が高くなります。やむを得ない場合の非常手段として考えてください。
領収書がもらえないなら、代わりになるものを探す
レシートや領収書がないのが普通だということもあります。自動販売機で会議用のお茶を買った、電車・バスに乗った、など。こういう時もメモ書きです。「支払日、支払先、支払金額、支払内容」が基本。
電車・バス代については、支払内容として「〇〇商事・商談 △△駅~□□駅 電車代」などと書いておくとベストです。
電車・バス代を、都度メモ書きしても良いですが、メモ書きの紙ばかり増えて大変です。そんなときは交通費精算書を作って、まとめる方法も良いでしょう。その場合にも「支払日、支払先、支払金額、支払内容」の項目は忘れずに。
また、結婚祝い金やお香典なども領収書が出るものではありません。このときには、メモ書きだけだと説得力に欠けますので「証拠資料」を探しましょう。
結婚式の招待状や葬儀案内など。余白に、渡した日付・金額をメモして、領収書の代わりに保管します。
まとめ
正しい領収書のもらい方について、3つの疑問に答えるかたちでお話ししました。
レシートや領収書をきちんともらっておくこと、保管しておくことで、経費にすることができます。せっかく支払ったおカネが、レシートや領収書の不備で経費にできないなんてイヤですよね。
支払ったおカネをしっかり経費にするのが、一番身近な節税対策です。正しい領収書のもらい方を身につけましょう!
************
きょうの執筆後記
************
節税を声高に叫ぶ人に限って、レシートや領収書の扱いがルーズだったります。
なくしたとか、捨てちゃったとか。それが1枚や2枚ではなく、日常茶飯・・・ほかで節税するよりもまず経費です。