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フリーランスの確定申告に完全決着!青色申告vs白色申告

青色申告vs白色申告

青色もいいけど、白色のほうがなんかラクらしいよねー

というウワサもあるようで。フリーランスの確定申告のハナシです。

青色申告と白色申告、果たしてどちらが良いのか? その問いに、完全決着をつけます。

目次

青色申告vs白色申告 フリーランスの確定申告はどっち?

フリーランスが確定申告にあたって悩むことのひとつに「青か白か?」があります。

青色申告を選ぶべきか、白色申告を選ぶべきか? という問い。

その問いに答えを出すべく。両者の特徴・違い、メリット・デメリットなどを見ていきましょう。話の全体像は次のとおりです。

  1. 青色申告と白色申告の特徴まとめ
  2. 「青色申告の特典」と「白色申告の無特典」の効果くらべ

 

青色申告と白色申告の特徴まとめ

まずは、青色申告と白色申告それぞれの特徴を一覧にまとめてみます ↓

 青色申告白色申告
65万円控除10万円控除
特典ありなし
帳簿づけ会計ソフト 必要手書き・Excelで可
書類の保存必要
事前申請必要不要

それでは、順番に説明をしていきます。

青色申告には2つある 65万円控除か10万円控除か

青か白かに加えて。さらに、青色申告は「65万円控除か、10万円控除か」という違いがあります。

「控除」の意味や効果については後述しますが。平たく言うと、この控除が大きいほうが、より税金が安くなる。いまはそのくらいの理解にして、先を急ぎましょう。

特典

さきほどの一覧表を上から見ていくと。まずは特典です。

特典の「内容」はのちほど、ですが。ここで確認したいのは、「青色は特典あり、白色は特典なし」というところ。

「特典」の言葉が示すとおり、そりゃもう、特典があるほうがイイに決まっています。

ところが。特典を受けるなら、それ相応の交換条件は飲んでもらおうじゃないの。というハナシが、青色申告には待っていて。

この交換条件が、「白色申告のほうがなんかラクそうだぞ」と言わしめる原因になっています。このあと説明する、帳簿づけや、事前申請についてです。

帳簿づけ

青色だろうが白色だろうが、確定申告をする以上は計算が必要です。計算をするためには、元になる材料が必要なのであり。その材料が帳簿です。

帳簿には、日々の仕事での取引について、会計・税金のルールに従い記録します。

その帳簿への記録のしかたが、青色と白色では違うのです。さらに、青色でも65万円控除と10万円控除とで異なります。まとめると、

  • 青色 65万円控除・・・特典もあって、控除も大きい。だから、会計ソフトを使って、しっかりとした帳簿をつけてね
  • 青色 10万円控除・・・特典あり、控除は小さい。だから、手書きやExcelなどで、カンタンな帳簿でもいいよ
  • 白色・・・特典もないかわりに、手書きやExcelなどで、カンタンな帳簿でもいいよ

税金が安く済む(節税)という目で見るといちばん魅力的な「青色 65万円控除」は、交換条件としてハードルが高くなっています。確定申告初心者は「会計ソフトかぁ・・・」と嘆くばかりです。

ところが。いまどきの会計ソフトの機能を考えれば、むしろ「手書きやExcel」のほうがハードルが高いのでは? という見方もあります。少なくとも、わたしはそう考えています。

どうせ苦労をするなら、はじめから会計ソフトを使って節税することをおすすめします。少々の勉強は必要ですけどね、結果的にあとあとラクができるのも会計ソフトです。

補足
・厳密には、「青色 65万円控除」の帳簿づけで求められているのは「複式簿記による記帳」という会計技術です。それを手書きやExcelでもできるのであればかまわないのですが、現実的には会計ソフトを使わないと難易度MAXです
・厳密には、「青色 10万円控除」と「白色」の帳簿づけは、同じではありません。特典が無い分だけ「白色」のほうが条件がユルくなっています。しかしそれも、誤差の範囲程度であり。積極的に白色を選択する理由にはなりえません

書類の保存

領収書や請求書、さきほど触れた帳簿などは、一定期間の保存が必要です。これについては、「青色も白色も変わらず」というところがポイント。

実は2014年までは、白色は条件がユルく、帳簿づけや書類の保存義務がありませんでした。

そのときのイメージが、一部にいまもなお残っているようで。「白色のほうがラクなんだ」という誤解が生じています。

いま現在は白色申告でも、帳簿づけや書類の保存義務がある。と、理解をしておきましょう。

事前申請

青色申告をするには、事前の申請が必要です。「青色申告承認申請書」という書類を、税務署に提出します。提出には、次のような期限が設けられています。

  • 青色申告をしようとする年の3月15日まで
  • その年の1月16日以後に開業した場合は、その開業の日から2か月以内

青色申告を希望する場合には、この期限には要注意です。

ところで「申請書」と言っても、決してムズカシイものではありません。A4用紙でたった1枚です。これで青か白かが分かれるのなら、提出しない理由はない。そういう書類です。

→ 参考記事「よくわかる、自分で書ける青色申告承認申請書の書き方【記入例付き】」

ここまでをまとめると

以上が、青色申告と白色申告それぞれの特徴です。ここまでの話をひとまずまとめると、

青色には特典があるが、交換条件がある。けれども、交換条件は実質「青色申告承認申請書」という書類1枚の差と言える。そういうこと。

では続いて、特典の効果について見ていきます。

 

「青色申告の特典」と「白色申告の無特典」の効果くらべ

青色の特典には、細かいものまで含めるといろいろありますが。効果の大きなものを取り上げてお話しします。次の3つです。

  1. 青色申告特別控除
  2. 赤字の繰り越し
  3. 30万円未満の資産が一発経費

それでは、順番に見ていきましょう。

《特典1》青色申告特別控除

確定申告で計算する税金についてカンタンに言うと。

売上-経費=利益。この「利益」に税率(※ 利益が大きい人ほど、税率は高くなります)を乗じて、税金を計算します。

青色申告特別控除とは、この「利益」から65万円、もしくは10万円をマイナスすることができる。という特典です。

誤解を恐れずに言えば、青色申告特別控除は「おカネを使わない経費」のようのもの。

フツーの経費は、おカネを使うことによってはじめて経費になります。税金は安くなりますが、経費を支払う分のフトコロは痛みます。

いっぽうで、青色申告特別控除はフトコロに痛みはありません。おカネを使わずに、65万円を経費にできるってスゴくない? わたしはスゴいと思います、はい。

では、税金に与える効果を具体例で見てみましょう ↓

【前提条件】利益 400万円、税率 20%

  • 白色      ・・・(400万円-  0万円)× 20% = 80万円
  • 青色 10万円控除・・・(400万円-10万円)× 20% = 78万円
  • 青色 65万円控除・・・(400万円-65万円)× 20% = 67万円

※ 話を簡便化するために、税率を一律にしています。本来は、「利益-青色申告特別控除」が大きいほど税率は高く、小さいほど税率は低くなります。つまり、実際には上記の税額差はもっと大きくなります。

《特典2》赤字の繰り越し

青色申告では、赤字(利益がマイナス)になってしまった場合。その赤字を、翌年以降3年間にわたり繰り越し、利益と相殺をすることができます。

とくに開業年は、売上よりも経費が先行することが少なくありません。その場合の赤字については、繰り越せるか否かでその後の税金は変わってきます。

具体例で見てみましょう。

【前提条件】開業1年目の利益 -200万円(赤字)、2年目 400万円

  • 白色
    1年目・・・税金ゼロ(赤字なので)
    2年目・・・400万円 × 税率 20% = 80万円
    税金計・・・0万円+80万円=80万円
  • 青色 10万円控除
    1年目・・・税金ゼロ(赤字なので)
    2年目・・・(400万円-赤字200万円-控除10万円) × 税率 15% ≒ 28万円
    税金計・・・0万円+28万円=28万円
  • 青色 65万円控除
    1年目・・・税金ゼロ(赤字なので)
    2年目・・・(400万円-赤字200万円-控除65万円) × 税率 15% ≒ 20万円
    税金計・・・0万円+20万円=20万円

※ 税率は利益が大きいほど高くなります。したがって、上記の税率は20%と15%いう差があります。

赤字を繰り越して相殺できない「白色」については、2年目の税額負担はとても大きなものになります。

これが青色申告承認申請書 1枚の差かと思うと、恐ろしいものがあります。

《特典3》30万円未満の資産が一発経費

ひとつあたり10万円以上の資産を購入した場合。原則的には、一度ですぐに経費にはできません。

たとえば20万円のパソコンを買うと。4年間かけて経費にするルールになっています。20万円 ÷ 4年=5万円が、1年間で経費にできる金額です。

10万円以上という「値が張る資産」については、フツーはある程度長い間使うものであり。であれば、それに応じて、経費も長い間をかけて・・・という考え方(減価償却と言います)です。

税金を納める側からすると、高い買い物をしても即経費にはならないのかぁ。と、残念なところ。

ところが。青色申告の場合には、「10万円」というラインが「30万円」まで上がります。つまり、30万円未満であれば、即全額経費になるわけです。

さきほどの20万円のパソコンで言えば、買った年に20万円が1度で経費になります。

長い目で見れば、トータルで経費になる金額(20万円)に変わりはありませんが。急ぎの際には早く節税できる、というメリットは魅力のひとつでしょう。

 

まとめ

青色申告vs白色申告をテーマに、両者の特徴・違い、メリット・デメリットなどを見てきました。

  • 青色申告には節税効果の大きな特典がある。代わりに交換条件がある
  • けれども、交換条件はそれほど負担の大きなものではない

以上から、完全決着を論じるのであれば、白色を選ぶ理由は無い。

ということを理解したうえで、「青色か白色か」の選択を考えるようにしましょう。

 

 

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  きょうの執筆後記
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