得意先には請求書を送って、と。これでバッチリ!
って、ほんとうに? ほかにも注意すべきこと忘れていませんか?
ということで。フリーランスになったら売上を請求する前に注意すべき3つのコトについてお話しします。
フリーランスが売り上げを請求するときに注意すべき3つのコト
独立開業してフリーランスになったら。
仕事をするだけではなく、その仕事について「売上の請求」もしなければなりません。
この「売上の請求」ですが。請求書を発行しておけばよい、というだけでもなく。
いろいろな視点から、注意すべきことがあります。それは次の3つです。
- 【入金管理】契約書をつくる
- 【売上確保】消費税は別書きする
- 【信用付与】屋号をつかう
それでは、順番に見ていきましょう。
【入金管理】契約書をつくる
仕事を受注した! というそのときに。口約束で済ませているフリーランスは少なくないようです。
「じゃ、そういうことで」と、済ませてしまう。あとは、仕事が済んだら請求書を発行して、その入金を待つ。
仕事を頼む方も受ける方も、双方がラクで良さそうに見えるわけですが。そこに「リスク」は潜んでいます。
値引き攻勢を受けるリスク
仕事の受注から入金までには、一般に次のような流れがあります ↓
これについて、仕事を発注する側からすると。「値引き」を要求したくなるタイミングが主に3つ存在します。それは、
- 見積り ・・・ 見積書提示のとき
- 請求 ・・・ 請求書提示のとき
- 入金 ・・・ 支払のとき
この見積り、もうちょっと安くしてよ~。が、ひとつめ。
この請求、ちょこっと値引いてくんない? が、ふたつめ。
この支払、端数は切っちゃおうか? が、3つめ。
仕事を受ける側からすると、なんとも厳しい値引き攻勢となります。
そのような値引き攻勢をかわすひとつの手段として、受注時には「契約書」を作成し、契約を結んでおくことです。
契約書には、
- 仕事の内容
- 仕事の納期
- 代金の額
を明記します。
これをもって仕事の代金を確定させ、少なくとも「請求時」「入金時」の値引きに抑止力をかけます。
要するに。「契約書でそう決めましたよね。金額は契約書通りです」というスタンスをとります。
もちろん、そうは言っても値引きをせざるを得ない「政治的判断」が必要なケースはあるでしょう。
けれどもそれはそれです。大切なことは、安易に「値引き」を言わせるスキをつくらないということ。
受注の段階で、「ウチはしっかりしてまっせ」という姿を見せておくことです。
とかくフリーランスは「下」に見られがちなのが世の中です。カンタンに「上」をとられないように努めましょう。
入金遅延のリスク
さきほどの値引きリスクの延長として。入金遅延のリスクもあります。
「支払、もうちょっと待って!」というものです。
しかし、当然ながら。売上の入金はフリーランスにとっての生命線。家計にも直結する売上を待ちたくはありません。
ですから、これについても契約書に謳っておきましょう。具体的には、
- 支払い方法、支払日
- 代金の支払いがない場合の対応(契約解除、遅延損害金の請求など)
受注時に契約を結び、きちんと説明をしておくことです。
おカネの支払い順序は、うるさいところが先になります。うるさくない、やさしいところへの支払いは後回しになります。絶対にそうなります。
ですから、あえて「うるさく」なっておきましょう。契約書で定め、それでも遅延したら、すぐに確認の連絡をすることです。
「アイツはうるさいし、めんどくさいから払っておこう」と思わせたら勝ちです。
【売上確保】消費税は別書きする
次は、請求書の内容について。「消費税」に関する記載方法についてです。
消費税を納めてなくったって消費税はしっかりもらう
ちょっと税金の話をしますが、フリーランスが納めるべき税金のひとつに消費税があります。
ただし、消費税を納める対象者は「年商1,000万円」を超えるフリーランスです。
ということは。年商が1,000万円以下であれば、消費税を納めなくてもよいわけで。
そうであるならば、お客さまへの売上請求について、消費税を請求してはいけないのではないか? と考えている方も少なくないようです。
それはそれで間違いではないし、構わないのですが。損をしてしまうことになります。
消費税を納めなくてもよいフリーランスは消費税を請求してはいけない。ということはないのです。商売をしているのであれば、消費税を請求してOK。
そもそも、他人からは「年商がいくらか?」なんてことはわかりません。消費税は堂々と請求しましょう。
税込表記をせずに、税別表記する
「そうか、消費税は請求できるのか!」というときに気を付けるべきは、消費税の表記方法です。
必ず、税別で表記しましょう。こんなカンジです ↓
【 請求書 】 | |
〇〇業務 | 100,000円 |
△△業務 | 50,000円 |
小計 | 150,000円 |
消費税 | 12,000円 |
合計 | 162,000円 |
これを次のように税込のカタチにするのはやめましょう ↓
【 請求書 】 | |
〇〇業務 | 108,000円 |
△△業務 | 54,000円 |
合計(消費税込) | 162,000円 |
税別だろうが税込だろうが、「請求できる金額(合計)」は変わらないじゃないか。そう言うかもしれませんが。
それは「いま現在」の話です。問題は消費税率が上がったときです(8%→10%)。
税込表記である場合、消費税率が上がった際の価格転嫁が難しくなることが多くなります。
なぜなら消費税抜きの価格が見えないため、お客さまからは「いままでと同じ金額でがんばってよ~」なんてハナシが多くなるものなのです。
いっぽうで、税別表記の場合。シレっと消費税をあたらしい税率に変えれば済むことです。「世の中みんな消費税率変わったんでしょ、だからウチも」、と。
ちょっとしたことではありますが、消費税の表記方法には気をつけましょう。
【信用付与】屋号をつかう
さいごも、請求書の内容について。請求書の発行者名についてです。
フリーランスだって社名を持とう
請求書の発行者名、つまり、フリーランス自身の名称ですが、「個人名のみ」にしているフリーランスも少なくありません。
たとえば、「〇〇 太郎」。もちろん、それでもかまいません。が、屋号(やごう)をつけることも検討しましょう。
屋号とは、フリーランスにとっての会社名のようなもの。基本的には、自由に決めることができます(□□会社、△△銀行など、誤解を招くものはいけません)。
なぜ屋号をつけるのがおすすめかというと、「信用をつける」ためです。
「〇〇 太郎」の一個人を名乗るよりも、「◇◇デザインオフィス 〇〇 太郎」のほうが、信用度は上がるはずです。
「株式会社」のように社会的信用度が増すというよりは、職種に合った屋号をつけることで「何者であるか」がわかりやすくなるのが利点になります。
ひとりで仕事をするフリーランスにとって、少しでも信用をつけるに越したことはありません。
名刺や封筒、メールアドレスにだって屋号
屋号の話は、請求書に限ったことではありません。名刺や封筒など、対外的に関わるモノについては共通したお話です。
ここにあえて付け加えておくならば、メールアドレスの「ドメイン」にも屋号を用いることを検討しましょう、ということです。
具体的には、仕事で使うメールアドレスについて、「□□□@×××designoffice.com」などのように、@以降に屋号を使った独自ドメインを取得します。
これに対して、フリーランスのメールアドレスを見ると。「@gmail.com」や「@yahoo.co.jp」などのいわゆる「フリー(無料)メール」が少なくありません。
しかし、このフリーメール。相手には、次のようにとられることもあります。
- 独自ドメインを取得する金銭的余裕もないのか?
- 独自ドメインを取得するというITリテラシーもないのか?
フリーメールだろうがなんだろうが気にしない相手もいますが、気にする相手がいることもまた事実。
メールひとつでムダに評価を落とさないよう、屋号を使った独自ドメインを持つ。というのもひとつの選択肢でしょう。
まとめ
フリーランスになったら売上を請求する前に注意すべき3つのコトについてお話をしてきました。
以下、3つの観点です。
- 【入金管理】契約書をつくる
- 【売上確保】消費税は別書きする
- 【信用付与】屋号をつかう
いずれもちょっとしたことで差が付く部分です。ぜひ一度、検討してみましょう。
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きょうの執筆後記
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