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フリーランスがこれだけは毎日やるべき3つの経理しごと

毎日の経理しごと

経理(帳簿づけ)を溜め込むと、あとでタイヘンなんだよねぇ・・・

そうそう、何事も溜め込むと苦しくなります。だから毎日コツコツと、ってそれもまたタイヘンなのですけれど。

というわけで、まずはたったの3つだけ。フリーランスがこれだけは毎日やるべき3つの経理しごと、についてお話をします。

目次

これだけは毎日やるべき「3つの経理しごと」とは?

フリーランスの経理(帳簿づけ)と言ってもいろいろありますが。

いろいろまとめていっぺんにやった方が効率がイイのでは? ということで、確定申告ギリギリまで溜め込む人もいるようで。

けれども、これを溜め込んでしまえばのちのち困る、痛い目にあう。というものをピックアップします。

忙しい毎日でも、「これだけはやっておこう」という経理しごとについてお話します。次の3つです ↓

  1. 昨日もらった領収書を整理する
  2. 領収書はないが使ったおカネを記録する
  3. しかるべき入金、支払を管理する

それでは、順番に見ていきましょう。

 

《毎日の経理しごと①》昨日もらった領収書を整理する

ひとつめの経理しごとは、「領収書」について。

受け取った領収書をすべて出す

まずは、昨日1日(あるいは今日1日)で受け取った領収書をすべて、机のうえに並べてみましょう。

サイフの中、カバンの中、着ていた服のポケットの中。覚えているうちに、失くさないうちに全部を見つけ出しましょう。昨日1日のことであれば察しもつくはず。

「経理(帳簿づけ)をあとでまとめてやる」と言う人の中には、領収書を失くしている人も少なくないのです。アレ、あの領収書どこいった? みたいな。

節税、節税、と言う前に。足元の領収書整理をしっかりやりましょう。まずはせっかくの経費を逃さないことです。

現金払いの領収書を念入りに

さて、取り出したる領収書。現金払いの際にもらったものもあれば、クレジットカードや電子マネー払い、銀行口座払いのものもあるかもしれません。

このうち、毎日何とかしなければいけないのは「現金払い」の領収書。なぜなら、いまの現金の残高はいましかわからないからです。

なんのこっちゃ? ということかもしれませんが。現金との対比として銀行口座をイメージしてみましょう。

銀行口座の取引は、預金通帳(ネットバンクであれば取引履歴)に記録されます。放っておいても銀行が記録してくれます。

ですから、定期的に通帳記帳をしておく(ネットバンクであれば取引履歴を印刷しておく)ことさえ忘れなければ。あとからそれを見て経理(帳簿づけ)することは可能です。

日々の残高も記録されていますから、取引が漏れることもありません。漏れない、という点ではクレジットカードや電子マネーの利用履歴も同じです。

ところが現金ときたら、自分が記録をしなければ漏れてしまいます

「領収書があるじゃないか」と言うかもしれませんが、それは領収書がすべてそろっていてこその言い分であることに気づきましょう。

知らないうちに領収書を失くしてしまえば、その取引はカンタンに漏れてしまいます。気づきません。だから、毎日、領収書を整理するのです。

現金出納帳に記録する

というわけで、現金の領収書が整理できたなら。その勢いで現金出納帳に記録を済ませてしまいましょう。

領収書があるんだから大丈夫だよ、だから現金出納帳は今度まとめてでいいよね。とは言い難い理由が残っているのです。

たとえば。「領収書整理+現金出納帳記録」の結果、現金出納帳の現金残高は30,000円になりました。

ところが、お財布を開いてみたら20,000円でした。はて、10,000円はいずこに? という場合。

毎日、経理をしているのであれば、なんとか思い出すこともできるでしょう。ここ24時間以内のことですからね。

あぁそういえば、割り勘したときの領収書をもらい忘れた。その10,000円だ! と気づくこともできるでしょう。

けれども、1ヶ月にいっぺん、3か月にいっぺん、1年にいっぺんの経理であればどうなるか? ズレてしまった原因を思い出すことはどんどん困難になります。

1年分の現金出納帳を記録してみたら、財布の中身と5万円ズレていました。となっても、いったいいつどこでズレたものやら・・・ というハナシです。

さきほど、「(現金の)いまの残高はいましかわからない」と言いました。1か月前のサイフの中にあった現金の残高を、いま知る術はないのです。

だからせめて、きょうの現金はきょうのうちに。領収書整理にとどまらず、現金出納帳の記録まで、毎日するべきなのです。

【おまけ】厄介者の現金は使わない

ここまでの話で、現金は「やっかい」であることがわかったのではないでしょうか?

そう考えるのであれば、現金払いをやめて。記録に残るクレジットカード、電子マネー、銀行振込にしようというチャレンジは正解です。

上級者偏として、利用履歴データを会計ソフトにも取り込める(手入力しなくてよい)という利点もありますし。

それでも「現金払いがゼロ」にはならないかもしれませんが、減らす努力は経理の省エネ・正確度UPにつながります。

そして、もうひとつ。現金払いであっても、現金出納帳は使わないという経理方法も選択肢。これまでの話とは別視点ではありますが一考に値するものです。ご興味のある方はこちらもどうぞ ↓

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《毎日の経理しごと②》領収書はないが昨日使ったおカネを記録する

ふたつめの経理しごとは、「領収書のない現金取引」について。

領収書が無いなら、思い出して記録する

こんどは、現金払いをしたけれど領収書をもらっていない、という取引について見ていきます。

そんなんあったけ? ありますよね。電車・バス代、香典や祝金などの慶弔費、割り勘で支払った飲食代、領収書のもらい忘れなど。

これらも溜め込めば溜め込むほど、思い出すことは難しく、最終的には経費から漏れてしまいます。あぁ、もったいない。

ということですから、記憶があたらしいうちに。毎日、記録をしてしまいましょう。

電車・バス代は「交通費精算書」も選択肢

最近では電車・バス代を電子マネーで支払う人も増えました。なーんだ、記録に残るじゃん。

残念、必要な情報すべてが記録されるわけではないんですね。

交通費を経費にするにあたって重要な情報に「目的(行き先)」があります。たとえば、「〇〇商事 打合せ」など。

電子マネーの利用履歴は、電車だと「入場駅」と「退場駅」が記録されます。たしかに、電車に乗ったことはわかりますが、仕事なのかプライベートなのかはわからない。

だから、「目的(行き先)」の記録が必要なのです。

これも時間が経つと忘れてしまいます。なんであそこに行ったんだっけ? ということになりかねません。そうならないように毎日記録をしておきましょう。

便利なものとしては「交通費精算書」が挙げられます ↓

交通費精算書

毎日の交通費は、この「交通費精算書」記録しておき、1ヶ月分の金額をまとめて精算するための書類です。

現金で精算するのであれば、精算日に「〇月分交通費精算」として、1取引で記録することでかまいません。もちろん、預金口座から引き出してもOKです。

毎日、「出金伝票」を使うという方法もありますが、出金伝票がたくさんできるのも煩わしいし、紙がもったいないなぁ、とも感じます。

残りは「出金伝票」で

領収書をもらう慣習が無い、香典や祝金などの慶弔費。領収書をもらいづらかった割り勘した際の飲食代など。

領収書はないのだけれど、たしかにおカネは支払ったという場合には「出金伝票」をつくりましょう。つくり方はこちらの記事を ↓

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そもそも領収書やレシートをもらい忘れた、失くしてしまったというようなときにも「出金伝票」は使えます。

ただし、もらい忘れや紛失に関する出金伝票は「最終手段」であることを理解をしておきましょう。領収書の代わりに出金伝票ばかりでした、というのでは税務署に顔向けができません。

さいごに、出金伝票ができたら現金出納帳にも記録をしましょう。現金取引は毎日記録する。これは領収書でも出金伝票であっても変わりません。

 

《毎日の経理しごと③》しかるべき入金、支払を管理する

3つめの経理しごとは、「入金・支払の管理」について。

もらうべきものはきちんともらう、催促する

「入金」というのは売上のことです。商品やサービスを売り上げて、後日の入金を待つ場合。

その入金をしっかりと管理しなければいけません。せっかく売り上げても、入金しておカネにならなければ台無しです。

おカネを受け取るまでが仕事。具体的には、入金期限に、遅れることなく入金があるかを確認しましょう。

もし、期限に入金がなければすぐに確認の連絡を入れること。これが大切です。

気が引けるかもしれませんが、約束は約束。ここで遠慮をすると、「少しぐらい支払いに遅れてもよい人」というレッテルを貼られてしまいます。

入金管理についてはうるさいぐらいがちょうどいい。ヒトはうるさい人には嫌気して、いち早く支払いを済ませるものです。

入金期限の管理、期限後の催促は忘れずに。

感謝と報告は遅ければ意味がない

ところで。入金管理の話であれば、「毎日」である必要はないじゃないか。と、言われるかもしれません。

期限通りか否かを知るだけであれば、たしかにそのとおりです。

しかしそれだけではなく、「入金があったことをすぐに知る」こともまた意味あることと考えています。どういうことかというと・・・

わたしは売上の入金口座の取引を毎日、ネットで確認をしています。ですから、お客さまから入金があればすぐにわかります。

入金について金額等を確認したのち、そのお客さまにはお礼の一報(チャットもしくはメール)をお送りしています。

お送りされた方はどう思われているかわかりませんが、こちらとしては最低限の感謝の表明です。たしかに受け取りましたよ、という報告でもあります。

これについては、1週間も2週間もたってからでは意味がないので、毎日の経理しごととして組み込んでいる。そういうお話です。

価値観、考え方もあるでしょうから一様におすすめするものでもありませんが。ここは手間や効率とは別次元のこととして考えています。

ギリギリまで払わない、でも支払が遅れれば信用問題

こんどは、支払について。入金とは逆に、自分が支払う方です。

お客さまには期限に遅れれば催促をするのですから、自分もまた遅れないようにしなければいけません。

たった1日でも、期限に遅れれば信用問題にもなりかねません。ただでさえフリーランスは信用に乏しいところがあるのですから、要注意です。

期限には1日たりとも遅れない、という決意と行動が大切です。

いっぽうで、いつ支払うかについては「ギリギリ」という選択肢があります。資金繰りを考慮してのことです。

入金は早く、支払いは遅く、というのが資金繰りの王道。そういうクセづけをしておくべきだ、との考えからです。

事業規模が大きくなればなるほど、この王道の実行度合いで資金繰りにも大きな差が出ます。何百万、場合によっては千万円単位の世界で差が出ます。

いまはフリーランスかもしれませんが、いずれ相応の規模を持つ組織になるのかもしれません。

支払期限に遅れることは論外ですが、期限をうまく延ばすことはできないかなという発想を身につけておきましょう。

 

まとめ

フリーランスがこれだけは毎日やるべき3つの経理しごと、についてお話をしてきました。

不慣れな経理は後回しにしがちでもありますが、それでは手遅れ、間に合わないということもあるものです。

先述した3つのことについては、毎日の経理しごととされることをおすすめします ↓

  1. 昨日もらった領収書を整理する
  2. 領収書はないが使ったおカネを記録する
  3. しかるべき入金、支払を管理する

 

 

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  きょうの執筆後記
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