おカネが無くて、いま現在、たいへんな思いをしている。あるいは、いずれおカネが無くなって、たいへんな思いをすることになる。
そのような「おカネで困る会社」には、「〇〇が無い」の共通点がある。というお話をしていきます。
おカネで困る会社には「〇〇が無い」
言うまでもなく、会社にとって「おカネ(現金・預金)」はだいじな資源のひとつです。
そのおカネが無くて、いま現在、たいへんな思いをしている。あるいは、いずれおカネが無くなって、たいへんな思いをすることになる。
そのような「おカネで困る会社」には、かなりの高確率で、次のような共通点が見られます ↓
- 試算表が無い
- 資金繰り表が無い
- 借入金一覧表が無い
上記3つの「〇〇が無い」という共通点について。ウチの会社はだいじょうぶかな? と確認をしてみましょう。
また、「〇〇が無い」ことによって、どのような問題があるのか? 〇〇があるとどう変わるのか? あわせて押さえておきましょう。
それでは、このあと順番にお話をしていきます。
《共通点①》試算表が無い
試算表を毎月つくっていない、という会社があります。これでは、会社の「いま」を把握することができません。
いまの売上は? 経費は? 利益は? おカネは? どうなっているのか。
もしも試算表がなければ、それらを「はっきり」と把握することはできないはずです。
試算表がなくったって「なんとなく」はアタマでわかる、というハナシもありますが。失礼ながらそれは「どんぶり勘定」というものです。
なんとなくのイメージと実際とのあいだには大きな差があった。試算表をつくってみたら「実は思っていたほど利益がなかった・利益があった」というケースは少なくありません。
試算表が無ければ、会社の「いま」がわからない、あるいは誤ったイメージをしてしまう。結果、正しい経営判断ができない。これは、試算表が無い場合の大きな問題点です。
また、試算表はつくっているけれど。だいぶ遅れてつくっている、という会社もあります。
たとえば、2ヶ月も3ヶ月も前の試算表をいまつくっている。タイムリーな試算表が無ければ、経営判断が遅れてしまいます。
もう少し早くわかっていれば… という後悔をしないためには、試算表はできるだけ早くつくることです。
銀行融資を受けるにも試算表が必要
試算表が無ければ、正しい経営判断ができない。タイムリーな試算表が無ければ、経営判断が遅れてしまう。という問題点についてお話をしました。
加えてもうひとつ。試算表が無いと、銀行融資をスムーズに受けることができません。融資を受けるにあたり、銀行に試算表の提示を要求されることがあるからです。
銀行は基本的に「決算書」で融資先の業績を評価しますが、決算日から数ヶ月以上たっていると、「足元の状況」を確認するために試算表を見たいのです。
このとき、試算表が無い、あるいは、ずいぶん前の試算表だとなれば。銀行としては「状況がわからず、融資がしづらい・できない」ということになるでしょう。
そもそも、足元の状況もわからないまま経営しているような会社は、管理能力が低い危ない会社だとの評価にもつながります。
中小企業にとっては貴重な資金調達手段である銀行融資。これがうまくいかないとなると、資金繰りに苦労します。おカネで困ります。
試算表が無い会社は、経営判断の問題でおカネに困ること。また、銀行融資の問題でおカネに困ることを覚えておきましょう。
《共通点②》資金繰り表が無い
資金繰り表をつくっていない、という会社があります。これでは、会社の「これから」に備えることができません。
これから向こう1年、おカネが足りなくなることはないだろうか? もしもこれから、売上が30%下がってしまったら。おカネはいつまでもつのだろうか?
資金繰り表が無ければ、それらを知ることは難しいはずです。結果として、「おカネが無くなってしまった、どうしよう…」と急に慌てることになりがちです。
このように、いわば「行き当たりばったり」の資金繰りになってしまう。これが、資金繰り表がない場合の問題点です。
おカネがほんとうに無くなってしまってからでは、できることが限られます。手遅れ、ということもあるでしょう。
そんなことにならないように、会社の「これから」を想定して資金繰り表をつくる。おカネが減る、足りなくなるようであれば、早めに対応することが大切です。
銀行融資を受けるには資金繰り表も必要
銀行融資を受けるには、前述した試算表だけでなく、資金繰り表も必要です。
と、言うと。「資金繰り表が無くても融資は受けられる」との反論をいただくこともありますが。
資金繰り表があるのと無いのとでは、銀行に対する説得力がまるで違う。これはだいじなポイントです。
資金繰り表があれば、借りたおカネを毎月返済し続けていける、という「これから」を明瞭に示すことができます。
この点で、決算書や試算表だけでは過去のようすしかわかりませんし、ましてや、毎月のおカネの流れ・残高まではわかりません。
銀行が安心をして融資ができるようにするためには、資金繰り表が欠かせないのです。
にもかかわらず、資金繰り表をつくっている会社は少なくないことから、資金繰り表があると「資金繰り表をつくれる管理能力がある会社」との評価にもつながります。
いずれにせよ、銀行融資を受けるにあたってはプラスに作用する。銀行融資がスムーズであれば、資金繰りが安定しやすく、おカネで困らない会社に近づけます。
《共通点③》借入金一覧表が無い
借入金一覧表をつくっていない、という会社があります。借入金一覧表とは、文字どおり、自社の借入金(銀行融資)の状況を一覧にしたものです。
具体的には、金融機関名、融資金額、返済期間、金利、毎月の返済額、現在の融資残高などの情報を一覧にします ↓
このような借入金一覧表が無い場合、銀行融資が「借りっぱなし、返しっぱなし」になっていることが少なくありません。
言い換えると、ただただ返済をし続けている、融資残高が減り続けていくという状況。これは問題です。どういうことかというと、
会社・事業を続けていれば、良いときもあれば悪いときもあるでしょう。いっぽうで、良いときにはおカネを貸し、悪いときには貸さないのが銀行のビジネスです。
したがって、悪いときに備えて、良いときに銀行から借りておくことが、会社がおカネで困らないための秘訣になります。
このとき、「どの銀行から借りれそうかな?」を検討するのに、借入金一覧表が役立つのです。
結論としては、融資を受けてから時間がたっている銀行、融資残高が減ってきている銀行が、借りるにあたっての候補になります。
銀行には、いちど貸したことがある金額までであれば、比較的融資がしやすい(貸した実績・返済の実績があるので)という考え方があるからです。
そこを狙って、会社の業績がよいときに融資を依頼すれば、残高が減っている分を借り直すことができる。これを「折返し融資」などと呼んだりします 。
資金繰りを安定させるための、だいじな考え方・手段として覚えておきましょう。銀行融資は借りられればいい、借りたら返す、だけではいけません。
借入金一覧表は、銀行交渉をするにあたっての武器にもなります。他の銀行の融資条件を引き合いにして、交渉をすることができるからです。
銀行は、常に他の銀行を気にしています。他の銀行が良い融資条件を出すのなら、「ウチも負けないぞ」と考えます。
ただし、他の銀行が悪い融資条件を出していると、「危ない会社なのかな」と考えて引かれてしまうことはありえます。
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まとめ
おカネで困る会社の共通点「〇〇が無い」についてお話をしてきました。
「〇〇が無い」ことによって、どのような問題があるのか? 〇〇があるとどう変わるのか? あわせて押さえておくことが大切です。
- 試算表が無い
- 資金繰り表が無い
- 借入金一覧表が無い