『損益計算書は黒字』でも『貸借対照表のおカネが減る』3つの理由とその対策

黒字でもおカネが減る理由

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損益計算書は黒字なのに、なぜか貸借対照表のおカネは減っていく…

その理由と対策について、お話をしていきます。

黒字だからおカネが増えるとは限らない

会社・事業における決算書について。

損益計算書は黒字(損益計算書の末尾にある「当期純利益」はプラス)なのに、貸借対照表のおカネ(貸借対照表の左上にある「現金預金」)は減っていく…

なんとも不思議なことではありますが。黒字だからおカネが増えるとは限らない、ということです。

世の中には「黒字倒産」の例もあります。黒字なのにおカネが減る。ついにはおカネが尽きて倒産をしてしまう。

そんなことにはならないように。「損益計算書は黒字」でも「貸借対照表のおカネが減る」理由と、その対策とを押さえておきましょう。

おもな理由は次の3つです ↓

「損益計算書は黒字」でも「貸借対照表のおカネが減る」理由
  1. 売掛金や在庫に不良がある
  2. 増加した運転資金の借入をしていない
  3. 借入金の返済額が多すぎる

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

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「損益計算書は黒字」でも「貸借対照表のおカネが減る」理由とその対策

《理由1》売掛金や在庫に不良がある

黒字が出る背景に、売上の増加がある場合。売掛金(売上代金のツケ)や在庫も増加していくものです。

たとえば。商品を100円で仕入れて、200円で売る。売れたらまた商品を100円で仕入れて、200円で売る。これを繰り返していたとします。

売れるまでのあいだは在庫が100円、売れてから代金を回収するまでの売掛金は200円です。

では、この2倍売れるようになったらどうでしょう?

商品を倍の200円分仕入れて、400円で売る。すると、売れるまでのあいだは在庫が200円、売れてから代金を回収するまでの売掛金は400円です。

在庫も売掛金も、それまでの倍にふくらみます。

こうして在庫や売掛金が増えていくと、それらの管理がうまくできなくなり、「不良」が発生することがあります。

つまり。在庫であれば、仕入れすぎて不良在庫が増える。売掛金であれば回収サイトが伸びたり、代金回収が滞ったりで不良債権が増える。

在庫を仕入れるためにはおカネの支払いが必要です。かたや、売り上げてはいる(利益は計上される)のにおカネは入ってこない…

結果、「損益計算書は黒字」でも「貸借対照表のおカネが減る」ことになります。

対策

言うまでもないことですが、「在庫の管理」と「売掛金の管理」をしっかりとやることです。

在庫について言えば、まずは在庫回転日数を把握しましょう ↓

在庫回転日数

在庫回転日数 = 在庫(たな卸資産)÷ 1日あたり売上高(※)

※ 正確には「1日あたり売上原価」を使います

これにより、在庫がどれくらいの日数で売れるかを知ることができます。

たとえば、在庫が300万円、1日あたり売上高 10万円なら ↓

300万円 ÷ 10万円 = 30日

上記から、在庫は仕入れてからおおよそ30日で売れていることがわかります。

この在庫回転日数を定期的にチェックしてみて、もしも増えていくようであれば。不良在庫が発生しているのではないか?と疑ってみましょう。

細かくは、在庫の品目ごとに入庫・出庫数量を把握する(いわゆる入出庫表をつくる)ことで、不良在庫をつきとめることになります。

また、売掛金についても、考え方は在庫と同じです。

まずは売掛金回転日数を把握する ↓

売掛金回転日数

売掛金回転日数 = 売掛金÷ 1日あたり売上高

これが増えていくようであれば、回収サイトが長い客が増えているのではないか?不良債権が発生しているのではないか?と疑ってみましょう。

細かくは、各お客ごとの売掛金について、入金・出金を把握する(いわゆる売掛帳をつくる)ことで、不良債権をつきとめることになります。

もちろん、「そもそもこのお客と取引してもだいじょうぶなのか?」という与信管理も重要です。利益を求めて「売らんかな」にならないよう気をつけましょう。

 

《理由2》増加した運転資金の借入をしていない

黒字が出る背景に売上の増加があると、売掛金や在庫も増加して不良が発生する。という話をしてきました。

もうひとつ、同じ背景で起きることとして「運転資金の増加」が挙げられます。

ここで言う運転資金とは ↓

経常運転資金

経常運転資金 = 売上債権 + たな卸資産 − 仕入債務

これによれば、「経常運転資金」分のおカネが無いと、会社の資金繰りはもたない(経費の支払いなどができない)ことがわかります。

つまり。上記算式中の前半、「売上債権(売掛金・受取手形)」と「たな卸資産(在庫)」は、おカネが入金されるのを待っている状態のものです。

算式後半の「仕入債務(買掛金・支払手形)」は、逆に、おカネを支払うのを待ってもらっている状態のものです。

よって、両者の差額である「経常運転資金」分のおカネが無いと、会社の資金繰りがもたない、ということになります。

ではここで。これまでの売上が倍になった、としたらどうでしょう?

前述した売掛金回転日数や在庫回転日数などの諸条件が変わらない前提であれば、経常運転資金は単純に倍になります。くわしくはこちらの記事も ↓

売上が増えると必要なおカネはいくら増える?【増加運転資金の計算手順と銀行融資】

2019.02.05

したがって、売上が倍になると、必要なおカネ(経常運転資金)も倍に増える。これが、黒字でもおカネが減る理由になります。

対策

売上の増加にともない増加する経常運転資金を「増加運転資金」と言います。

この増加運転資金への対応としては、銀行融資を受けることがひとつの解決策になります。

増加運転資金には「売上増加」という前向きな背景がありますから、銀行もまた、増加運転資金の融資には前向きです。

銀行からおカネを借りることで資金繰りを安定させる。

これをせずに、自己資金だけでなんとかしようとするがために、売上増加の過程で苦しむ、あるいは、おカネが足りずに成長の機会を逸してしまう会社は少なくありません。

ちなみに、増加分を含めて運転資金は「短期継続融資」で受けるのがおすすめです。より資金繰りを安定させることにつながります ↓

資金繰り改善のチャンス!いまこそ『短期継続融資』を銀行から引き出す

2018.12.14

銀行からの融資という点ではもうひとつ、納税資金の借入も挙げられます。会社が法人税を納めるために融資を受ける、ということです。

借金してまで納税する、っておかしくない?と思われるかもしれませんが、そうでもありません。

たとえば。決算日まぎわに売上が急増、売掛金も急増した場合。入金待ちのおカネが増えますから、資金繰りが厳しくなります。

そこへきて納税はなお厳しい。しかも、納税額は「急増した売上・利益」に対する金額ですから、なおさらに厳しい。

ゆえに、借金をしてまで納税するわけですが、売掛金を回収すれば借金は問題なく返済できます。最終的には、手元のおカネもきちんと増えます。

これをせずに、自己資金だけでなんとかしようとするがために、黒字なのに納税で苦しむ会社があります。このあいだに会社が倒れてしまっては元も子もありません。

借金をして納税をする、という選択肢も持つようにしましょう。

なお、納税には「黒字」という前向きな背景がありますから、銀行も納税資金の融資には前向きです。

『税金を納める』なら銀行融資でおカネを借りる【決算資金・納税資金】

2018.09.21

 

《理由3》借入金の返済額が多すぎる

黒字なのにおカネが減る理由として、借入金の返済額多すぎることがあります。

ここで言う「多すぎる」とは、こういうことです ↓

借入金の返済額が多すぎるとは

借入金の返済額 > 税引後利益 + 減価償却費

上記算式の右側「税引後利益 + 減価償却費」は「簡易キャッシュフロー」と呼ばれ、この金額が借入金を返済する原資になります。

黒字、つまり、税引後利益がプラスであっても、簡易キャッシュフローが借入金の返済額よりも小さければ返済ができない。

結果として、手元のおカネを取り崩して返済をすることになる。ということをあらわしているのが上記の算式です。

手元のおカネを取り崩していくのですから、当然、おカネが減っていく。黒字なのにおカネが減る理由になります。

対策

「借入金の返済額 > 税引後利益 + 減価償却費」への対策について、まず第一に考えるべきことは、「利益の改善」です。もっと、利益を増やす。

利益を増やすにあたっての方法を端的に言うと次の3つです ↓

利益を増やす3つの方法
  1. 売上を上げる
  2. 原価率を下げる
  3. 販売管理費を下げる

これだけ見ると、「あたりまえじゃないか」と思われるかもしれませんが。意外と、そのあたりまえをやっていないことも少なくありません。

たとえば、ここしばらく値上げをしていない、ということはありませんか?ここしばらく仕入単価を見直していない、ということはありませんか?

利益を増やすことができるのに、意外とやっていない「あるある」です。

借入金の返済に必要なだけの利益を増やすために、上記3つの方法を検討してみましょう。くわしくはこちらの記事も参考に ↓

計算できる?借入を返済するのに必要な売上の金額

2019.02.06

それでも「借入金の返済額 > 税引後利益 + 減価償却費」が解消できない、という場合には。返済額を減らす、という対応が必要になります。

返済額を減らす、と聞いてイメージするの「リスケ(リスケジュール)」かもしれませんが。その手前にもうひとつ、できることがあります。

それは、既存借入金の一本化です。

複数ある既存の借入金を一本にまとめて、返済期間を伸ばしてもらうことで返済額を減らします。銀行に相談をしてみましょう。

なお、多くの中小企業が利用している「信用保証協会付き融資」については、信用保証協会の「借り換え保証制度」というものがあります。

既存の「信用保証協会付き融資」を一本化して、最長で10年まで返済期限を引き伸ばすことができる、という制度です。

複数はなく、1口だけしかない場合でも利用できるので、「信用保証協会付き融資」を受けている会社は、こちらもあわせて検討をしてみましょう。

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まとめ

「損益計算書は黒字」でも「貸借対照表のおカネが減る」3つの理由とその対策についてお話をしてきました。

世の中には「黒字倒産」の例もあります。黒字なのにおカネが減る。ついにはおカネが尽きて倒産をしてしまう。

そんなことにはならないように。「損益計算書は黒字」でも「貸借対照表のおカネが減る」理由と、その対策とを押さえておきましょう。

「損益計算書は黒字」でも「貸借対照表のおカネが減る」理由
  1. 売掛金や在庫に不良がある
  2. 増加した運転資金の借入をしていない
  3. 借入金の返済額が多すぎる

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