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フリーランスが『現金出納帳をやめる』ときの5つの注意点

フリーランスが「現金出納帳をやめる」ときの5つの注意点

基本、「現金出納帳はつけない」をおすすめしています。

というわけで。フリーランスが現金出納帳をやめるときの注意点についてお話をしていきます。

目次

よし、現金出納帳はやめる! というあなたへ。

フリーランスと切っても切れないあいだがらにあるのが「経理(帳簿つけ)」です。その経理について、「現金出納帳をつけるか?つけないか?」というハナシがありますが。

わたしは、基本、「現金出納帳はつけない」をおすすめしています。

との話を聞いて、「よし、現金出納帳をやめる!」と思われるのであれば。注意点をまとめてみましたので、いちど確認をしてみましょう。

注意点はぜんぶで5つ、次のとおりです ↓

フリーランスが現金出納帳をやめるときの注意点
  1. 絶対にやめたほうがいい、わけではない
  2. 現金出納帳をやめたときの仕訳を押さえておく
  3. モレやダブリに気をつける
  4. できるだけ現金支払をやめる
  5. 現金入金は預金預入の利用も考える

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

フリーランスが現金出納帳をやめるときの5つの注意点

《注意点1》絶対にやめたほうがいい、わけではない

わたしが「現金出納帳はつけない」をおすすめするのは、「現金の実態が無い」ときに限られます。

具体的には、サイフはひとしか持っておらず、仕事用の現金もプライベート用の現金もいっしょくた、というケースです。

この場合、サイフを開いてみても、現金出納帳の対象である「仕事用の現金」の残高を把握することは困難でしょう。

にもかかわらず、現金出納帳をつけるというのでは、その記載内容は「ウソだ」とも言えます。なぜなら、「実際の現金残高」がわからない以上、「現金出納帳の現金残高」が正しいかどうかを確認することができないからです。

このように「現金の実態が無い」のであれば、現金出納帳はつけないほうがいいだろう。それがわたしの考えです。

いっぽうで。サイフは2つ持っている。仕事用とプライベート用のサイフをそれぞれ持っているから、残高はちゃんとわかるのだ! と言うのであれば。現金出納帳を否定するつもりはありません。

でも実際にたずねてみてわかるのは、「サイフ2つ持ちの人」は稀有であるということです。

《注意点2》現金出納帳をやめたときの仕訳を押さえておく

いざ、現金出納帳をやめる。現金出納帳はつけない、というときには「経理(帳簿つけ)の方法」を押さえておかなければいけません。

ただただ現金出納帳はつけないのでは、現金入金・現金支払の取引を経理しそびれてしまいます。

というわけで。具体的には、仕訳を押さえておきましょう ↓

現金入金の仕訳

たとえば、現金で売り上げたときの仕訳はこちらです ↓

借方・勘定科目借方・金額貸方・勘定科目貸方・金額
事業主貸×××売上高×××

ポイントは「借方(右側)」の勘定科目。現金出納帳をつけている場合には「現金」でしたが、「事業主貸」となります。

現金支払の仕訳

たとえば、現金で接待の飲食代を支払ったときの仕訳はこちらです ↓

借方・勘定科目借方・金額貸方・勘定科目貸方・金額
接待交際費×××事業主借×××

ポイントは「貸方(左側)」の勘定科目。現金出納帳をつけている場合には「現金」でしたが、「事業主借」となります。

これらの仕訳を見て、「事業主貸と事業主借の違いってなんだっけ?」「事業主貸と事業主借はあとでなんかしなきゃいけないの?」などの疑問があれば、こちらの記事もどうぞ ↓

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《注意点3》モレやダブリに気をつける

いましがた、現金出納帳をやめるときの仕訳を確認しました。これで経理(帳簿つけ)の方法はわかりましたが、「モレ」や「ダブリ」には気をつけましょう。

たとえば。現金払いのレシートを1枚、経費として経理するのを忘れていたとします(あるいは、すでに経理したと勘違いしているなど)。

この場合、それに気がつくことは困難です。

ところが、もし現金出納帳をつけていたならば。経理をし忘れたレシートの金額分だけ、現金出納帳の残高とサイフの残高とに差が出ます。なので、経理し忘れたことに気がつくことができます。

いまのは「モレ」の話です。同じようなことは「ダブリ」でも起きます。

誤って1枚のレシートを2度、経費として経理してしまった。現金出納帳があれば、やはり現金出納帳の残高とサイフの残高とに差で気がつきます。でも、現金出納帳が無いと気がつけない・気がつきにくい。

なぁんだ、やっぱり現金出納帳をつけていたほうがいいんじゃないか!と思われるかもしれませんが。それは「現金の実態がある」ときに限られます。

《注意点1》でお話をしたように「現金の実態が無い」のであれば、現金出納帳の残高はアテにできません。ゆえに、モレやダブリを確かめることはできません。

では、どうするか。モレやダブリをしないように「そもそも注意をする」ことです。

モレについては、毎日きちんと経理をするとか(溜め込むと忘却や紛失でモレやすくなります)。ダブリについては、経理をしたら書類に印をつけるとか。

そのうえで、ITのチカラを借りるのもよいでしょう。「重複チェック機能」を備えている会計ソフト(マネーフォワードクラウド、freeeなど)もあります。

《注意点4》できるだけ現金支払をやめる

《注意点1》のところで、「現金出納帳はつけない」をおすすめするのは、「現金の実態が無い」ときに限る、と言いました。

加えてもうひとつ。現金出納帳はつけないことをおすすめする理由があります。それは、「メンドー」だからです。現金出納帳をつけるのがメンドー。

たとえば、接待の飲食代を現金で支払った、という場合。現金出納帳をつける場合には、「日付」「勘定科目」「金額」「摘要(支払先の名称や品名など)」などを「手作業」で記録しなければいけません。

手書きの現金出納帳はもちろん、会計ソフトを使っていても同じことです。やはり、手入力をしなければいけません。

では、クレジットカードや電子マネーなど、いわゆる「キャッシュレス決済」で支払いをした場合はどうでしょうか?

この場合、「決済データ」を会計ソフトに取り込むという選択肢があります。クレジットカードや電子マネーの利用情報を会計ソフトに連動させることで、手入力をなくす(あるいは減らす)ことができるのです。

クラウド会計なら経理を自動化ができます! という「うたい文句」を聞いたことがあるかもしれません。それのことです。

この点で、現金出納帳をやめたとしても、現金での支払はやめていないとすると。現金出納帳こそつけなくてもよいけれど、《注意点2》の仕訳は手作業しなければいけません。メンドーです。

ところが、現金出納帳をやめる、かつ、現金での支払をやめる(キャッシュレス決済にする)のなら、会計ソフトを利用して仕訳を自動化することができます。

すべてを完璧に自動化はできないところもありますが(摘要だけは手入力が必要とか)、それでも「だいぶ」メンドーを減らすことができる。

ですから、せっかく現金出納帳をやめるのであれば、あわせて現金支払もやめることも検討してみましょう。

ぜんぶの現金支払をなくすことはできないにしても、「できるだけなくす」ことで、日ごろの経理(帳簿つけ)の負担を減らすことにつながるはずです。

《注意点5》現金入金は預金預入の利用も考える

たったいま、現金支払をやめましょう・減らしましょう、という話をしました。

では、現金入金はどうするのか?

理屈は現金支払と同じです。キャッシュレスにできるのであれば、そうしたほうが経理(帳簿つけ)のメンドーは少なくなります。

とはいえ。売上入金に関して言えば、お客さまあってのこと。なかなかカンタンにはいかないんだよね… ということもあるかもしれません。

そのときには、「受け取った現金をそのまま預金に預け入れる」ことを検討してみましょう。

たとえば、お客さまから売上代金として 30,000円を受け取った。そうしたら、銀行の預金口座に 30,000円をそのまま預け入れるのです。

当然、預金取引として通帳に記録されます。その記録はやはり、データとして会計ソフトに取り込む方法があるので、経理の手作業を減らすことができます。

具体的には、「日付」と「金額」は自動的に取り込まれますから、「摘要」に「お客さま名」などを手入力するだけです。

また、いちど銀行に預け入れることで経理のし忘れを防ぐ、というメリットもあります。現金を受け取ったままにしておくと、そのまま忘れてしまうケースがあるからですね。この現金なんだっけ? みたいな。

わざわざ銀行に行く、というメンドーはありますが。ATMなどが近くにあるのであれば、「受け取った現金をそのまま預金に預け入れる」ことを検討してみましょう。

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まとめ

フリーランスの経理(帳簿つけ)について、「現金出納帳をつけるか?つけないか?」というハナシがあります。

これに対して、「よし、現金出納帳をやめる!」と思われるのであれば。その際の注意点を確認しておくようにしましょう ↓

フリーランスが現金出納帳をやめるときの注意点
  1. 絶対にやめたほうがいい、わけではない
  2. 現金出納帳をやめたときの仕訳を押さえておく
  3. モレやダブリに気をつける
  4. できるだけ現金支払をやめる
  5. 現金入金は預金預入の利用も考える
フリーランスが「現金出納帳をやめる」ときの5つの注意点

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