YouTubeチャンネルを開設しました!

金融検査マニュアルついに廃止!銀行融資はどう変わる?会社がやるべきことは?

金融検査マニュアルついに廃止!銀行融資はどう変わる?会社がやるべきことは?

スポンサードリンク



20年にわたり、銀行融資に影響を与え続けてきた金融検査マニュアルがついに廃止されました。

これにより、銀行融資はどう変わるのか? 会社がやるべきことは? ということについてお話をしていきます。

2019年12月、ついに廃止された金融検査マニュアル。

2019年12月18日、金融庁は「銀行の融資を監督する際の指針」とされてきた金融検査マニュアルの廃止を公表しました。

バブル崩壊後の1999年に導入されてから、実に 20年です。

廃止の理由はいくつかありますが、おもな理由として「画一的・機械的な銀行融資の広がり」が挙げられます。

金融庁が銀行を検査するにあたり、金融検査マニュアルを長いあいだ運用してきたことで、銀行の対応も形式化・固定化しました。結果として、銀行はマニュアル重視の画一的・機械的な融資にいたった、という現状があります。

なお、ここで言う「画一的・機械的」とは。端的に言えば、「決算書ありき、担保・保証ありき」の融資です。融資の可否は、決算書の良し悪しが前提であり、決算書が悪ければ担保・保証がなければ融資はできない。

これでは、融資を必要とする会社の成長をさまたげることはもちろん、銀行の成長もまたさまたげることになります。「決算書ありき、担保・保証ありき」の融資には限度があるからです。

金融検査マニュアルの廃止には、そのような現状からの脱却が期待されています。これからは、銀行が本来の「目利き」によって、独自性のある融資、柔軟性のある融資ができるように、との期待です。

というわけで。金融検査マニュアルがついに廃止され、銀行融資は具体的にどう変わるのか? 変わるにあたり、融資を受ける側の会社がやるべきことは? というお話をしていきます。こちらです ↓

このあとのお話の内容
  • あらたな「よりどころ」はディスカッション・ペーパー(DP)
  • DPのポイントは「経営理念」と「将来を見据えた引き当て」
  • 会社がやるべきは「事業性評価」への取り組み

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

スポンサードサーチ

あらたな「よりどころ」はディスカッション・ペーパー(DP)

冒頭でお話をしたとおり、長きにわたり「よりどころ」とされてきた金融検査マニュアルは廃止されました。

では、もう「よりどころ」は失くなってしまうのか? というと、そうではありません。マニュアルに代わるものとして、「ディスカッション・ペーパー(以下、DP)」が用意されています。

DPとは、一般に「議論をする際の材料を記した文書」のことです。このたびの件では、おもに金融庁と銀行との議論を指します。

そのうえで、金融庁から 2019年9月に公表された「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方(案) 」がDPに当たります。

したがって、今後の金融庁と銀行との「議論(=銀行融資の監督や金融庁の検査)」は、このDPにもとづいて実施されることになる。と、押さえておきましょう。

なお、DPは金融庁のWEBサイトに公開されていますので、いちど目をとおしておくことをおすすめします。

が、約50ページにおよぶ、なかなかに読み応えのある文書になりますので。その「要点」についてを、このあとお話することにします。

スポンサードサーチ

DPのポイントは「経営理念」と「将来を見据えた引き当て」

今後のよりどころとなるDPの要点として、以下の2点が挙げられます。

  1. 銀行の経営理念・戦略に応じた検査・監督
  2. 将来を見据えた引き当ての見積もり

それぞれ、見ていきましょう。

《ポイント1》銀行の経営理念・戦略に応じた検査・監督

DPのなかには、次のような記述があります。ちょっと長いですが引用すると、 ↓

本来、金融機関の融資業務については、 経営理念を出発点として、これと整合的な形で経営戦略・各方針が策定され、内部管理態勢が構築され、融資方針からリスク管理、自己査定・償却・引当までの実務が一貫性をもって進められることが望ましく、当局の検査・監督もこの点を踏まえて設計されるべきである。

【金融庁公表『検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方(案)』より引用】

だいじなところは、「経営理念を出発点として」の箇所です。だいじなので、わたしが下線を引きました。

本来、それぞれの銀行にはそれぞれの経営理念があり、独自性があるはずです。ところが、長きにわたり金融検査マニュアルが強力に運用されてきた結果、マニュアルを守ることありきで、独自性が後退してしまいました。

ですから、いまいちど、銀行はそれぞれの経営理念に立ち戻り、独自性を発揮していきましょう。金融庁はそういう銀行を評価しますよ、とのメッセージが込められているのです。

なお、各銀行の独自性を具体的に知るためのツールとして、「金融仲介機能のベンチマーク」が挙げられます。

金融仲介機能のベンチマークは、金融庁の検査において各銀行の取り組み評価するための指標です。各銀行が公表する金融仲介機能のベンチマークに、それぞれの独自性はあらわれます。

たとえば、「経営者保証に関するガイドラインの活用先数、及び、全与信先数に占める割合」というベンチマークを見ることで、その銀行がどれくらい経営者保証の解除に取り組んでいるか? をうかがい知ることができるのです。

融資を受ける側の会社は、このベンチマークを確認しておくと、自社に合った銀行選びや銀行交渉にも役立ちます。詳しくはこちらの記事を ↓

金融仲介機能のベンチマークの使い方

銀行融資を上手に受けるための『金融仲介機能のベンチマーク』の使い方

《ポイント2》将来を見据えた引き当ての見積もり

DPのなかには、次のような記述もあります。やはりちょっと長いですが引用すると、 ↓

融資ポートフォリオの信用リスクに関しては、金融機関の個性・特性を基礎として、過去実績や個社の定量・定性情報に限られない幅広い情報から、 将来を見据えて適切に特定・評価する ことが重要である。

【金融庁公表『検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方(案)』より引用】

だいじなところは、「(信用リスクは)将来を見据えて適切に特定・評価する」の箇所です。だいじなので、わたしが下線を引きました。

銀行は、融資先のリスクを評価し、リスクに応じて「引き当て」をしなければなりません(将来の回収不能による損失に備えて、引当金を計上する)。この「引き当て」をする際のよりどころが金融検査マニュアルでした。

結果として、決算書の数字という「過去」による評価が重視され、「将来」あるいは「現在」による評価が軽視されている。というのが、現状です。

そのような現状を変える。これからは、「過去(決算書)」ばかりではなく、「将来」や「現在」を見据えて評価する。とのメッセージが、さきほどの引用文には込められています。

では、評価の対象になる「将来」や「現在」とはなにか?

たとえば。事業の内容や成長可能性、経営者の資質、従業員のようす、業界の動向、地域の動向、経済全体の動向、などなど。つまりは、「決算書からはわからないこと」ばかりです。

また、引き当てをする際の考え方として、DPでは「グルーピング」が挙げられています。

たとえば、同じ業種や地域でひとまとめにする、景気変動の影響を受けやすい会社をひとまとめにする、ライフステージ(創業期・成長期・安定期など)ごとに会社をひとまとめにする、など。

そのように、将来や現在について「ある条件や前提でひとまとめ(グルーピング)」にしたうえで、まとめて引き当てをする。これもまた、将来を見据えた評価につながる考え方として、DPには記されています。

スポンサードサーチ

会社がやるべきは「事業性評価」への取り組み

前述した「DPのポイント」である、2点をふまえて。会社がやるべきことについてお話をします。

まずは《ポイント1》で挙げた「銀行の経営理念・戦略に応じた検査・監督」について。

金融庁が銀行の「経営理念」を重視するように、銀行もまた会社(融資先)の「経営理念」を重視するようになるのではないか。わたしはそう考えています。

そもそも、経営理念は「組織の価値観を明らかにする」ためには欠かせないものです。さまざまな価値観の人が集まる組織にあっては、人それぞれの価値観で組織がブレないようにしなければいけません。

また、変化も激しい世の中です。変化を必要としながらも、そのなかで組織が守り続けるべき価値観というのもあるでしょう。

いずれにせよ、組織の価値観を示した経営理念はだいじなものであり、銀行が会社(融資先)の「将来」や「現在」を評価する際の材料のひとつにもなります。

これからの銀行が「将来」や「現在」を見据えて評価することは、《ポイント2》の「将来を見据えた引き当ての見積もり」でお話をしたとおりです。

この点でもうひとつ。これからは、会社の「将来」や「現在」をみずから銀行にアピールできることが求められます。

繰り返しになりますが、従来のように決算書を見ているだけでは、「将来」や「現在」のことはわからないからです。

事業の内容や成長可能性、経営者の資質、従業員のようす、業界の動向、地域の動向、経済全体の動向などの情報は、いくら決算書を眺めたところでわかりません。

そこで、これらの情報を会社のほうから銀行に伝えることができれば、「決算書が赤字だから融資ができない」という事態の回避につながります。

また、会社の業種や地域、景気変動の影響、ライフステージなどの把握にもなりますから、前述した「グルーピング」にもつながります。すると、銀行からはグルーピング別融資商品の提案なども考えられるところです。

会社にとっては、融資の幅が広がります。

決算書の良し悪しや、担保・保証に依存せず、事業の内容や成長可能性を評価する。これを「事業性評価」と呼びます。

銀行は、金融検査マニュアルの廃止を通じて、「事業性評価による融資」を求められている。というのが、いまです。

これからも銀行融資を受けたい、活用したい、と考えるのであれば。銀行の「事業性評価」に、会社も積極的に取り組んでいきましょう。取り組む際のツールとして、こちらの記事も参考に ↓

事業性評価融資のツール

事業性評価融資に役立つ3つのツール『ロカベン、RESAS、まち・ひと・しごと創生総合戦略』

銀行融資におすすめのメニュー

モロトメジョー税理士事務所では、「銀行融資のサポート」をするメニューをそろえています! 当事務所は経営革新等支援機関の認定を受けています。
銀行融資の記事まとめページ
銀行融資入門セミナー
銀行融資・財務のコンサルティング
銀行融資の個別相談

スポンサードサーチ

まとめ

20年にわたり、銀行融資に影響を与え続けてきた金融検査マニュアルがついに廃止されました。

これにより、これからの銀行融資のよりどころは「ディスカッション・ペーパー(DP)」であること。そして、会社が取り組むべきは「事業性評価」であることを覚えておきましょう。

この記事のシェアはこちらから!