「銀行融資が受けられない…」という会社の相談をうかがっているなかで、よくある「問題」と、その「解決策」をお話ししていきます 。
銀行融資が受けられない会社の問題は共通している
「銀行融資が受けられない…」という会社の相談をうかがっているなかで。よくある「問題」がこちらになります ↓
- 銀行の選び方が良くない
- 融資を依頼するタイミングが悪い
- 融資に必要な書類をつくっていない
- ビジネスモデルが銀行に伝わっていない
- 運転資金の金額を銀行に説明できていない
これらは、銀行融資が受けられない…という会社の多くにあてはまるであろう問題です。
というわけで、これらの「問題」について、その「解決策」を含めてお話をしていきます。
銀行融資が受けられない会社の相談事例に見る問題と解決策
《問題1》銀行の選び方が良くない
銀行融資を受けるにあたっては、「銀行の選び方」がひとつのポイントになります。
たとえば、規模が小さい会社。とくに、創業したばかりの会社は、「融資を受けられる銀行は限られる」ということを覚えておきましょう。
具体的には、まずは「信用金庫・信用組合」と「日本政策金融公庫」からの融資を検討することです。
にもかかわらず。創業したばかりで、規模もまだ小さい会社が、「都市銀行」や「地方銀行」から融資を受けるのは難しいものがあります。
そのような状況で融資が受けられないとしても、ある意味当然です。銀行の選び方が悪い。
カンタンに言うと、「会社の規模」と「銀行の規模」とは対応関係にある。小さい会社は小さい銀行から、大きい会社は大きい銀行から融資を受けるのがセオリーです 。
銀行の規模は小さい順に、「信用金庫・信用組合」「地方銀行」「都市銀行」となります。
加えて、公的な金融機関である「日本政策金融公庫」とは、会社の規模が小さいうちからお付き合いしておきましょう。
民間の金融機関よりも、柔軟かつ積極的な融資を期待できるからです。
そのあたり、くわしくはこちらの記事もどうぞ ↓。
《問題2》融資を依頼するタイミングが悪い
銀行融資を受けるにあたっては、融資を依頼する「タイミング」もだいじなポイントになります。
タイミングが良ければ融資が受けやすいし、タイミングが悪ければ融資が受けにくい。この点で、悪いタイミングの一例が「決算のまぎわ」です。
会社には1年に1回の決算があります。その決算のまぎわで融資を依頼すると、銀行からよく言われるのは「決算を見てからにしましょう」です。
つまり、決算が終わって、決算書ができあがってから、その「数字」を見て融資を検討する。そういうことです。
これを聞いて、「数字なら試算表がある」と思われるかもしれませんが。銀行は、その試算表を信じていないところがあります。
多くの会社がつくる試算表は、決算書ほどに正確ではない。試算表で利益が出ていたとしても、決算書ではどうなるかわからない。というのが銀行の思いです。
にもかかわらず、決算のまぎわになって融資を依頼する会社があります。けれどもそれでは、融資を依頼する「タイミング」が悪い、と覚えておきましょう。
これに対して、融資を依頼するベストタイミングは「決算の直後」です。決算書ができたときです。
銀行が、試算表よりは信用しているのが決算書。その決算書ができたタイミングで審査をしてもらうのがいちばんです。
実際に銀行は、決算書を見た段階で「向こう1年(次の決算書ができるまで)」の融資姿勢を決めています。
ですから会社は、決算書ができた段階で、向こう1年の資金繰りを検討して、必要な銀行融資を受けておくことを考えましょう。
決算と決算のあいまで融資を受けるのは難易度が上がる、という理解です。
[ad1]《問題3》融資に必要な書類をつくっていない
銀行融資を受けるにあたって、「必要な書類」はいろいろありますが。
融資を受けられない会社が、準備できていない書類として。「試算表」「資金繰り表」「借入金一覧表」があげられます。
これら3つの種類は、準備できなければ絶対に融資が受けられないわけではないものの。準備できなければ、確実に融資が受けにくくなります。
にもかかわらず、決して少なくはない会社が、これらの書類を準備しないままに融資の依頼をする。そして、銀行から融資を断られているのです。
決算日から数ヶ月過ぎていれば、「足元の状況」を確認するために「試算表」を確認したい。と、銀行は考えます(試算表が決算書ほどには信用できないとしても)。
貸したおカネを返してもらえそうな会社かどうか。「資金繰り表」を見て検討したい、とも考えます。
ほかの銀行が積極的に融資をするような会社か、あるいは融資を引き上げているような会社か。ようすをうかがうために「借入金一覧表」も見たい、と銀行は考えます。
このように、銀行が欲しい書類、銀行が欲しい情報を提供できなければ、融資が受けにくくなるのは当然です。
銀行の思いを理解して、「必要な書類」をいつでも提示できるようにしておきましょう。
《問題4》ビジネスモデルが銀行に伝わっていない
さきほどまでに、決算書や試算表といった「数字」は、融資を受けるにあたって必要だ、とのお話をしてきました。
とはいえ、その「数字」も、「過去」の結果に過ぎません。銀行が「貸したおカネを返してもらえるか?」を考えるうえでは、「未来」 にも目を向ける必要があります。
これまでは利益が出ていたかもしれないけれど、これから先も利益が出るのか? 貸したおカネを返してもらえるだけの利益が見込めるのか? 銀行はそう考えています。
そこで、会社がすべきは「ビジネスモデル」を伝えることです。ビジネスモデルとは、言い換えると、「自社の仕事、自社の商売」のこと。
ビジネスモデルが良ければ、未来にわたって利益が見込めるように思えます。逆に、ビジネスモデルが悪ければ、未来にわたって利益を見込むことは難しい。
そんなビジネスモデルを、銀行に対して伝えきれていない会社は意外とあります。
ためしに、銀行(の担当者)に、自社のビジネスモデルについてたずねてみましょう。銀行が、きちんと自社のビジネスモデルを話すことができればOKです。
けれども。業種しか答えられない、扱っている商品・サービス、販路が答えられない。同業ほか社・類似商品との違いが答えられない。というのでは、ビジネスモデルが伝わっていないと言えるでしょう。
ビジネスモデルが伝わらなければ、銀行は会社の「未来」を検討することができず。ひいては、未来を評価した融資をすることができません。
なお、会社がビジネスモデルを伝えるのに役立つツールとして、「ローカルベンチマーク」が挙げられます。
ツールもうまく利用して、銀行に情報を伝えていきましょう。そのあたり、くわしくはこちらの記事もどうぞ ↓
《問題5》運転資金の金額を銀行に説明できていない
いましがた、銀行に伝えるべきこととして「ビジネスモデル」というお話をしました。
これに加えて、自社の「運転資金の金額」もまた、銀行に伝えるべきことだと言えます。
銀行からの融資は大きく2つ、借りたおカネの「使いみち(資金使途)」に応じて、「設備資金」と「運転資金」とにわかれます。
設備資金とは、文字どおり、設備をするための資金です。建物や土地、機械、車などの比較的金額の大きな設備を購入するときのおカネが「設備資金」になります。
これに対して、設備資金以外にかかるおカネが「運転資金」。具体的には、 仕入代金や諸経費の支払いにあてられるおカネです。
したがって、設備をするのでなければ、会社は「運転資金」としておカネを借りることになります。
この「運転資金」の金額を求める計算式は、「売上債権(売掛金・受取手形)+ たな卸資産 − 仕入債務(買掛金・支払手形)」です。
計算式に含まれる「売上債権」「たな卸資産」「仕入債務」はそれぞれ、決算書や試算表を見ればわかるように思いますが。実はそうでもありません。
なぜなら、「売上債権」「たな卸資産」「仕入債務」はいずれも、常に変動しているからです。
時期によって金額が大きいときもあれば、小さいときもある。それらの金額の変化によって、運転資金の金額もまた変化します。
銀行が融資をするのは、会社が「必要なだけの運転資金」です。ところが、ほんとうに必要な運転資金の金額は、「一時点」をあらわすに過ぎない決算書や試算表ではわかりません。
ゆえに、運転資金を借りようとするのであれば、会社は「運転資金の金額の変化」を銀行に説明することが欠かせません。
具体的には、向こう1年ていどの「資金繰り表」を提示して、運転資金の金額がどのように変化するかを明らかにします。
会社としては、変化する運転資金の金額について、1年のなかでもっとも大きくなるときの金額を資金調達しておきたいものです。
そのためには、「資金繰り表」が重要であることを覚えておきましょう。
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まとめ
「銀行融資が受けられない…」という会社の相談をうかがっているなかで、よくある「問題」と、その「解決策」をお話ししてきました。
どうにも融資が受けられない、と言うのであれば。これらの問題にあてはまっていないか、確認してみましょう。
- 銀行の選び方が良くない
- 融資を依頼するタイミングが悪い
- 融資に必要な書類をつくっていない
- ビジネスモデルが銀行に伝わっていない
- 運転資金の金額を銀行に説明できていない