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社長が答えられるようにしておきたい『未来の数字』3選

社長が答えられるようにしておきたい『未来の数字』3選

未来のことなどだれにもわからない。ただそれでも、社長であるならば「答えられるようにしておきたい未来の数字」が3つある。というお話です。

目次

社長たるもの「未来」がわからないようでは困る。

未来のことなどわからない、わかるはずがない。そのとおりです。

ただそれでも、社長であるならば「答えられるようにしておきたい未来の数字」というものがあります。こちらの3つです↓

社長が答えられるようにしておきたい「未来の数字」3選
  1. 向こう1年の借入返済額
  2. 1年後の預金残高はどれくらいか
  3. 今月から売上がゼロになったら何ヶ月もつか

さぁ、どうでしょう。答えられますか?

これら「未来の数字」を答えられたほうがいいのはどうしてか? どうしたら答えられるようになるのか? このあとお話をしていきます。

社長が答えられるようにしておきたい「未来の数字」3選

向こう1年の借入返済額

わかっているようで、意外とわかっていないのが「借入返済額」です。向こう1年の借入返済額はいくらですか? と社長にたずねると。意外と答えられなかったりもしますので。

ではなぜ、向こう1年の借入返済額を答えられたほうがいいのか? それは、会社が向こう1年で「稼がなければいけない利益」の目安になるからです。

たとえば、向こう1年の借入返済額が 1,000万円という会社があるとします。この会社は、向こう1年の利益が 1,000万円ないと、手元の預金を取り崩して返済をしなければいけません。

借入金(利息を除く元金部分)の返済原資は、「利益」だからです。それも、「税引後」の利益です。

したがって社長は、「税金を支払ったあとに残った利益 > 借入返済額」であるべき、と考えておくようにしましょう。これが逆に「税金を支払ったあとに残った利益 < 借入返済額」となると、手元の預金が減っていく。減り続ければ、会社は潰れてしまいます。

ときには、思いどおりの利益があがらないこともあるでしょう。ですから社長は、「税金を支払ったあとに残った利益 < 借入返済額」の状態を早めに察知して、早めにおカネの手当をしておく(銀行から融資を受ける)ことが大切になります。

そのために、「向こう1年の借入返済額」を答えられるようにしておく必要があるわけです。

答えられなければ、危険を察知するのが遅れます。手元の預金が少なくなってから融資を受けようとすれば、銀行から警戒されます。結果、融資を受けられなければ、会社は潰れてしまいます。

社長が「向こう1年の借入返済額」を把握するためにも、「借入金一覧表」を作成しておくのがおすすめです。借入金一覧表について、くわしくはこちらの記事もどうぞ↓

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1年後の預金残高はどれくらいか

縁起でもないハナシではありますが。おカネが無くなったときに、会社は潰れます。ですから、社長は常に「おカネがいくらあるか(預金残高がいくらあるか)」を把握しておかなければいけません。

この点で。いま現在の預金残高は、預金通帳を見ればわかります。でも、これだけでは不足です。いまはおカネがあったとしても、3ヶ月後、半年後にもおカネがあるとは限りません。

そこで、社長は「1年後の預金残高はどれくらいか」を答えられるようにしておきましょう。現状のまま「成り行き」でいくと、1年後にはどれくらいの預金残高になっているのか?

「いやいや、そんなのわからないよ」と、言われるかもですが。「資金繰り表」はつくっていますか? さすがにアタマのなかだけで、1年後の預金残高を計算するのは困難です。

そこは、「資金繰り表」というツールをつかって、1年後の預金残高を計算するようにしましょう。資金繰り表のつくりかたについては、こちらのブログ記事を参考にどうぞ↓

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資金繰り表をつかって、1年後の預金残高をイメージできれば、社長は早めにおカネの手当をできるようになります。必要があれば、早めに銀行融資の依頼をすることができるようになります。

「早め」というだけでも、銀行融資は受けやすくなるのですが、もうひとつ。つくった資金繰り表を銀行に提示することで、さらに融資は受けやすくなります。

資金繰り表は、経営・財務においてとてもだいじなツールであるにもかかわらず、継続的に作成している会社は少なくありません。銀行もそれを知っています。

だから、融資を受けるにあたって資金繰り表を提示できる会社を、銀行は評価するのです。「資金繰り表をつくっているだなんて、管理能力が高い会社だなぁ」と、一目置かれます。融資が受けやすくなります。

というわけで。1年後の預金残高はどれくらいか、を知るためにも。資金繰り表をつくるようにしましょう。

今月から売上がゼロになったら何ヶ月もつか

いましがた、資金繰り表の話をしましたが。現状のまま「成り行き」であることが前提でした。これとは別に、「今月から売上がゼロ」という前提の資金繰り表もつくってみましょう。

理由は、社長が「今月から売上がゼロになったら、会社はあと何ヶ月もつのか」を把握するためです。

最近の例で言えば、新型コロナウイルス。その影響によって、多くの会社の売上が落ち込みました。まさに「今月から売上がゼロ」ということも起きました。

そういった不測の事態に備えるために、ふだんから「今月から売上がゼロ」を想定しておきましょう。

資金繰り表の売上入金をゼロにしたときに、あと何ヶ月で預金残高をゼロになってしまうのかを確認します。その結果が、もし「1ヶ月」や「2ヶ月」というのであれば、とても危険な状態です。

コロナの例で言えば、その影響は1年近くたっても収まらず。あわてて銀行融資を受けようとしても、銀行が混み合っていれば時間もかかります(実際、数ヶ月待ちの状況にもなりました)。これでは、会社が潰れてしまいます。

ですから、売上がゼロになったときに1ヶ月や2ヶ月しかもたないような会社は、できるだけ早く、おカネの手当をしておくことです。

手当の方法として、ひとつは「支出を切り詰める」があります。減らせる支出がないか、あらためて検討してみましょう。減らせる支出があれば、売上がゼロでも、より長く会社をもたせることができます。

手当の方法としてはもうひとつ、銀行融資です。不測の事態を迎える前に、いまのうちから融資を受けて、手元のおカネを増やしておく。「備えるためのおカネ(余裕資金)」を借りることは可能です↓

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これらの方法によって、「今月から売上がゼロ」になったとしても、半年ていどはもつようにしたいところです。半年の「時間をかせぐ」ことができるとわかっていれば、不測の事態にも余裕をもって対応できるでしょう。

社長が会社を守るためには、未来の数字として「最悪のシナリオ」を描いておくことが必要です。

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まとめ

未来のことは、だれにもわかりません。ただそれでも、社長であるならば「答えられるようにしておきたい未来の数字」を押さえておきましょう。

答えられるか・答えられないかで、会社がピンチに耐えうる確率が変わってきます(もちろん、答えられるほうが確率は上がります)。

社長が答えられるようにしておきたい「未来の数字」3選
  1. 向こう1年の借入返済額
  2. 1年後の預金残高はどれくらいか
  3. 今月から売上がゼロになったら何ヶ月もつか
社長が答えられるようにしておきたい『未来の数字』3選

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